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優雅な神楽に雲海や峡谷の絶景、ジビエの美味満載!神話に彩られた宮崎・高千穂への旅

イノシシ
2020.03.31

九州のほぼ中央部に位置する宮崎県、高千穂町。美しく神秘的な自然と、神話が息づく町として知られています。今回、高千穂を中心に延岡、日之影地域を旅するのはフランス・パリ出身で、現在、日本在住3年目のギギさん。

もともとフランスの観光協会で働きながら、YouTubeやfacebookなどを中心とした情報発信メディア「Ichiban Japan」を運営。8年ほど前から何度も日本に足を運び、自身で動画を撮影しながら、全国の地方の魅力を、世界に発信し続けています。今回はギギさん自身3度目になるという高千穂を1泊2日、ジビエ料理も味わう旅に向かいます。

 

癒しを感じられるパワースポットとアトラクション

 

高千穂町へと到着したギギさんは、まずは「天岩戸神社」へ参拝します。天岩戸神社は東本宮と西本宮があり、古事記や日本書紀で描かれる日本神話の主神、天照大神(アマテラスオオミカミ)を祀っています。

「神話の中で、天照大神は弟のスサノオノミコトの乱暴に怒り、洞窟の中に隠れました。天照大神は太陽の神だったから、この世界はすべて真っ暗になった。困った他の神様たちはみんなで相談し、洞窟の前でパーティーやダンスをして、天照大神の気を引こうとしたんです。その洞窟が、この神社の西本宮にある『天岩戸』なのだそうですよ」とギギさんが教えてくれました。驚くほど日本の神話に精通しています。

「この先、その神様たちが相談したといわれる場所もあるんです」と、ギギさん。西本宮から岩戸川に沿って歩くこと約15分、「天安河原(あまのやすかわら)」があります。鳥居の後ろには間口40メートル、奥行き30メートルにも及ぶ、「仰慕ヶ窟(ぎょうぼがいわや)」とも呼ばれる大洞窟。周囲には、いつからか、願いごとをする人たちが積んだ石が無数にあり、神秘的な雰囲気を醸し出しています。

「フランスではパワースポットという考え方は一般的ではないけれど、特別な場所で何かパワーをもらえそう、というのを信じたい気持ちは、よくわかりますね」とギギさんも言います。岩戸川沿いの遊歩道をしばし歩きながら、清流を眺め、せせらぎや鳥の声を聞く、癒しの時間に浸りました。

続いて、高千穂ならではのアトラクションを体験するため、「高千穂あまてらす鉄道」へ。高千穂あまてらす鉄道は、台風の被害で廃線になった旧高千穂線の一部を利用し、2008年にスタート。飛行場で貨物などを引っ張るトーイング・トラクターを活用した定員30名の「グランド・スーパーカート」を線路の上に走らせ、往復5.1㎞、約30分のオープンエアの、小さな鉄道旅行を楽しめます。

カートは木々の間を抜け、田畑を見下ろしながら走ります。民家の庭先からは手を振ってくれるおばあちゃんがいてほっこり。「これからトンネルに入ります。上の方をご覧になってください。簡単ではございますがイルミネーションが点灯します」。「続きまして木立のトンネルの中を通過いたします」。運転手さんの心温まるガイド付きです。

圧巻は、水面から105m、鉄道橋としては日本一の高さに架かる高千穂鉄橋からの眺め。眼下には先ほど歩いた岩戸川が見えます。10分程度、停車し、その間に運転手さんがシャボン玉を飛ばすサービスも。写真スポットとしても映える場所です。

「子ども連れのファミリーでも楽しめる、可愛らしい鉄道ですね」と、ギギさん。料金は大人1,500円、小・中学生900円、未就学児500円(税込)で、基本的に毎日10便、運航しています。

 

天岩戸神社

住所:宮崎県西臼杵郡高千穂町岩戸1073-1

TEL:0982-74-8239

公式サイト:http://amanoiwato-jinja.jp/

 

高千穂あまてらす鉄道

住所:宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井1425-1

TEL:0982-72-3216

公式サイト:https://amaterasu-railway.jp/

 

 

ジビエに舌鼓を打ち、神楽の世界に浸る

夕食は今回の旅の目的の一つ、地元のジビエを味わうため隣町の延岡市に足を伸ばします。訪れたのは「遊食旬彩 かわまさ」

京都の和食店などで腕を磨いた店主が、名産の宮崎牛をはじめ地元の新鮮な魚介や野菜を吟味し、一工夫加えて提供している、人気の居酒屋です。ギギさんは延岡産の質の良いジビエを使った「鹿もも肉 アスパラチーズ巻き揚げ」と、「猪バラ肉の角煮」、「鹿肉のミートピザ」(要問い合わせ)を注文。

