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ジビエペットフード

愛犬が喜ぶ味と高い栄養価で人気上昇中! ジビエペットフードをおすすめする理由とメリットに迫る!

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2023.03.18

犬・猫用のペットフードとして、近年、ジビエを使った商品が増えています。農林水産省の調査によると、ペットフードとしてのジビエの利用は2016年度の150トンから、21年度は4倍超の656トンに急増。ジビエ全体に占める割合も11.7%から30.8%に。増え続けるジビエのペットフードの実態を知るべく、一般社団法人ジビエペットフード協会代表理事の高橋 潔(きよし)さんにお話を伺いました。

廃棄されていた部位を活用し、ペットフードに

ジビエペットフード協会の設立は、2019年。代表理事の高橋さんは、協会設立前から食肉用のジビエをレストランに卸すジビエ専用市場「ジビエマルシェ」というジビエ専門の市場を運営。食肉処理施設50か所と飲食店1500店舗の仲介を担っていましたが、数年前から「廃棄される肉をペット用に使いたいので譲ってほしい」と、食肉処理施設を訪れる人があとを絶たないと各所で耳にするように。
これを聞いた高橋さんは、「食肉としては使われない部位を、ペットフードにしてみたらどうだろう」と考えました。というのも、当時、食肉としてのジビエ利用は鹿・猪の捕獲頭数に対してわずか約1割(狩猟者による自家消費分は除く)。この先、食用としてのジビエの出荷量が急激に増えることは考えにくく、頭打ちの状態だったそうです。同時に、家畜と違い、入荷予定を計画できないジビエの食肉処理施設にとって、安定した経営の確保が大きな課題となっていました。

「ジビエのペットフード利用ができれば、食肉以外のジビエ利用率が増えると共に、これまで廃棄してきた部位を活用することで施設経営の安定にもつながるのではと考えました。現在は、食肉処理施設30か所とペットフードメーカー50社を仲介し、月間5トンを販売しています」

使用するジビエは、保健所から営業許可を得た食肉処理施設で解体処理されたもののみ。いずれも食肉用の施設のため、高い衛生レベルを誇っています。

「協会では、“ヒューマングレード(人が食べられる安全性のもの)”を基準にペットフード用の肉を選別しています。とはいえ野生のものなので、捕獲頭数は大きく変動します。そのため、大口の注文の場合は、複数の食肉処理施設から分納し、リスクを分散。すべての施設の肉を個別にテスト販売し、買い手に納得いただいてから本格的な取引を開始します」と高橋さん。

食い付きのよさが桁違い! ジビエペットフードが人気の理由とは?

ペット用に利用されるのは、鹿や猪の内臓や骨、皮といったこれまで捨てられていた部位が中心。特に犬には鹿肉の人気が高いそうで、その理由を聞いてみると、
「まず、ワンちゃんの食い付きのよさが違うのが圧倒的な理由です。飼い主の方は、食い付きにはとても敏感です。そもそも、ワンちゃんの祖先であるオオカミは、鹿を主食にしていたので、当たり前のことなんですけれど。また、ペットの肥満が問題になっている昨今、鹿肉は牛肉と比べてカロリーや脂質が低いというのも魅力的。食材としては、最もワンちゃんに向いているといっても過言ではありません」

鹿の内臓や骨、角…。愛犬が喜ぶ品が充実

協会では、ペットフードメーカーが商品化する際の見本となるサンプルを製造する傍ら、個人向けにオンラインで販売も行っています。犬・猫どちらにもおすすめですが、圧倒的に犬を飼う方からのリピートが多いそう。人気は、主に鹿のモモ肉を乾燥させ、旨味をギュッと閉じ込めた「鹿肉ジャーキー」(50g 770円・税込)。ソフトタイプで食べやすく、どんな犬種にも好評です。

レバー(肝臓)やハツ(心臓)などの内臓をジャーキーにした「鹿肉内臓ジャーキー」(50g 770円・税込)は、鉄分が多く、栄養満点。鮮度が落ちやすい内臓を処理施設で一つ一つ手作りしているもので、犬種や個体によって好き嫌いは分かれますが、イチ押しとのこと。

ほかにも、鹿1頭から少ししか取れない希少部位(主にアキレス腱と背筋)を使った「鹿すじガム」(50g 1,320円・税込)、肉とカルシウムが同時に摂取でき、歯磨き効果も期待できる「鹿肉スペアリブジャーキー」(50g 770円・税込)、歯磨きに人気の「鹿角」(1,650円~・税込)などさまざま。

ジビエペットフードを選ぶ際のチェックポイント

ところで、店頭などでジビエのペットフードを選ぶ際、飼い主はどんなことに気を付けたらよいのでしょう?

「できれば、事前に食肉処理施設や衛生基準、製造工程などを確認してみてください。ホームページに衛生基準をしっかりうたっている会社や自社で製造から販売まで管理している会社などは安心できそうです。あとは愛犬が食べるか食べないか、好みが大きいかと思います。初めてのものを食べるとお腹を壊すことも珍しくないので、最初は少量から与えて様子をみることをおすすめします」

ペット利用が食肉を超える!? 余すことなくジビエを活用

今後の展望について尋ねてみると、「まずは1年後、食用で使われるジビエの量を超えることが一つの目標です」と高橋さん。前述のとおり、21年度のジビエのペットフード利用は656トン。対する食用は1,438トンと2倍強ですが、近年のジビエペットフードの急成長ぶりを考えると十分見込みがあると言います。
「多くのペットがジビエを食べるようになれば、これまで捨てられてきた鹿や猪を廃棄することなく活用できます。食肉処理施設の経営も安定し、食用以外の利益を得ることができるようになるでしょう。皮やひづめといったこれまであまり活用されてこなかった部位をどう利用していくかも今後の課題です」
急成長中のジビエのペットフード利用。食肉の利用量を超す日も、そう遠くなさそうです。

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