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ジビエ料理がいただける本当は教えたくない隠れ家ビストロ「THE SHED Espresso&Wine(ザ・シェッド エスプレッソ&ワイン)」東京都世田谷区

東京都 アラカルト ハンバーグ 煮込み ソーセージ シカ イノシシ クマ ランチ
2025.01.27

世田谷の上野毛駅から環八通りを10分ほど歩き、246号線に交差する一本手前の道を右に入ると、そこは閑静な住宅街。しばらく進んでいくと住宅に馴染むように「THE SHED Espresso&Wine」が見えてきます。2023年10月にオープンしたこのお店では、お酒が進む様々なジビエ創作料理がいただけます。

ガレージからビストロへ。趣味と夢が詰まった空間

オーナーシェフの山本 恭平(やまもと きょうへい)さんは九州のご出身。仕事の関係で以前から知り合いだった東京に住むビル管理のオーナーさんに上京することを告げると、現在「THE SHED Espresso&Wine」が入っているビルの2階の部屋を貸してくれることになり、山本さんの東京生活がスタートしました。当時、ビルの1階はオーナーさんの趣味であるクラシックカーのガレージだったそうです。

オーナーさんが高齢となり、「車を手放すので1階で何か始めてみないか」という話が持ち上がったことが、山本さんがこのお店を始めるきっかけとなりました。
「駅前や大きい通り沿いにお店を出すところも多いですが、場所ありきで始めたので、隠れ家的なお店にしたかった。元々はオーナーの趣味のガレージだったので、男のロマンを詰め込んだようなお店になればと思って…」と山本さん。その思いが表れているのが、手作りのテーブル。山本さん自らがお店オープンの前から、このガレージで一から作り上げたのだそう。

「THE SHED Espresso&Wine」では、料理のジャンルにとらわれず、オーナーシェフの山本さんが美味しいと思う創作料理を提供しています。「色々な料理やお酒をお客様に楽しんでもらいたい。だからビストロにしました。ビストロなら何でもありでしょ」と楽しそうな山本さん。その思いのとおり、ジビエ料理もバリエーションにとんでいました。

目の前で燃える「鹿肉の焚火ジャーキー」

最初の一杯に最適な「鹿肉の焚火ジャーキー(900円・税込)」。ビールはもちろんのこと、ジビエ料理としては珍しく白ワインとの相性も抜群なのだそう。鹿の赤身の部位をオーブンで1時間ほど低温調理し、冷凍庫で3日ほど乾燥させたシェフ自家製のジャーキー。テーブルに運ばれたジャーキーにスピリタス(ウォッカ)をかけ、バーナーで火をつけると、香ばしさが一気に広がります。レモン果汁で消火していただくと、鼻に抜ける燻製と柑橘の香りに包まれ、鹿肉の歯ごたえが食欲を刺激します。

3種を食べ比べてみたい「選べるジビエソーセージ」

次にご紹介するのは「選べるジビエソーセージ(1本760円・税込)」。イノシシ・シカ・クマの3種類のソーセージ。今回は3種を盛り合わせていただきました。フライパンで表面をカリっと焼きつけた後に、蒸し焼きにして仕上げています。葉山の自然豊かな山で栽培した新鮮なお野菜の付け合わせとともにいただけます。
シカ肉は柔らかくやさしいお味、イノシシ肉は歯ごたえがあり、中はジューシー。クマ肉は野性味があり、ジビエ感をしっかりと味わえます。

滑らかで濃厚な「鹿肉のカルパッチョ」

赤ワイン好きにはぜひ食していただきたいひと皿「鹿肉のカルパッチョ(1,780円・税込)」。1時間半ほど、じっくり低温調理した鹿肉を薄くスライスし、ガーリックマヨネーズを広げた上にのせます。オリーブオイルやスパイス、西洋わさび、クコの実などを散らして完成。口に運ぶと、まずその舌触りの滑らかさに驚き、肉の濃厚さとクコの実のアクセントが合わさって、前菜ながら満足度の高い一品に仕上がっています。

田舎育ちにとってジビエは身近で大切な存在

子ども時代を宮崎県で過ごした山本さんにとって、ジビエはとても身近な食材だったそう。今でも強烈に覚えているのが、小学生の頃、おばあちゃんの家で食べた鹿肉。子どもながらに美味しすぎて感動したと言います。近所では、おじちゃんたちが猪を解体していたり、田舎ではジビエは身近な存在だったそうです。
大人になってから、鳥獣被害の問題を知り、中には殺処分されて山に埋められてしまう猪などもいると知った山本さんは、「こんなに美味しいのだから、もっとみんなにジビエを知ってもらいたい」と思っていました。そんな折、ビストロを始めることとなり、ジビエ料理を多数提供するようになったそうです。「ジビエは確かに美味しいけど、信頼できる仲介業者から仕入れることが大切だと思っています」と山本さん。

