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極上の猪肉を、香り高い薪の炎で焼きあげる 「COWSI CAMP(コウシ・キャンプ)」

福岡 薪焼きステーキ
2019.08.30

福岡最大の繁華街・天神に隣接する大名地区は、昔ながらの住宅地とモダンなショップが融合するエリア。街に流れる、独特の静かな空気感が魅力です。今回訪ねた「COWSI CAMP」もまた、目立たぬ小路の先にひっそりとありました。古いアパートを改装した建物の2階と聞き、さぞやレトロな店だろうとドアを開けてみたら…。

フロアはこんなに温かい表情! 特に目を引くのが中央で燃え盛る薪の炎です。なんだかキャンプ場に来たようで、思わず胸踊ってしまいました。

提供するジビエは、“自称・西日本一”の猪肉

「そう。ここのコンセプトは『大人のキャンプ場』なんです」とオーナーの福富康馬さん。牛や豚など選りすぐりの肉を薪焼きで提供するステーキ店ですが、雰囲気はとてもカジュアル。アラカルト1~2品にグラスワインだけ、という気軽な使い方でもOKです。

実はこの福富さん、地元の肉マニアの間では名の知れた存在。肉好きが高じて自ら熟成庫を構え、苦心の末に絶品の熟成肉を作ってしまった肉職人です。この自慢の肉を提供するため、2014年に炭火ステーキ店「AKAMIYA COWSI」を開業。「COWSI CAMP」はその姉妹店にあたります。ちなみに薪焼き料理を味わえるのはここだけだとか。

看板料理であるステーキの頼み方は、その日用意された銘柄肉の塊を吟味しながら、お客さまが好みの肉と希望の量を伝えるシステム。取材当日は「井信行さんの熊本県あか牛」や鹿児島産「のざき牛のスペシャル」といった超希少な熟成肉が並んでおり、気付けば喉がゴクリ。

けれども福富さんは「猪も全然負けてませんよ」と胸を張ります。何しろここで扱っているのは、福富さんいわく「西日本一の猟師・Mさん」が仕留めた猪肉なのですから。

「Mさんは福岡在住の敏腕猟師で、眠っている猪を見つけて頭を撃つ狩り方をしています。かなり優秀な猟犬がいないと難しい猟法ですが、追いつめて猪にストレスをかけることがないため肉の品質は極上そのもの。少なくとも僕はこれ以上の猪を知りません」。

あらゆる肉から真価を引き出す理想の調理法

百聞は“一食”にしかず。それではさっそく焼いてもらいましょう! まずはクヌギやサクラなど4種の薪をくべて火を起こします。火の周りは40℃を超える熱さとあって、焼き手のスタッフさんはたいへんそう…。

十分火が通ったら、仕上げに直火でカリッと焼き、しばらく休ませたら完成です。

薪焼きのメリットは肉汁を閉じ込めたまま、肉の水分を飛ばさずに焼けること。これによってステーキに無類の弾力や旨味が生まれるのです。

「それと、燻製のようなよい香りが付くのも炭火にはない大きな特徴ですね」。

こちらが「猪のステーキ」(100g、2,000円・税抜/写真は220g)。

乳酸発酵させた青梅やショウガの醤油漬けなど、付け合わせも凝っています。

噛むほどに広がる甘い味わい、ぷるんとした脂身の澄んだ旨さ、そしてみずみずしい歯ごたえは、今まで食べてきた猪とは明らかに別物。なんとも美味しい!! 「ジビエのイメージが変わった」と、感激しきりのお客さんも多いそうです。

もう1品、〆の人気メニュー「cowsiミニバーガー」(直径6cm×高さ8cm。2個900円・税抜)もご紹介。パティはステーキ肉の端切れ部分を各種混ぜ、猪の脂で焼いた高級ミンチ。提供直前には熱々のラクレットもかけてもらえます♬

さて、これらの料理にぴったりのお酒を選ぶなら「薪香るハイボール」(550円・税抜)をぜひ。薪の火でウイスキーに香りを付けた、この店ならではの1杯です。自然派銘柄を中心にそろえたボトルワインも充実していますよ。

「秋からは鹿も入荷するのでご期待ください」と語る福富さんは、Mさんと出会ったことで、ジビエを人々に広めたいという気持ちが前よりも強まったそうです。「ジビエは野生動物なので、安定した品質の肉を仕入れにくい食材なのですが、Mさんはいつも頑張ってすごい猪を獲ってきてくれる。それに報いたくて、僕らも心を込めて大事に料理しています」。

そして、ジビエファンを増やすには「何より美味しいものを提供すること」が大事だとも。「ジビエには苦手意識のある方が多いので、最初の出会いがとても肝心。だからこそ初心者の方にはウチの猪を召し上がってほしいんです。これだけの素晴らしい食材、放っておくなんてもったいないですよね?」。

今後の目標を尋ねると「実はまだ、猪と鹿には熟成をかけた経験がなくて。でも美味しくならないはずがないので、この秋は骨付きで肉を仕入れ、ちょっと試行錯誤しようと思います」。そうして少年のように瞳を輝かせ、こう付け加えました。「熟成は地道で骨の折れる作業。でもこういう苦労って、僕、本当に大好きなんですよ(笑)」。

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