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神奈川県産の鹿肉を使って新メニューを開発! 「重慶飯店」「重慶茶樓」横浜市

神奈川県 中華 カフェ シカ
2024.01.31

「ジビエト」ではジビエ需要拡大・普及推進事業の1つとして、神奈川県産の鹿肉を使ったメニューを神奈川県内の飲食店に開発していただき、店舗で提供する取組を行なっています。

神奈川県というと野生動物とはあまり縁がなさそうですが、実は農家の人たちが長年農作物の被害に悩まされてきました。被害防止のために農業者や地元猟友会が鳥獣の捕獲をしていますが、その大部分は埋設等処分されています。しかし、最近ではジビエとしての利活用が盛んになっており、神奈川県も熱心に取り組んでいる自治体の一つです。

ジビエファンやジビエに興味のある方たちには、神奈川県産のジビエを、神奈川県内の飲食店で気軽に楽しんでいただける絶好の機会です。

シュウマイに肉まん、神奈川県の鹿肉が中華料理に!

参加店3店舗のうち1店目は、横浜中華街にある老舗中華料理店・重慶飯店。

重慶飯店は1959(昭和34)年に台湾出身の李海天さん・呉延信さんご夫妻が開業した四川料理の名店。2018(平成30)年にリニューアルした本館は、世界的に有名な香港のデザイナー、アラン・チャンが外装を手がけ、館内にはオーナーが収集した美術品も展示されるなど、重厚感が漂います。もともと、あまりジビエのイメージが無い中華料理店の、しかも格式ある老舗がジビエをどう料理するのか興味津々です。

お話を伺ったのは、シェフ兼レシピ開発室長の木暮浩三さん。コンビニやスーパーマーケットの惣菜などの監修も手掛ける人気シェフです。

そして今回、重慶飯店が開発した神奈川県産鹿肉料理は4メニュー。

  1. 鹿肉のシュウマイ
  2. 鹿肉の肉まん
  3. 鹿肉の白甘酢炒め
  4. 鹿肉の麻辣鍋

このうち木暮さんが開発したのはシュウマイと肉まん。他の2点は本館の料理長が開発したそうです。

モモ肉のペーストとイチボの肉感がシュウマイの中で混ざり合う

まず「鹿肉のシュウマイ」の調理風景を見学。使ったのはモモ肉とイチボです。

鹿肉というと塊肉で食べるイメージなので、挽肉になっているのが新鮮。なぜシュウマイや肉まんにしようと思ったのでしょう?

「以前、別のお店でジビエを出したところ、コロッケが好評だったと聞きまして。我々調理師って難しい料理を出したがるクセがあるんですけど、お客様には分かりやすい料理がいいんだなと思って。それで皆さんになじみのあるシュウマイと肉まんにしました」

 

実際にミンチにしてみた感触は?

「モモの方が固いのかなと思いきや、イチボの方が歯応えが出やすかったです。鹿肉は普段シュウマイに使っている豚肉と比べると、粘りっけが出やすいようです。たぶん繊維がすごく滑らかくて、挽材にした時にすぐペーストみたいになって、弾力が生まれる。それでモモは5㎜くらい、ちょっと小さめに挽いて弾力を出し、イチボの方を8㎜くらいの粗めに挽いて食感を残し、ふたつの食感で美味しく召し上がっていただくようにしました」

味付けも通常のシュウマイとは変えているとか。

「鹿ってやっぱりクセがあるんで、どうしたらそのクセを殺さずに美味しく召し上がってもらえるのかなと思った時に、陳皮などを入れようと思いつきました。少し脂分が欲しい感じがしたので、頭には松の実を載せました」

その場で蒸したてのシュウマイをいただくと、イチボの噛み応えがあり、しっかり肉を味わっている感じ。鹿独特の味があり、陳皮の爽やかさも感じます。頭に乗った松の実も食感があり、グリンピースの緑でなく黄色の粒が載っている見た目もユニーク。これまで、どこでも食べたことがないシュウマイを味わえました。

肉まんの中からトロッとしたコラーゲンが…

続いて「鹿肉の肉まん」に使ったのはスネ肉。スネは固いため、2時間かけて蒸し上げてから煮込んだそう。そうまでしてスネを使ったのにはどんな理由が?

