ワイン党の間で人気上昇! ジビエの絶品炭火焼とアテが待つ「肉と葡萄 信玄食道」福岡県福岡市中央区
福岡県福岡市中央区春吉は、独自のディープな魅力で地元の美食家を虜にするグルメタウンです。天神と中洲の二大繁華街に挟まれた好立地ですが、小路が入り組み、暗がりの目立つ光景はまるで都会のエアポケット。そうしたエリアゆえ、逆に個性的な飲食店が集まるのでしょう。
看板料理は、厳選された肉の炭火焼
今回紹介する「肉と葡萄 信玄食道」(以下、信玄食道)を見つけたのも、やはり小路沿いのビルでした。2階の暖簾を見逃してしまうと、きっとこの道を何往復もしてしまうかもしれません。でもこの隠れ家感が、食事のひとときに艶っぽいスパイスを与えてくれます。
さて、店名から連想するのは、もちろん天下一の最強軍団を率いた“武田信玄”。ならばこの店を率いるのはどんな猛将か? やや緊張しながらドアを開けると…。
店長の田上 信行さんが穏やかな表情で迎えてくれました。一度は会社員になったものの、少年時代の夢を叶えるべく脱サラを決めた料理人です。いくつかの店で修業後、福岡市中央区平尾の創作料理店「米と葡萄 信玄酒店」に入社。2018年にはこの2号店の店主を任されました。
そんな「信玄食道」のお楽しみは、肉の炭火焼を主役にしたイタリア料理と多彩なワイン。「肉料理がメインなのは、僕自身が大好きな素材だからです」と田上さん。
炭火焼のメニューには、九州産の牛・豚と共に猪や鹿の名が並びます。
「赤身肉人気の高まりと、炭火焼でジビエを出す店が少ないことから、ジビエをウチの強みにと考えました」
仕入先は八女(やめ)市をはじめ、福岡県一円の食肉処理施設。猪と鹿がメインですが、時々は鴨、穴熊、アライグマ、県外からは蝦夷鹿が入ることもあるとか。
「処理技術が上がったせいか、最近のジビエは本当に美味しい。扱う側としても力が入りますね」
なかでも各種ジビエをちりばめた「ジビエコース」(6,000円・税抜)はジビエマニア必食のメニュー。こうした取り組みは県のジビエ関係者の目にも留まり、県内食肉処理施設のジビエを提供する「ふくおかジビエの店」(写真右が認定証)に認定されたほか、最近はいろいろな飲食イベントに招かれるそうです。
最初に頼んだのは「八女産 猪肩ロースの炭火焼」(100g/1,800円~・税抜)。同店自慢の看板ジビエです。
高低差を生かして火力を調整。土佐の高級備長炭で、じっくり30分以上焼き上げます。
噛むたびに脂があふれ、上質なその甘さに舌が喜ぶ一皿が完成。肉そのものの濃厚な味わいも、猪ならではの真骨頂です。
下仁田ネギのソースを添えると、風味はさらに深く上品に!
ワインが止まらなくなる“危険なアテ”
「次は二大人気アラカルトです。まずは『自家製猪のハム』(1,000円・税抜)をどうぞ」
猪肉の塊をソミュール液(※調味料やスパイスを加えた塩水)に3~4日漬け込み、ボイルしたあとに燻製をかけた人気メニューです。
これは絶品! 猪でここまで美味しいハムが作れるとは驚きです。ジビエ特有の弾むような歯応えも、程よい塩加減も文句なし。「とにかくワインに合うアテが作りたくて」と田上さんが微笑みます。
しっかり火が通っているのに、断面の色は実に鮮やか。
最後は珍しい「鹿のコンビーフ」(700円・税抜)。こちらはソミュール液に1週間漬け込み、塩抜きをしたあと、やわらかくほぐれるまでボイルしています。
赤身肉の繊維一本一本から伝わる、確かな旨味と歯応えに思わず感動。
「これはミンチでは出せない食感。ハムと同様、ワインが止まらない“危険なアテ”ですよ(笑)」
ジビエと向き合うなかで、改めてその魅力に開眼した田上さん。今後はこの店を「ジビエの登竜門」にしたいと語ります。
「ジビエには独特のエネルギーがあって、食べれば確実に元気が湧く。そのことをジビエ初心者の方に伝えたいんです。だから『ここの料理でジビエの印象が変わった!』と言われるとうれしいですね」
営業は朝の5時まで。デートや女子会をはじめ、多彩なシーンに対応可能な使い勝手もおすすめポイントです。5名から貸し切りも受け付けており、ソーシャルディスタンスが気になる昨今にはぴったり。少人数でフロアを贅沢に使い、気兼ねなく楽しんではいかがでしょう。
肉と葡萄 信玄食道 ※現店名:Trattoria tano(トラットリア タノ)
- 住所:福岡県福岡市中央区春吉2-6-15 八番館2F
- TEL:092-986-1224
- 営業時間:18:00~翌5:00(LO翌4:00)
- 定休日:火曜
- ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
- 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。