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本格フレンチのジビエコースで命の尊さを伝える「Restaurant Bel Oiseau(レストラン ベルオワゾー)」栃木県小山市

栃木県 シカ イノシシ
2026.03.11

閑静な住宅街にひっそりとたたずむ「レストラン ベルオワゾー」は、JR小山駅の東口から徒歩15分ほどの場所にあります。同店ではフランスで6年間の修業経験を積み、星野リゾートでも腕を磨き上げてきたオーナーの山本シェフが作る、鹿や猪、熊、そして鴨などの多彩なジビエ料理を堪能できます。

木の温もりに包まれた店内で味わう、本格ジビエフレンチ

店名の「ベルオワゾー(Bel Oiseau)」は、フランス語で「美しい鳥」という意味です。さらにフランス語のことわざである「petit à petit l’oiseau fait son nid(少しずつ、鳥は自分の巣を創る=日本だと「継続は力なり」に近い意味)」という想いも込められています。

その店名を象徴するように、ナチュラルで木のぬくもりを感じられる店内には、さりげなく鳥のモチーフが散りばめられ、訪れる人々を優しく迎えてくれます。
山本シェフはフランスで出会ったこの言葉を大切にし、「ひとつひとつ丁寧に積み重ねる」という姿勢をそのまま料理づくりにも反映。旅の記憶や現地で得た着想を織り込み、心に残る一皿を届けています。根底には、単なる料理技術にとどまらない、命そのものへの深い敬意が感じられます。

肉を一度食べてから調理法を決める。個体差と向き合う繊細な仕事

食材となるジビエは、鹿児島県の処理施設から仕入れています。

山本シェフが最も大切にしているのは、食材の「個体差」です。肉の状態を判断するため、仕入れた肉は調理して必ず味見をするとのこと。その「個体差」を見極め、必要な処理や最適な調理法を判断されているそうです。

ジビエは年齢によって味わいが大きく変わります。若い個体はやわらかく、成獣は力強い味に。年を重ねた個体は旨味が濃縮されますが、そのぶん硬さも出るそうです。たとえば硬い肉は脂と合わせてじっくり煮込み、リエットに。ローストに適さない部位は、野生の脂と白ワインで丁寧に煮て、ペースト状に仕上げます。

こうした「個体に合わせた最適な調理」こそ、ジビエ料理の真骨頂であり、「ベルオワゾー」の味わいを支える大切な技術です。なかでも一年を通して提供される人気のリエットは、技術が凝縮された一品。食事の最初にパンと共に提供される定番メニューは香り豊かで味わい深く、まるで山の恵みそのもの。多くのお客様から高い評価を得ています。

「ベルオワゾー」のジビエコースで味わう、命と自然の恵み

「ベルオワゾー」が提案する「ジビエコース」(33,000円〜・税込)は、一皿一皿に自然の恵みと命への敬意が込められ、味わいだけでなく哲学や物語までも感じられる特別な時間を体験できます。

注目したいのが、鹿のロース肉をじっくりと焼き上げた「シカ ロース ロティー」。山本シェフは、「数あるジビエのなかでも鹿肉は食べやすい食材として親しまれる一方で、その持ち味を最大限に引き出すには、肉の状態を丁寧に見極めることが大切だ」と語ります。

火加減ひとつで味わいが大きく変わってしまうロース肉を、時間をかけて丁寧にロースト。そこへ鹿のジュ(肉汁)から作る特製ソースを合わせることで、しっとりやわらかく、奥行きのある一皿に仕上げています。鹿肉ならではの繊細な香りと深い旨味を、存分に感じることができます。

また、「ジビエコース」では、鹿肉と猪肉をパイで包み季節のキノコや野菜を詰め込んだ「シカとイノシシのプチビエ(パイ包み焼き)」も提供されます。香ばしいパイとジビエの旨味、そして芳醇なソースが一体となり、冬ならではの贅沢な味わいを堪能できます。

山本シェフによると、フランス料理ではフォアグラやトリュフ、季節のキノコなどを用い、ジビエ本来の味というよりも、ソースで味わうスタイルが確立されているそうです。そのため「ソースを食べると言っても過言ではない」と語るほど、ソース作りにはとくに力を注がれています。

料理人であり、ハンターでもある。その理由は「命を理解したい」から

日々お店で提供しているジビエは、鹿児島の信頼できる事業者から仕入れたものですが、ハンターとしての顔も持つ山本シェフは、料理人としての仕事とは別に、山に入り自ら鹿や猪の捕獲に携わることもあります。これは決して興味本位の狩猟ではなく「命を深く理解したうえで料理をしたい」という強い想いから始めた取り組みです。

野菜も魚も、生産者の顔が見える食材がほとんどです。しかし、ジビエだけは供給までの過程が見えず、どのように育ち、どのような環境で生きていた命なのかわからなかったからこそ、自分の目で確かめたいと感じられたそうです。

山では、熟練の猟師たちと共に地形を読み、風の流れを感じ、自然の厳しさを全身で受け止める必要があります。こうした経験は、料理人としての姿勢だけでなく、生き方そのものに大きな影響を与えました。

「山は食材を与えてくれるだけでなく、人間のあり方も教えてくれる場所です」

そう語る山本シェフの言葉からは、自然と向き合いながら命を扱う者としての覚悟と、深い尊敬の念が伝わってきました。

食材への敬意を守るための完全予約制。目指すのは「食の本質を伝えるレストラン」

「『ベルオワゾー』の役割は、ただ美味しさを届けることにとどまらず、『食の本質を伝えるレストラン』であることです。ジビエは、自然の中で生きた命との距離が近く、食育の観点でも大きな力を持っています」

完全予約制を採用しているのも、山本シェフの強い信念によるものです。予約分だけを丁寧に仕込むことで、食材を無駄なく使い切り、フードロスの削減にもつながります。その結果、お客様はその日一番の新鮮な料理を安心して楽しむことができるのです。

山本シェフには、もう一つ大きな夢があります。それは、自分の畑を持ち、山奥で採れる食材と常に近くに暮らすこと。「自ら育て、自ら採り、自ら仕留め、自ら調理する循環の中で生まれる料理こそ、誰よりも説得力を持つのではないでしょうか」と山本シェフは語ります。

ジビエ料理を通じて命の尊さや食材への想いを伝える「ベルオワゾー」には、静かな情熱があふれています。

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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