紀伊半島南部、緑豊かな山々と、日本でも有数の清流・古座川が流れる町、和歌山県の古座川町。この町の小中学校で行われている取り組みが、全国的にも話題に! なんと月に1、2回、ジビエを使った給食が提供されています。
「『古座川ジビエ』は都市部のレストランへの出荷が基本ですが、やっぱり地元の子どもたちに、自分たちの住む地域にこんなにおいしいお肉があるんだということを知ってもらいたくて、給食への導入を始めました」と話すのは、古座川町地域振興課・細井孝哲さん。2015年より稼働した、町内の食肉加工処理施設「山の光工房」を立ち上げた中心人物です。
まず、「山の光工房」は国内最高レベルともいわれる、最新鋭の設備を備えた施設で、処理される鹿・猪のジビエ肉は、安心・安全な食材として折り紙付き。そして、実際の給食では猪肉のミンチを使ったハヤシライスや、鹿肉のカレー、ジビエソーセージのピラフ、さらにシチューにコロッケ、スパゲッティ、竜田揚げ、ハンバーガーなど、多彩なメニューを用意。
子どもたちからは、「やわらかくておいしい」、「ジビエだとわからなかった」、「食べて活用する取り組みがとてもいいと思います」などの感想が寄せられ、大好評を博しています。
「ジビエの給食を通じて、地元の食材に興味を持ち、地域自体を知ってもらいたいという願いがあります。給食以外にも、たとえば修学旅行で訪れた東京のレストランで、古座川のジビエが使われた料理を食べる、という経験も面白いかもしれません。古座川町に愛着を持つ子どもに育ってもらえたら」と、細井さんは言います。
古座川町の地域資源としてのジビエのPRは、地元の子どもたちに留まらず、近年ではアスリート向けにもプロモーションをスタート。ジビエは低脂肪で高タンパク、鉄分も多く貧血防止につながり、脂肪を燃焼するといわれるカルニチンという成分が多く含まれており、「格闘家やボクシングなど減量が必要なスポーツ選手にぴったりな食材」(細井さん)として、普及を進めているそう。細井さんほか「山の光工房」のメンバーを中心に、地元の子どもたちを含め、ジビエの魅力を伝える活動を精力的に続けています。