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炭の香りと肉の旨味に悶絶するジビエのロースト「Restaurant Pétillant」東京都武蔵野市吉祥寺本町

東京都 フレンチ 焼肉・ロースト 煮込み シカ イノシシ クマ エゾジカ
2021.09.01

にぎやかな商店街が広がるJR中央線吉祥寺駅より、その喧騒を離れ歩くこと約15分。成蹊大学の程近くにある「Restaurant Pétillant(レストラン ペティヤン)」。

ブルーの庇と大きな煙突が目印の、かわいらしい佇まいをしたフレンチレストランです。

木を基調にした店内はカウンター6席とテーブル席が1組。ジャズが流れ、各席にはろうそくが灯る温もりある雰囲気です。

オーナーシェフの輿水 烈旺(こしみず れお)さんは栄養専門学校卒業後、フレンチの道へ。当時の吉祥寺・人気フレンチ「Mariage(マリアージュ)」(現在は、西荻窪へ移転)などで経験を積み、同じく吉祥寺の老舗フレンチ「Le Bon Vivant(ル・ボン・ヴィボン)」のシェフに就任。「育ててもらった吉祥寺に恩返しがしたい」と2021年1月にオープンしました。

メニューはランチ4,600円(税込)~、ディナー7,600円(税込)~のコースのみ。ランチもディナーも料理のラインナップは基本的に同じ。皿数によって値段が変わり、どのコースでも入荷があればメインにジビエ料理を選択できます(料理によりプラス料金あり)。

炭火でじっくり火を入れてジビエの旨味を最大限に引き出す

旬の走りを追いかけ、メニューは月替わり。ジビエも季節によりベストなものを入荷し、10月後半から冬にかけては蝦夷鹿のほか、猪やオナガガモなどが登場します。※写真左は6月、右は1月のディナー10,600円(税込)の一例

鹿は蝦夷鹿にこだわり、その理由を「赤身の色が濃い。色の濃さは旨味の濃さに直結すると感じています。ハンターの腕が抜群なうえ、仕留めたあとも北海道の雪の冷たさのおかげで鮮度が保てます」と輿水さん。

そのこだわり蝦夷鹿を使った一品がこちら、「蝦夷鹿のロースト」。

「ジビエは、炭火焼きが一番。適度に水分が抜けて旨味が凝縮し、肉本来の美味しさをストレートに味わえるんです」と、ほとんどのジビエをローストで提供。蝦夷鹿は炭火で焼き付けたあと高温のオーブンへ。焼いて寝かせを繰り返し、均一にきれいな赤色になるよう火を入れています。しっとりやわらかに焼き上がった肉はぎゅっと詰まった旨味が口の中で広がり、コクのある黒胡椒のソースとよく合います。

取材したこの日のメニューにリストされたのは、岩手県産「ツキノワグマのロースト」。熊の腕肉を10日間熟成。炭火とオーブンで約60分かけてじっくり火を通します。

フランス産ジロール茸、長野県産のビーツと原木シイタケの炭火焼きを添え、黒胡椒のソースをかけて出来上がり。ジビエのなかでも野性味があるといわれる熊肉ですが、ひと口食べればそのイメージは一変。炭の香りと、噛むほどに旨味がじわじわと広がっていきます。

ブルゴーニュ産赤ワインを口に含むと、豊かな果実味とのコントラストが最高。ワインはグラス600円(税込)~、ボトル5,000円(税込)~を用意しています。

実は臭いが強いものが苦手だという輿水さん。
「でもジビエは好き。ジビエは本来、嫌な臭いなどはないもの。猟師から食肉処理施設へ、それから卸店、そして飲食店へ。いかに鮮度を保った状態のものを入荷できるかは、信頼関係で成り立っていると思います」

冬に登場した「鹿児島県産猪のポトフ仕立て」など、部位によっては煮込み料理も提供。ポトフは白ワイン、キャベツ、リンゴ、ブイヨンで煮込み、 猪特有の脂の甘さが生きた優しい味わいです。

これからの夏はツキノワグマやハトなど、秋~冬は蝦夷鹿や猪を使った料理を予定しているそうで、何が楽しめるかは毎月のお楽しみ。

日本だからこそできるフレンチで、150%の力でもてなしたい

ずっとフレンチの道を歩んできた輿水さんが、店名にフレンチを掲げなかったのにはある思いがあります。

「日本で出すフレンチは、フレンチの技術で提供する、ある意味“和食”。だからフレンチとあえて言わず、日本だからこそできる料理を追求したいと思っています。食材をできるだけ国産にするのもそのひとつです」

そのこだわりは、前菜「クヌギ鱒の燻製 自家製マヨネーズ」にもよく表れています。クヌギ鱒は、納得した相手とだけ取引する職人気質の生産者が、富士山の伏流水と天然由来のエサでストレスフリーに育てている静岡県にあるブランド鱒。
「すごく情熱にあふれた生産者の方。クヌギ鱒は一般的なニジマスよりも大振りで色も濃い。脂ものったいい食材です」

クヌギ鱒を軽く燻製し、クルミと玉ネギのマリネ、パイナップル、自家製マヨネーズソースを添えて。ねっとりとした濃厚なクヌギ鱒にパイナップルの酸味が相性抜群です。ソースに使われているマスタードは「輸入マスタードは酸味があって本来の味ではない」と、手作り。

添えられるパンももちろん手作り。それらをすべて一人で行っています。

手を抜かない料理、五感で楽しめるカウンターというシチュエーション、食後に和装のホールスタッフから抹茶が振舞われるのも、すべて客を心からもてなしたいという思いから。
「料理を食べてストレートに美味しいと感じてもらいたい。だから『これでいい』ではなく、『これがいい』だけでお客様をもてなしたいんです」

店名の「Pétillant」にはフランス語で“シャンパンの泡の輝き、光り煌く”という意味があるそう。吉祥寺の街からこれからどんな輝きを放っていくのか、楽しみな一軒です。

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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