「煮込むとトロットロになるじゃないですか。コラーゲンを食べてもらおうかと思って。肉まんって挽材でやることが多いんですけど、昔トンポーロー(豚の角煮)で肉まんを作った時、トロッとした食感が生まれて美味しかったんです。大ぶりに切ってゴロゴロしてて、トロッというイメージで作りました」

タネにはニンジンとセロリも投入。

「肉だけだとどうしても飽きが来るんで、味と食感に変化を持たせようと。セロリは本場中国では水餃子に入れるんですけど、香味野菜なんで、香りを添加させるのにいい。タネには生のまま放りこんでおいて、最後に10分くらい、肉まんを蒸す熱だけで過熱するので、シャキシャキした食感も残ります。普段の肉まんでは入れていない特別仕様です」

饅頭生地も通常の肉まんとは少し変えているそう。

「普段の肉まんより少し硬めです。そうしないと中がトロッと柔らかい分、タネを入れて二次発酵させた時に生地がだれてしまうので」

しっかりめの饅頭を割ると、コラーゲンたっぷりの肉と、歯応えのあるニンジンとセロリとのコラボが…どうですか、想像しただけで美味しそうでしょう?

鹿肉が本格中華の「白甘酢炒め」と「麻辣鍋」に

3品目の「鹿肉の白甘酢炒め」はヒレ肉、4品目の「鹿肉の麻辣鍋」はロースをそれぞれ使っています。

「白甘酢炒めは、油で揚げたヒレ肉を使っています。表面をしっかり揚げたり焼いたりしてギュッと旨味と軟らかさを閉じ込める、干(がんぺん)という四川料理独特の技法に近い技を用いています。火鍋は味のしっかりしたロースを使いました。ご存じの通り、ピリッと辛い香辛料を使うので、鹿肉のクセを消すには打ってつけの調理法だと思います。そんな風に今回の4品は、ところどころで四川特有の技法や材料をジビエと合わせています。」

 

「私は以前、エゾ鹿を調理したことがありますが、エゾ鹿の方がクセがあって繊維質も強めでした。それに比べると神奈川県産の鹿肉はずっと食べやすくてお薦めだと思います。僕自身、昔ある店で雉を食べてえらい目に遭ったことがあって…すごく硬かったんですよね。だからジビエはたまに食べるくらいでしたが、この鹿を食べてジビエの印象が変わりました」

調理を手伝ってくれた宴会場料理長の鈴木浩太郎さんも「牛肉に近い印象です。四川料理なら山椒や唐辛子を使ってクセも消せるので、いろいろ使い勝手があって、中華にも使えるなと感じました」。

木暮料理長のイチオシ鹿肉メニューは…?

本来中国では、豚肉や鶏肉、羊肉を好み、ジビエはあまり食べないのだそう。だから中華料理のメニューでジビエを見かけることはめったにありませんでした。

重慶飯店のような老舗中華料理店でジビエを扱うことに、抵抗感や反対などは無かったのか木暮さんに聞いてみると…。

「うちの店はそういうのは全くありませんね。むしろ社風が伝統と革新で、社長は新しいことに常にチャレンジしています。横浜中華街で初めて四川料理を開いたのが重慶飯店ですし、他にも初めてランチセットを販売したり、セルフオーダー式のお土産店を始めたりと、他にも中華街で初めてといわれるものが歴史の中で多くあります。」

伝統店がそのような気持ちでジビエの利活用に取り組んでくれるのは、社会的にも意味のあることです。

「今回開発したメニューは、ジビエになじみの薄い中国の人も食べるきっかけになればと思います。ジビエ料理が重慶飯店の定番になっていく可能性も十分あると思います。特に私のイチオシは肉まん。通常の肉まんって二度蒸しするのでどうしても肉汁が減ってしまうけど、鹿肉の肉まんはトロッとしたのが味わえますから」

前半2品は飲茶が中心の重慶茶樓で、後半2品は本館で、2024年2月上旬から提供予定。手軽に中華ジビエを味わいたいなら茶樓で、本格的に味わいたいなら本館で、ぜひ体験してみてください。

 

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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