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三代続く“肉屋のDNA”が生み出す絶品猪鍋「なべや大むら」静岡県下田市

静岡県 居酒屋 シカ イノシシ 焼鳥・串焼き すき焼き 煮込み
2020.09.21

静岡県下田市は、幕末期にペリーやハリスが港に来航し、歴史的な脚光を浴びた地です。関東近郊では抜群の海の青さと透明度を誇り、さらには金目鯛など極上の魚介がリーズナブルに食べられます。街にはペリーの名を冠したオシャレなお店が並ぶ通り「ペリーロード」もあります。

ペリーロードから伊豆急下田駅に向かった街の中心部に「なべや大むら」はあります。ちょっと風変わりなエンターテインメントも味わえる“猪鍋の名店”として有名。

エンターテインメントは後述しますが、たくさんの提灯が並ぶ店内のデコレーションに目を奪われます。

店主の大村 賢一郎さんは、下田生まれの下田育ち。祖父、父、自分と三代にわたって肉屋や食肉卸売に関わってきましたが、2011年に和牛すき焼き・しゃぶしゃぶ専門店をオープンし、同時に猪肉や鹿肉料理も扱うようになりました。

というのも、伊豆半島では猪や鹿による田畑への被害が多く、社会問題となっているからです。

そこで大村さんは、30歳を過ぎてから狩猟免許を取得。自ら猪や鹿を仕留め、丁寧で迅速な処理を施し、店で提供する料理のラインナップに加えたそう。

遅くて丁寧な処理は誰でもできる。“早くて丁寧”こそ意味がある

処理の速さといえば、こんな驚きのエピソードが。
祖父と父も働いたことがある肉屋でアルバイトをしていた学生時代の大村さんは、厳しい修業時代の中で、誰よりも“早く”“丁寧に”処理をするワザを身につけます。
「寝る暇がないくらいとても忙しかったのです。でも、都内でデートの約束があった日は、どうしても早く行きたいと思って、ものすごいスピードで肉の処理を仕上げました(苦笑)」
他のスタッフと3人で1日120頭もの処理をしたという、超人的な記録も!
「猪にしても鹿にしても、いまだに『臭くて硬い』というイメージを持つ人がいるでしょう。でも素早く丁寧な処理であれば、こんなに美味しい肉はありません」

ということで、大村さん自慢のジビエ料理を披露していただきました。

シンプルに塩・胡椒した「猪肉の串焼き」(500円・税込)を、まずはワイルドに串から直接がぶりといきます! しっかりとした歯応えのある脂が口の中でとろけ、そのあと肉の旨味が追い付いてくるように感じます。

次にいただいたのは、「鹿肉の赤ワイン煮込み」(1,000円・税込)。

甘味が際立ちますが、その味の秘密は“ハチミツ”。甘めの赤ワインも使用し、コトコトじっくりと煮込んだ鹿肉のやわらかさといったら! 本格的な料理修業をしたわけではありませんが、親交があった亡き友人のシェフの味を受け継いだそうです。

冷めても美味しい! “ガラ1頭分”が丸ごと入った鍋

そしていよいよ、メインディッシュの鍋「素肌すべすべ鍋(しし鍋)」が登場。

「なべや大むら」では、捕獲した猪は余すところなく使い切ります。

特に猪鍋の出汁には、猪1頭分のガラなどを丸ごと使っており、「ほかの店にはまずないと思います」と大村さん。

ぐらぐらと煮立った出汁の中に、まず野菜を入れ、そして猪肉を入れていきます。鍋は1人前2,500円(税込・写真は2人前)。

猪肉が鍋に投入された瞬間、肉がスーッと出汁の中に吸い込まれていくかのよう。

出汁の下味は醤油、みりんなどに味噌を足したものですが、全体的には味噌の味が勝っています。肉と新鮮な野菜の風味が見事にマッチ。この猪鍋は、同業の飲食業者からも「大村さんの猪鍋は美味しい!」と評判になるほど。

忘れてはいけないのが、お供のお酒。店には焼酎などありとあらゆるお酒がそろいます。猪鍋にはどんなお酒が合いますか?と伺ったところ、「なんでもいいのです。好きなお酒であれば(笑)」とにっこり。

ということで、日中の暑さで渇いた喉を潤すために瓶ビールをお願いしました。大村さんに注いでもらうと、泡がふわふわたっぷりです…。

鍋の〆はご飯を入れておじやにしますが、その前に鍋に残った肉や野菜をすくい取って皿に移し替えます。ビールから冷酒に変えてチビチビと飲んでいる間にうっかり冷めてしまったのですが、しかし、これがまったく味が変わらず美味しいのです! いや、むしろ味に深みが増したような気が…。

さて、「なべや大むら」ならではのエンターテインメントとは、なにかというと…?

それは、本格DJブースに大村さんが入り、ご機嫌な音楽が聞けること。趣味の範囲とはいえ、玄人はだしのDJスタイルに感激します。

「肉屋に生まれて、肉屋で育ち、途中いろいろと違う仕事もしたけれど、最後は“肉屋”に戻ってきました。大切な命をいただくからには、肉屋がやっている鍋の店として、良質な肉をできる限り安くみなさんに食べてもらいたい。それが、今の自分のやり甲斐になっています」とDJブースから大村さんは語ってくれました。

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