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天神の“隠れ家”でハイレベルな猪の串揚げに舌鼓 「串揚げと季節のお料理 さとう」

福岡 和食 イノシシ 串揚げ
2019.12.23

肉、魚、野菜と、食材それぞれの旨味を熱々の衣でくるんだ串揚げ。熱心なファンの多いジャンルですが、こと福岡において、その食材にジビエを使う店の話はあまり耳にしません。

和の職人ならではの細やかな仕事に感嘆

福岡市中央区にある「串揚げと季節のお料理 さとう」は、その数少ない1軒です。活気ある天神地区にありながら、目立たぬ小路にひっそり潜むロケーションは穴場感たっぷり。それでも多くの常連が足を運ぶというのですから、実力は推して知るべしでしょう。

ビルの階段を上がると、8席のカウンターと3卓のテーブルを備えたフロアに到着。こぢんまり加減が心地よく、初来店でもすぐにくつろげそうな温かみを感じます。

その空気の源には、物腰やわらかな41歳の店主・佐藤 弘さんが立っていました。和食の世界でキャリアを積み、2017年にこの店をオープン。串揚げコース(7本2,000円、12本3,000円・各税抜)を看板料理にしたのは「1年間働いた串揚げ屋でそのおもしろさを知ったから」だそうです。

写真は串コースの一例で、左から「半熟のウズラの卵」、別途作ったみぞれ餡でいただく「カマンベールチーズ」、あらかじめ幽庵漬けにした「対馬の鯖」、高級食材で有名な「天使の海老」、「霧島産豚バラの角煮」。和の職人らしい丁寧な仕込みから、佐藤さんの熱意がひしと伝わるようです。食材も冷凍ものを使わず、魚介類はどれも刺身で食せる鮮度だとか。

そして、こちらが福岡県糸島市の加工処理場から届くという猪。見事に血抜きされた上質な仔猪で、串揚げコースの追加メニューとして注文できます(30g/500円前後)。空腹具合に合わせ、塊肉から希望の分量をカットしてくれるのもうれしい心遣い。猪は未入荷の日もあるので、事前の問い合わせがオススメです。

「生パン粉は店で細かく砕き、油も必ず毎日交換します」と佐藤さん。よく吟味された食材を、熟練の技とベストな環境で揚げるのですから美味しくないわけがありません。上品かつ軽やかに揚がった串は、食後もほとんど胃もたれ知らず。特に熟年層に支持されているのもうなずけます。

串はこのセットで1本ずつ提供。カレーや抹茶など4種の塩、そしてコスト度外視で自作するという絶品のウスターソース(写真右上)で召し上がれ!

ジビエ肉は、料理人を初心に返してくれる食材

猪を試食させていただくと、なんともこれが素晴らしい食感。豚肉をさらに上質にしたような繊維質が、ひと噛みごとに肉食の悦びをもたらしてくれます。

ジビエの一品料理も日々試作するという佐藤さん。この「猪の一夜干し」(1,600円・税込)もその1品で、オーブンで焼くだけの料理ですが、外側カリッ、中はジュワッとした食感の妙に思わず唸りました。凝縮感のある濃い味わいも秀逸です。

「実はこれ、生の猪肉を一夜干しにしたあと、じっくりと焼いたもの。これだと肉汁が逃げないし、肉もやわらかくなるんですよ」。

「他にもハンバーグや煮込みなど、いろんなジビエ料理を気の向くままに作ってはメニューに載せてます。ウイスキー、ジン、昆布に漬け込んだ和風の生ハムはおもしろい出来でしたね」。

佐藤さんの手にかかれば、まだ見たことのない猪料理に出合えるかも…と、俄然好奇心をそそられてしまいました。

「僕が猪を扱い始めたのは、他の串揚げ屋にあまりなかった食材だからです」と佐藤さん。「最初は物珍しさから仕入れたわけですが、これほど旨味が濃い肉とは思いませんでした。焼くか煮るだけで美味しさが伝わるシンプルな食材。でもシンプルだからこそごまかしが効かず、料理人としての基本を問われている気がして緊張しますね。初心に返る瞬間もよくありますし、そんな意味でもジビエ肉は僕にとって意味のある食材です」。

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