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自ら狩猟免許も持つシェフが紡ぐジビエの物語を愉しむ 「Brasserie Gyoran (ブラッスリーギョラン)」

フレンチ シカ 東京
2020.01.31

東京都中央区、JR・東京メトロの八丁堀駅と都営浅草線宝町駅から歩いて約4~5分と、アクセスが便利な立地ながら、少し路地に入るせいか、まるでここだけ時間の流れが違うかのような空間、それが「Brasserie Gyoran(以下、ブラッスリーギョラン)」。

真っ赤な外壁とフランス国旗を見つけたら、そこがお目当ての場所です。ブラッスリーというからには、気軽に利用できる価格帯ではあるのですが、実は内心、緊張気味での取材でした。

なぜならこの店、7年連続であのミシュランガイドのビブグルマンに選ばれている名店だから。ドアに貼られた4つのマークがその証。

シェフの羽立昌史さんは辻調グループフランス校を1991年卒業。三田のコートドールにて3年間経験を積んだ後、フランスとベルギーの各所で約6年間腕を磨き、帰国後はオーバカナル原宿の料理長に就任。オザミグループ総料理長兼ブラッスリーオザミ料理長に就任して、丸の内のブラッスリーオザリーの立ち上げに尽力。

 

当時、名物シェフとしてテレビをはじめ各メディアにも登場したので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

そんな羽立シェフが2013年に独立し、白金高輪にギョラン魚藍をオープンした後、手狭になったとの理由で2015年に移転して開業したのがここ、「ブラッスリーギョラン」です。1階5卓計18席と中2階に4人掛けテーブルが3卓と決して大規模な店とは言えませんが、すぐ近くを首都高速が走っているとは思えないほど、静かで落ち着ける空間。

ジビエの旨味を最大限に引き出す手腕

まず出していただいたのが、通年提供しているという「蝦夷鹿のパテ・ド・カンパーニュ」。ランチではパン、スープ付きで¥1,000(税抜)。ディナータイムにはコース内のアミューズとして提供されることがあるという一品です。

「肉らしい食感を残すために、鹿は粗めのミンチに。よく練ってしっかりとつなぎ、低温でゆっくりと火を入れることで、滑らかで鹿肉の風味を生かした食感を味わえるようにしています」と羽立シェフ。さらに蝦夷鹿のさまざまな部位を使用して、仕込みから仕上げまで1~2週間をかけるとのこと。

「時間が経つと塩が立たなくなり、味がまろやかになるんですよ」。

羽立シェフが言うとおり、口の中に広がるのはまろやかな肉の旨味。噛めば噛むほどその味を楽しみたいと思いつつも、ふんわりと溶けるように消えていく食感は、繊細にして魅惑的。そこに時折感じる枝豆の歯応えとさわやかな味が、ちょうどいいアクセントになり、鹿の風味を際立たせます。

 

次に出していただいたのは「カルガモとフォアグラのバロンティーヌ」。

「新潟から状態がいいものが入ったんです」と羽立シェフ。確かに、しっかりとのった脂身の厚みが質のよさを物語っています。

塩、胡椒、コニャックなどで味が付けられて、カルガモの旨味を引き出してあるだけでなく、フォアグラと共に入っているクラッシュアーモンドが食感と味のアクセントに。添えられた野菜のさわやかさとサクランボのコンポートの甘さも程よい口直しになり、食べる手が止まりません。こちらは夜のみのメニューで、単品なら2,700円(税抜)。コース内に組み込まれることもあるそうです。

ラストに登場した「キジバトとフォアグラのパイ包み焼き」は、コース内の1品。

キジバトの淡白さをフォアグラのこってりとした濃厚さで補い、ブドウの葉を巻くことで薫り高く旨味を閉じ込めています。さらにパリッと焼き上げたパイ生地が香ばしさを演出。また、添えられたサルミソースは、ジビエのガラをすりつぶしたものに、スパイスや赤ワインなどを使い、濃厚に仕上げられています。

 

自身も猟をするからこそ、ジビエの状態がよくわかる

「フランス時代には友達に狩猟に連れて行ってもらっていました。モンサンミッシェルの対岸などで狩りができるんですよ」。

 

そう語る羽立シェフは、日本で狩猟免許を取得。狩猟シーズンになると毎週末、休みの日には自ら狩猟に出かけるそうです。

「生きた状態から知っているので、どういうものがよいのか、どういう処理をすれば味がよくなるのかわかるんです」。

仕留める際の“撃つ場所”や“弾の種類”によっても、味に影響が出るとのこと。

 

また、仕入れる度に肉の状態は異なる、それがジビエの特性。

「脂がのりすぎているな、と思ったら、一度オーブンで余計な脂を落としてから調理することもあります」と羽立シェフ。

肉の種類・部位はもちろん、その時々による肉の状態の違いにも対応して、最適解の調理方法を導き出す。知識と経験があるからこその柔軟さが、羽立シェフの凄さなのだと感じました。

「カルガモの喉に貝が入っていたら、海の近くで暮らしていたんだな、とわかりますし、そんな時は肉にも少し海の香りが感じられるんですよ」。

そして「そんなジビエがそれぞれ持っている物語、ストーリーをお客様にお伝えしたい」と羽立シェフは言います。

狩猟シーズンに入るといよいよ、さまざまなジビエを使用する「ジビエのフルコース」10,000円(税抜)が始まります。デザート以外の6品すべてにジビエが使われるフルコースをお目当てに毎冬訪れる方も多いそう。

 

また、3か月に一度のペースでワイン会などのイベントが開催されているので、気になる方は公式サイトを確認してみては?

 

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