 

「ミックステイストがあって面白いですね。同じ鹿でもフライのサクサク、ピザのモチモチという、違った食感の取り合わせで食べられるのが楽しい。猪はフランスでは乾燥ソーセージ『ソシソン』でなじみ深い食材ですが、フランス人は猪の脂をあまり食べません。ですが、この角煮の猪の脂はサラリとしていてとてもおいしいですね」と、ギギさんも満足の様子。

夕食の後はギギさんが、「メインイベントの一つ」と話す神楽を観賞するため、高千穂町の高千穂神社へ。かがり火が灯る境内を進み、神楽殿に着くと、室内には舞の奉納を待つ大勢の人が集まっていました。

「神楽は高千穂に来たらマストで見てほしい。この神楽は有名な舞だけを集め、1時間にぎゅっと短くしたショートバージョン。神楽の世界をまず体験するにはぴったりです」と、ギギさんは言います。

 

そもそも「高千穂の夜神楽」は11月中旬から2月上旬にかけて、三十三番の神楽が町内のあちこちの神楽宿で、夕方から翌日の昼前まで奉納されるというもの。日本神話の有名なエピソードをモチーフにし、国の重要無形民俗文化財に指定されています。高千穂神社では、毎晩20時より1時間、「高千穂神楽」として三十三番の神楽の中から代表的な「手力雄の舞」「鈿女の舞」「戸取の舞」「御神体の舞」を公開しており、料金は700円(税込)。集落の神楽の舞手が交代で奉納する本格的な舞が人気を集めています。

 

「他に、広島と島根の石見の神楽も見たことがありますが、広島はバトルのような踊りも盛り込まれダイナミックで、石見はスピーディー。高千穂はゆったりとして優雅なのが独特です。三十三番舞う本番の夜神楽も観ましたが、みんなお酒を飲んでいたり、寝転んだりして楽しんでいて、そんな雰囲気も良い」と、ギギさんは高千穂の神楽の魅力を熱弁。神楽の興奮冷めやまぬ中、1日目の夜が更けていきました。

 

高千穂神社

住所:宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井1037

TEL:0982-72-2413

 

 

高千穂の名所をめぐるアクティブな時間

早朝5時前、朝日が昇る時刻に合わせ、宿を出発します。目指したのは「国見ヶ丘」。標高513mのこの丘は、高千穂盆地を眼下に、阿蘇の五岳や祖母連山などの山々を一望できる絶景スポットです。大パノラマが楽しめるのはもちろんのこと、雲海の名所としても有名。

 

雲海の見頃は秋から初冬の早朝で、よく晴れて風がない、冷え込んだ日がベスト。この日はあいにくと日の出前に雨が降り、鮮明な雲海には出会えませんでしたが、雲や霧が山々の間をゆらりと流れ、まるで墨絵の水墨画のような幻想的な景色が目の前に広がりました。

「やはりすごく良いですね。僕は初めて高千穂に来た時、朝日に照らされた完璧な雲海をここで見ることができました。展望台への道のりも、雲の中をずっと登って行く感覚。感動しますよ。この国見ヶ丘の雲海も、高千穂にきたら絶対に体験してほしいことの一つです」と、ギギさん。

次は高千穂のシンボルといえる名所、「高千穂峡」へ。太古の昔、阿蘇山の火砕流が冷え固まり、侵食されてできた断崖がそそり立つ峡谷です。戦前の1934年には国の名勝・天然記念物に指定されています。高千穂町役場の企画観光課の児玉龍之介さんが案内してくれました。

「高千穂峡の『真名井の滝』は日本の滝百選に指定されていて、高さは17m、滝壺の深さは23mほど。また、整備された遊歩道には、3本のアーチ橋を一望できる「高千穂三橋」や、巨大な「鬼八の力石」など、フォトジェニックな撮影スポットや、神話と伝説に所縁のある名所が数多くあるんですよ」、と児玉さんは丁寧に説明してくれます。

 

さらに、高千穂峡でぜひ利用してほしいのが貸しボート。ボートから見上げる真名井の滝は迫力満点で、さらに翡翠のように美しい色合いの川の水に、見とれてしまいます。ボートは1隻3人乗りで30分2,000円、延長料金は10分300円(税込)。

この後はさらにアクティブに、2つの神社に足を運びました。「荒立神社(あらたてじんじゃ)」は高千穂に神様たちが降り立った「天孫降臨」の時に結ばれた神様が荒木でお宮を建立したといわれる神社。縁結びなどにご利益があるとされ、芸能の神様としても信仰されています。

