現代の名工が手がける家庭的ジビエ料理が楽しめる「せんだんの木」 高知県高知市
高知県高知市役所2階にある「せんだんの木」は、地元食材を活かした料理を提供し、高知の自然を守る試みを行っています。特に人気なのが、家庭的で親しみやすいジビエランチです。増えすぎた鹿や猪を活用し、地元の自然と食文化を支える役割を担っています。
高知の恵みを家庭料理で味わう~「せんだんの木」のジビエランチ
「せんだんの木」では、ジビエ料理を唐揚げやハンバーグ、カレーといった家庭的なメニューに取り入れ、誰でも気軽に楽しめるスタイルを追求しています。
市役所内の食堂と聞くと暗くて閉鎖的なイメージを持たれるかもしれませんが、「せんだんの木」はガラス張りで開放感あふれる空間が広がっています。120席もの座席を備え、晴れた日にはテラス席で食事を楽しむこともできます。職員だけでなく、一般の方や観光客も多く訪れ、気軽にジビエ料理を楽しめる場として親しまれています。
「鹿モモ肉から揚げランチ」(1,800円・税込)は、外はカリッと、中はジューシーで、鹿肉特有の繊細な風味がしっかりと感じられます。クセが少なく、ジビエ初心者にも抵抗なく食べてもらいやすい一品です。鹿モモ肉の程よい歯ごたえと旨味が引き出され、塩こうじに漬け込むことで肉を柔らかくし、高知県の生姜を使った下味が特有の臭みを消して肉の風味を一層引き立てています。まさに家庭料理として親しみやすいジビエ料理と言えるでしょう。
また、「鹿ハンバーグランチ」(1,700円・税込)はしっかりと肉の旨味が詰まっていながらも、低脂肪なため非常にさっぱりとした味わいです。ふわっとした食感でありながら、鹿肉ならではの深いコクが口いっぱいに広がります。ジビエ特有の臭みはなく、肉本来の甘みが楽しめる一品です。ジビエを初めて食べる方にも抵抗なく楽しめるバランスの良い料理です。
どのランチにもサラダ・選べる6種のお惣菜「6マスお惣菜」・高知県四万十町の名産「仁井田米」のご飯・お味噌汁がセットになっています。ご飯・スープはおかわり無料です![
高知商業高校のジビエ部と地元の未来を切り拓く
「せんだんの木」の特徴の一つが、高知商業高校ジビエ部との連携です。日本で唯一のジビエ部として活動しており、その存在もあって地元からの応援を集めています。市民や観光客の支援も増えつつあり、一食につき100円の寄付が集められ、地域の活動を支えています。
また、ジビエ部のメンバーがジビエ料理の提供に協力することで、彼女達の活動も広く知られるようになっています。高校生たちの柔軟な発想が新メニューの開発に役立っているほか、彼女達が関与することで応援の輪もとても広がっていると感じているようです。
夏休みなどを利用し、実際に厨房でジビエ料理の調理を手伝いながら、地域の食文化や自然環境への理解を深めています。「ジビエを通じて子どもたちに地域の食文化を知ってもらい、環境保護や食の大切さを伝えることが、長期的なジビエ普及に繋がる」という考え方は、島田 和幸(しまだ かずゆき)グランシェフもジビエ部も一致しています。こうした取組は、子ども食堂や地域イベントでも実践され、若い世代がジビエを自然な形で受け入れるための入口になっています。
また、高知商業高校の生徒たちと一緒に新メニューや季節限定メニューを開発する際、若い世代の柔軟な発想が料理に新たなアイデアをもたらしているそう。「頭が柔らかいので、自分たちが思いもよらないアイデアを出してくれる」と小松 陽一(こまつ よういち)マネージャーは笑顔で語ります。
自然と健康を守るジビエの力
島田グランシェフは「ジビエの魅力は、単に美味しいだけでなく、地域の自然を守り、人々の健康にも良い影響を与える点にある」と語ります。また、「鹿や猪が山を荒らすと、その影響は海にまで及ぶ。だからこそ、ジビエを食べることは自然を守りながら、同時に人々の健康も支えているんです」と強調します。ジビエは高タンパク・低カロリーで、特に鉄分が豊富なため、女性や健康志向の方にぴったりです。こうした方々にジビエを届けるための取組も行われています。
「せんだんの木」では、高知の名産品との組み合わせを大切にしており、「生生姜やトマト、ゆずといった柑橘系の自然な食材は、ジビエとの相性が抜群」と小松マネージャーは語ります。これからも高知の特産品を活かした新メニューを積極的に開発していく予定で、特にフィンガーフードのように手軽に食べられるものや、子どもでも楽しめるメニューを考案していきたいとのこと。島田グランシェフは「よくある敷居の高いジビエメニューではなく、家庭的で地元の特産品を生かした料理を提供したい」と、新たなチャレンジに意欲的です。
「現代の名工」の技を日常で味わう贅沢
「せんだんの木」の島田 和幸(しまだ かずゆき)グランシェフは、「現代の名工」に選ばれるほどの卓越した技術と豊富な経験を持ちながら、誰もが気軽にジビエ料理を楽しめる場所として、市役所のレストランを監修しています。天皇陛下に2,000人分の料理を提供した実績を持つシェフの料理を、普段の生活の中で楽しめるという贅沢さは、「せんだんの木」ならではの特別な体験です。
島田グランシェフは「どんな方にもおいしい食を提供できるレストランであること。限られた人だけでなく、色々な人に食べてもらうこと、それが料理人としての本来の姿だ」と語ります。この信念のもと、家庭的で親しみやすい料理を提供しつつ、一流の技術を惜しみなく発揮しています。
ガラス張りの開放的な空間で、四季折々の景色を楽しみながら、ジビエという少し特別な素材を用いた料理が、誰にでも親しみやすい形で提供される。それが「せんだんの木」の魅力です。シェフのこだわりと地域との強い連携によって、ジビエが地域の日常の食卓に広がりつつあります。
これからも、島田グランシェフは「新しい挑戦を続けていく」と言います。高知の豊かな自然を守りながら、体に優しいジビエ料理を提供する「せんだんの木」で、その味とシェフの想いをぜひ体験してみてください。「まっことおいしいぜよ!」
せんだんの木
- 公式サイト: https://sendannoki.net/
- 住所:高知県高知市本町5-1-45 高知市役所2F
- TEL:088-855-3310
- 営業時間:11:00~15:00(LO14:00)
- 定休日:土・日・祝日
- ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
- 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。