駅前ビストロで地元ジビエに舌鼓！「FondBROWN」愛知県豊橋市

愛知県の南東部に位置する豊橋市は、全国でも有数の農業地帯。東は弓張山地を境に静岡県と接し、南は太平洋、西は三河湾に面するなど、山と海に囲まれた都市です。東三河の玄関口としても栄え、豊橋駅には新幹線やJR在来線、名古屋鉄道が乗り入れており、現在も市民の足として親しまれる路面電車や豊橋鉄道の駅も隣接しています。

今回ご紹介する「FondBROWN（フォンブラウン）」（以下、フォンブラウン）は、豊橋駅東口から徒歩3分。駅前デッキを下りて、約30歩という近さの駅前ビストロです。

ビルの1階にあるお店は、遠くからでもひと目でわかるオレンジ色の扉が目印です。

扉を開けて店内に入ると、カウンター6席とテーブル席1つのこぢんまりとした空間が広がります。リキュールやスパイスが所狭しと並び、まるで大人の秘密基地のよう。

腕を振るうのは、オーナーシェフの小澤 明徳（あきのり）さん。学生時代、留学先のアメリカで料理のおもしろさに目覚め、ニューヨークの料理学校に入学。そこでフランス料理のフォン（出汁）の奥深さに魅了されたと言います。
「料理学校では、フレンチレストランのインターンシップに参加。そこではジビエに触れる時間も多く、鹿が目の前で解体される様子を見て、命の尊さを改めて学びました」

帰国後、都内などでフレンチシェフとして経験を積み、地元にUターン。2014年に念願だった自分のお店をオープンしました。

本格フレンチを誰でも気軽に味わえる店に

フレンチを気軽に味わってほしいとの思いから、カジュアルなビストロスタイルに。しかし、周囲から“出汁とりマニア”とも呼ばれる小澤さんが作る料理は、どれも本格派です。
「店名の由来にもなっている、褐色（ブラウン）の出汁（フォン）がしっかりと染み込んだ料理を、ぜひ味わってください」と小澤さん。

食材は地元産にこだわり、なかでもジビエは同じ東三河エリアにある「山里カフェMui」や「名代 和食 ししや（三河猪家）」、「奥三河高原ジビエの森」から仕入れています。

こちらでジビエを確実にいただくなら、5,000円（税込）〜12,000円（税込）コースの予約がおすすめです。今回は5,000円コースの肉料理として提供される「鹿肉のソテー」をいただきました。

鹿の肩肉（※部位は仕入れにより異なる）を塩・胡椒をふり、表面を軽くソテー。その後、鹿の骨からとったフォンに漬けてじっくりと真空低温調理。再び表面をソテーして、フォンを煮詰めたソースと共に、お皿に盛り付けます。

赤身が多い肩肉ということで、歯応えがあるものを想像していましたが、スッとナイフが入る柔らかさ。ひと口食べれば、赤身肉の濃厚な風味と優しいフォンの味わいが口いっぱいに広がります。しっとりとした鹿肉の力強い旨味がたまりません。

ニューヨーク仕込みの美しい盛り付けに、付け合わせのタモギ茸やマコモダケのコリコリとした食感も楽しい一皿でした。

SNS映えするマンガ肉は、ボリューム満点！

6,000円（税込）以上のコースでいただけるのは、インパクトが強烈なマンガ肉です。最近では、この骨付き肉を指定して予約する人も多いのだとか。

まるでマンガに出てきそうな骨付き肉は、鹿の腕肉をジューシーにグリルしたもの。両手で骨を持ち、豪快に“ガブリ”と味わいたい一品です。

ほかにも時期によっては、アナグマ、アライグマ、真鴨など、さまざまなジビエが登場します。

ジビエ以外にも、本格的なフレンチをカジュアルにいただける「フォンブラウン」ですが、愛知県豊根村で養殖されたチョウザメを使ったしゃぶしゃぶ（写真）がメニューに登場することも。

10,000円（税込）コースには、チョウザメとキャビアが登場します。2012年から地域おこしの一環で始まった豊根村のチョウザメ養殖ですが、キャビアは今年ようやく商品化が実現した貴重なもの。

お店から徒歩10分の場所にある水上ビルで定期的に開催されるイベントでは、「ジビエ入りサンドウィッチ」（1,500円・税込）が人気です。

オーナーシェフの小澤さんは、さらにジビエを極めたいと、わな猟の免許を取得。ゆくゆくは自ら狩猟に出かけ、自ら解体したジビエを提供できるお店を作りたい。そんな夢を描いています。
「まずは今の店で、地元で捕れたジビエの精肉や加工品の販売をスタートさせて、ジビエの裾野を広げたい」と熱く語ってくれました。

ナチュラルワインを傾けながらジビエを味わい、小澤さんと語り合うのも楽しいひとときです。