もう一つは、天孫降臨の地として伝えられる「槵觸の峯」にある「槵觸神社(くしふるじんじゃ)」。階段を上ると、杉の巨木が生い茂った神社がお目見え。木々の間から降り注ぐ光が荘厳な雰囲気です。

 

「神社やお寺は大好きです。静かで、建物も美しく、ちょっとした散歩にも良い。神道と仏教が微妙に混じっている場所があるのも興味深いですね」とギギさんは言います。

 

 

国見ヶ丘

住所:宮崎県西臼杵郡高千穂町押方

TEL:0982-73-1213(高千穂町観光協会)

 

高千穂峡

住所:宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井御塩井

TEL:0982-73-1213(高千穂町観光協会)

 

荒立神社

住所:宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井667

TEL:0982-72-2368

 

槵觸神社

住所:宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井713

TEL:0982-72-2413(高千穂神社)

 

 

世界農業遺産の棚田をじっくり見学

神社めぐりの後に「栃又棚田(とちまたたなだ)」を見学。高千穂町の中央を流れる、阿蘇山の噴火でできたV字型の五ヶ瀬川沿いは段々になった田畑が広がり、米などの作物のほか、和牛も飼育されています。実はこのエリアは、国連食糧農業機関から世界農業遺産に認定されました。

「平地が少ない山間地で、森林を守り、急斜面に用水路を作って棚田にし、稲作を行うなど、複合的な農業のシステムを作り上げて、長い間受け継いできました。神楽も収穫を祝うお祭りです。農業だけではなく、伝統や文化、ここで暮らす人々のつながりも含めて、世界農業遺産と認められました」と、高千穂町役場の企画観光課の山口梨奈さんは教えてくれます。立ち寄った棚田が見下ろせる場所は天岩戸神社に近く、世界農業遺産の大きな看板と駐車スペースがあり、ひと休みしながら眺めを楽しむのにぴったり。

「ちょっとした寄り道感覚で来られて、便利なロケーション。あぜ道を歩いて棚田を間近に見られるのも新鮮です」と話すギギさんは棚田を縫うように歩き回り、興味津々な様子でした。

 

 

栃又棚田

住所:宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井

TEL:0982-73-1213(高千穂町観光協会)

 

 

新鮮でハイクオリティな鹿・猪肉の逸品

 

活動的に名所をめぐった午前中が終わり、そろそろおなかも空くころ。高千穂町を出てお隣、日之影町にある「道の駅 青雲橋」にある「レストラン ひのおかげ」<詳しくはこちら>へ。宮崎県の高千穂と延岡を結ぶ道路にかかる、水面からの高さが137mもある「青雲橋」のそばにあり、地元の農産物や加工品などの直売所や展望デッキも併設されています。

 

味わったのは郷土色豊かな「田中さんちのしし丼」。近くの処理施設から届く新鮮な猪のバラ肉を使い、地元の「しし鍋」をヒントに、味噌やニンニクで煮込み、ご飯の上に敷き詰めています。

「猪の肉の味が引き立つ、あっさりした味付けでおいしいです。景色も最高で休憩スポットとしても良いですね。直売所でおみやげ用に焼酎も買いました」と、ギギさん。

続いて、延岡市に向かい、ジビエの炭火焼きなどを堪能できる「まつだ屋ジビエ」<詳しくはこちら>へ。鹿と猪肉の捕獲から処理、販売までを行う会社の前のスペースで、多彩なジビエ料理が味わえます。

鹿のアバラ肉やローズマリー風味の鹿もも肉焼き、猪のバラ肉の塩焼き、鹿肉のソーセージ、鹿もも肉の唐揚げなど、美味なジビエメニューが続々と登場。同社のジビエは東京や関西のハイクラスのレストランでも取り扱われており、非常に高い評価を受けています。

 

「独自開発した猟犬の『ラガー犬』などを駆使し、鹿や猪にストレスをかけずに仕留めるから、うちの肉は旨いんです」と話す、代表取締役社長の松田秀人さん。松田さんの話をうかがいながら味わったギギさんも、「鹿や猪の肉のクオリティが高く、そのおいしさを純粋に味わえますね」と絶賛していました。

2日間にわたる、宮崎の旅を満喫したギギさん。「すごく良いコースだと思います。高千穂を中心に名所を見たり、神楽を観賞したりするだけでももちろん最高ですが、ジビエを食べるとローカルな場所ならではの経験ができ、さらに充実した旅になる。何度来ても楽しめます」とギギさん。満ち足りた表情で宮崎を後にしました。

 

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