「THE SHED Espresso&Wine」は、ジビエ専門市場「ジビエマルシェ」を運営するワイルドライフを通して、山本さんの出身地である宮崎県をはじめ、山梨県や長野県のジビエを仕入れているのだそう。

ひと口サイズなのにボリューム感たっぷり「ジビエミートボールのトマトハーブ煮込み」

お酒の肴にも、軽めのメインとしてもいただける「ジビエミートボールのトマトハーブ煮込み(980円・税込)」。シカ肉とイノシシ肉の合い挽きミートボールを、ハーブとニンニクが効いたトマトで煮込んだ一品。トマトの酸味とハーブの香りとともに、ジューシーで歯ごたえのあるジビエがお腹を満たしてくれます。

これぞジビエディナーのメイン「鹿肉のハンバーグ」

ディナーのメイン料理としてしっかりとジビエをいただきたい時は「鹿肉のハンバーグ(1,600円・税込)」がおすすめ。フライパンで焼き色を付けてから、オーブンで中まで火入れをして仕上げています。ジビエソーセージ同様、葉山の新鮮野菜とともに盛り付けられたハンバーグ。ナイフを入れると柔らかいのに、弾力もあり、肉汁がとろりと出てきます。臭みも一切なく、肉感を存分に味わえるひと皿です。

今宵はスペシャルなジビエを食したい「ジビエロースト~グリル野菜添え」

ジビエ肉本来の美味しさを存分に堪能したいときは「ジビエロースト~グリル野菜添え
(2人前)」を注文したい。「鹿肉のロースト(3,680円・税込)」「猪肉のロースト(3,980円・税込)」の2種類から選べます。今回は撮影用に2種類を一皿に盛り付けていただきました。塩で下味をつけたヒレ肉の表面をフライパンで焼き、オーブンでロースト。絶妙な火入れにより、お肉のジューシーさを閉じ込めていきます。シカ肉はさっぱりとした味わい、イノシシ肉はほどよい脂が感じられ、お肉感を楽しめます。どちらも鼻に抜けるよい香りが印象的。「処理施設で手早く血抜きをされた鮮度の高い鹿や猪は、元々、山奥で美味しい木の実をたくさん食べて育っています。そのため臭みが全くないのはもちろんのこと、むしろよい香りがするのだと思います」と山本さん。「THE SHED Espresso&Wine」では、ナチュラルワインをはじめ、クラシックワインも数多く取り揃えています。ゆったりと過ごしたい夜に、好みのワインとともにジビエローストを味わうのはいかがでしょうか。

大人から子どもまで地元の人に愛される店

今回ご紹介したジビエ料理以外にも、オープン当初から人気の「鹿肉のボロネーゼ(1,480円・税込)などもあり、お子さんにも好評だそう。毎日のようにランチに訪れる高齢のご夫婦、ディナーには恋人同士やファミリー、テラス席もあるので、気候がよい時期は散歩途中の方が犬を連れてモーニングをとる姿も。「THE SHED Espresso&Wine」では、あらゆる世代のお客様が料理やお酒を楽しんでいるといいます。

カウンター席では、山本さんの奥様である綾子(あやこ)さんが、休日や仕事帰りなどに、お一人でいらしたお客様にお酒などを提供しています。「たまたま席がお隣になったお客様同士で話が盛り上がったり、もちろん私もお客様とおしゃべりに花を咲かせることもあります。休日の午前中からワインを楽しんでいる方もいらっしゃいますよ」。そう話してくださる綾子さんの素敵な笑顔に癒されるお客様も少なくないのでは。

 

お客様にもっと喜んでいただきたいと、日々新しい料理やイベントを考えている山本さん。「ピザ窯を入れたので、今後は生地から手作りした焼きたてのピザを提供していきたいなと。ジビエの挽肉を使ったピザも考えています。店内にモニターも付けたので、スポーツ観戦をしながら料理を囲むイベントなどもいいですよね」と夢を語っていただきました。

 

「THE SHED Espresso&Wine」では、ジビエ料理をはじめ様々なお料理のテイクアウトもできるので、在宅ワークのランチ使いや家で過ごしたい時のお食事として利用してみても。「中には犬のお散歩中に訪れて注文をし、散歩帰りにお料理を取りに来るというお客様もいらっしゃいます」と山本さん。テイクアウトメニューのお問い合わせや注文は電話でも受け付けているそうです。

地元のお客様が多い「THE SHED Espresso&Wine」ですが、最近は口コミやInstagramを見て訪れるお客様も増えてきたとか。「メニューの中にジビエ料理が他の料理と並んで多数あるので、『どんな感じ?』って聞かれることがあるんです。美味しいから一度食べてみてくださいって勧めると、間違いなく驚きと感動がかえってくる。そしてリピート率が高い。忙し過ぎて時間が足りないって思うこともあるけど、自分が本当に美味しいと思っているものを食べてもらえて、さらに生産者さんたちにも喜んでもらえる。料理人としてのロマンですね」と話してくれました。

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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