千葉県の内陸部に位置する君津市。その中でも久留里(くるり)は豊かな山々に囲まれ、キャンプ場など自然を楽しめる施設が各地に点在しています。

“名水の地”としても知られており、「平成の名水百選」にも選ばれているため、無料で汲める水を使ってアウトドアクッキングを楽しむ人も珍しくありません。また、よく霧がかかり、遠くからはまるで雨が降っているように見えたことから、別名「雨城(うじょう)」とも呼ばれる久留里城もあり、県内外のみならず、海外から訪れる人もいます。
そんな久留里城のふもとに建つのが、今回訪ねた「君津市森林体験交流センター」(以下、交流センター)。

久留里城へと上る人に便利な駐車場最大50台分が併設されていて、城探索を楽しんだあとの休憩スポットとして最適。

無料で入館できる館内には、地元の歴史ゆかりの展示品などがあり、甲冑の着付け体験(随時受付。大人500円、子供300円・各税込)もできます。

また、各種木工や染色、農業体験やフィールドワークなど、豊かな自然環境を活用したさまざまなイベントも定期的に開催(参加料別途必要)。

子供からシルバー層まで幅広く親しまれるスポットになっています。
※新型コロナウイルスの感染状況により、イベント等は休止となる場合があります

そんな交流センターで出迎えてくれたのは、センター職員の鈴木 悦雄さんと調理スタッフの佐野 俊枝さん。実は交流センター内には、食堂「森の里」が併設されていて、地元千葉産のジビエを使ったカレーが人気だというのです。
注文が入ってから猪肉を炒め始める「ジビエキーマカレー」に注目

ミニサラダと小鉢がセットになった「ジビエキーマカレー」は1,200円(税込)。ぱっと見ただけでは、いわゆる一般的な食堂のカレーにしか見えません。

しいていえば、キーマというわりにルーの水分が多め。そしてよく見ると、挽き肉というには大きめの肉が入っているのがわかります。

ではいざ実食! まず感じるのは子供でも食べられそうな辛さ。香りはしっかりカレーの香りですが、スパイスの刺激は少なめです。猪肉は見た目どおり大きめなので、噛み応えがあり、噛むほどに旨味がにじみ出てきて、しっかりとその存在をアピールしてきます。後味にはほんの少しの苦味と、生姜のキリっとした辛味。そんな複雑な味わいは、いわゆる食堂のカレーとは一線を画しています。
生姜やニンニクなどの香辛料が猪肉を食べやすくしてくれる
調理担当の佐野さんが「ジビエキーマカレー」を作る様子を見せてもらうと、まず取り出したのが猪肉。

これは千葉県内の「房総いのかジビエセンター」から仕入れた猪のロースとバラ肉を、「森の里」の厨房内で挽き肉にしたもの。

「脂がのって一番美味しい時期の猪肉をまとめて仕入れるので、いつでもいい状態のジビエを使うことができるんです」と鈴木さん。

挽き肉と表現するには粗めの猪肉に、塩・胡椒で下味を付けたあと…

たっぷりの生姜、ニンニクと一緒に炒め、猪肉にしっかりと火が通ったところに、みじん切りの玉ネギやニンジン、赤ワイン、ココアパウダーなどで煮込んでおいたルーのベース、そしてカレースパイスを加えて仕上げます。

「猪の臭みが気にならないように、香辛料をたっぷり使うところが特徴でしょうか」と佐野さん。
猪肉を事前に野菜などと一緒に煮込まず、注文が入るたびにイチから火を入れて仕上げるのは、大きめの肉が煮込まれ過ぎてかたくなるのを防ぐため。細かく挽いてしまえば、せっかくの猪肉の存在感が薄くなり、肉の食感、歯応えも損なわれてしまいます。猪肉の美味しさを最大限に引き出すための手間がかけられているのです。

「美味しさのための手間はいとわない」。そんな姿勢は、蕎麦やうどん、定食といったジビエ以外のメニューでも同様。こちらの「冷たいかき揚げ蕎麦」(680円・税込)もそのひとつ。サクラエビ、ニンジン、サツマイモ、玉ネギ、長ネギといった具材たっぷりのかき揚げは、揚げたて熱々で提供されます。

店内の天井、壁、床などに漆喰や木が使われていて、和モダンな雰囲気が感じられる店内には、テーブル席が空間を開けて配置されています。

ぜひ名水探訪や久留里城散策と一緒に、「森の里」名物のジビエカレーを楽しんでみてください。

君津市森林体験交流センター 森の里

- 住所:千葉県君津市久留里市場1018
- TEL:0439-27-2422
- 営業時間:金~日曜・祝日11:00~15:00 ※君津市森林体験交流センターは9:00~17:00
- 定休日:月~木曜 ※君津市森林体験交流センターは月曜(祝日の場合は翌日休み)
- ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
- 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。