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フレンチから猟師飯まで、多種多様なジビエ料理を“出雲鹿®”で作る「出雲ジビエ工房&里山キッチン須佐屋」島根県出雲市

島根県 煮込み パテ シカ イノシシ コース
2021.03.12

日本の神話が集まる島根県出雲市。自然が豊かな山間部に「出雲ジビエ工房&里山キッチン須佐屋」(以下、里山キッチン須佐屋)があります。ジビエのための食肉処理施設とレストランを併設し、美味しいジビエ料理を提供しています。

スサノオノミコトを祀る有名な須佐神社の近くに、以前は「須佐屋」として営業していましたが、2年前に現在の地に店を移転。

白を基調としたシンプルなテーブルと椅子が並ぶ空間には、夕暮れ近くにもなると、やわらかく暖かな夕陽が店内に差し込みます。

蝦夷鹿よりも脂身が少ない出雲鹿®をブランディング

「里山キッチン須佐屋」を率いるのは、オーナーの横山 茂和さん。首都圏から、妻の徳子さんの生まれ故郷である出雲市に移住したのは約20年前。徳子さんのご実家が営む豆富店(※出雲では豆腐を“豆富”と表す)を継いだのですが、その後、狩猟免許を取得し猪の猟をスタート。このころからジビエと深くかかわるようになったのです。

食品衛生法のガイドラインが作られたことで、横山さんに転機が訪れたと言います。
「食肉処理施設で処理されたジビエしか販売できなくなったので、自宅の車庫を撤去して処理施設を作りました。また、出雲市が田畑への獣被害で困っていたので、それまでよく食べられていた猪以外に、馴染みが薄かった鹿を捕獲し利活用しようということに。『出雲鹿®』として商標登録をして売り始めたのです」

その、出雲鹿®の特徴は何なのでしょう?
「日本にはさまざまな種類の鹿がいますが、一般によく知られている出雲鹿®を含む本州鹿と蝦夷鹿で比べると、蝦夷鹿は鹿にしては脂が多め。本州鹿に含まれる出雲鹿®は蝦夷鹿よりも脂が少ないので、和洋中などいろいろな料理とも相性がよく、さっぱりヘルシーに食べられます」とのこと。
この出雲鹿®ですが、有名レストランのシェフにも愛されています。
「あるシェフにサンプルで送ったら、『いい! モノが違いますね』とお褒めをいただいて。シェフには、肉をどういう状態で届けて欲しいか聞きます。モモがいいのか? ロースがいいのか? 塊がいいのか? さく(切り身)の状態がいいのか? オーダー通りに肉の処理をきちっとして、真空状態にして送っているので、劣化しないのです」と、横山さんは分析します。

フレンチ、和食、中華、猟師飯まで、多彩な料理が楽しめる

今回試食をさせていただいたのは、ディナーコース(5,000円~・税込 ※要予約)のうちの2品。横山さんの自慢のメニューです。

まずは、「猪肉のパテ」をいただきます。粗く切った肉に、寒麹(※一年で一番寒い“寒の入り”の時期に作る麹)、醤油、粉チーズ、バジル、おろしニンニクなどを揉み込みます。空気を抜きながら型に入れてボイルし、裏返したまましばらく置いて、その後冷やします。完成したパテは丁寧にスライス。

しっかりとした脂が特徴のパテは、前菜としてもお酒のアテとしても最高!

通常のパテよりも歯応えがしっかりとしていて、マスタードを付けると濃厚でワイルドな猪肉の風味が中和されて、すんなり喉を通っていきます。また、添えられた地元産のキウイや金柑、キュウリのピクルスの甘味や酸味が、パテと好相性です。

パテに合わせていただいたのは、イタリアワインの「ミラル・ビアンコ」。軽めでドライな口当たりは、パテの肉感を程よく中和してくれます。

続いて、メイン料理の「鹿肉のコンフィ」をいただきました。

鹿の首の部分をコトコト5〜6時間ほど煮て、旨味を閉じ込めたものが料理のベースになります。例えると高級なコンビーフのような仕上がりで、これだけでもまたお酒が進みます。さらに赤ワインと、鹿のコンソメで煮込むと、ビーフシチューと同じような感覚でカジュアルに食べられます。

肉がほろほろとやわらかく、もちろん臭みなどはまったくありません。

紹介したメニュー以外にも「鹿肉の甘酢がけ」「青椒肉絲」「鹿のステーキ」「猪肉のしゃぶすき」などがディナーコースのメニューとなり、盛りだくさん!

この日はさらに「猪のコロ煮」も出していただきました。ひと口サイズにカットした猪肉と生姜を鍋に入れてから煎りしたものを、酒、ザラメ、黒砂糖などでひと煮立ちさせて、醤油で味付け。もともと猟師飯であり、“ご飯のお供”といったテイスト。醤油ベースなので、私たち日本人に昔から馴染みのある、素朴な味わいです。

「出雲にはたくさんの鹿がいますが、その鹿を通じて、お客様やシェフなどさまざまな方々と縁が繋がりました。この縁に感謝して、『出雲鹿®』のロゴに“縁”という文字を添えました。これからどんどん縁を広げていきたいですね」と横山さん。

運営を手伝う妻の徳子さんは、体の調子が悪くなって以来、どんなに食べても胃にもたれないジビエだけを食べるようになったとか。息子の豪之(ひでゆき)さんは、「里山キッチン」のホームページなどIT部門を担います。ジビエは家族の絆にもなっているようですね。

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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