食の環(わ)をキーワードにサステナブルを体感「Nœud. TOKYO」東京都千代田区平河町
最近話題の“サステナブル”ってご存知ですか? 直訳すると「持続可能な」という意味で、今、世界では地球環境を壊さないために資源の需要供給に配慮した「サステナブルな社会」の実現を目指しています。それを食に取り入れたフレンチレストラン「Nœud. TOKYO(ヌー トーキョー)」(以下、ヌー.トーキョー)が、今回ご紹介するお店です。
場所は、東京メトロ・永田町駅徒歩1分という好立地。
店へ足を踏み入れると、中央には広いオープンキッチンとL字のカウンター席が。テーブル席は別に個室が用意されています。
出迎えてくれたのは、シェフの中塚 直人さん。もともと東京オリンピックに合わせて食の多様性に応えるレストランを考えていたところ、オープン準備中、コロナ禍に。「今、食で必要なものは何か」を見つめ直し、“オールサステナブル”をコンセプトに2020年7月にこのお店をオープンしました。
食材、生産者、自然環境などの循環上に成り立つ「食べる」という営み。こちらでは「食の環(わ)」をキーワードに、フードロスに配慮した調理、自然環境を考慮した食材の調達など、環境に負荷の少ない料理を提供。食を通じてサステナブルを体感することができます。
多彩な調理法と確かな腕で食材の美味しさ、楽しさ、可能性が詰まった一皿に
メニューは、野菜を中心とした13,000円(税抜)の1コースのみ。メイン料理に登場するのが、愛媛県産“みかん猪”です。
中塚さんは地元・愛媛県の友人から、みかん畑が猪に荒らされているという状況や、農家とハンターが協力して食肉処理施設を作り、“みかん猪”の流通に尽力していることなどを知りました。畑の被害を防ぐために猪を捕獲し、その猪が食につながればハンターの仕事が維持され、畑の被害も抑えられる…。“みかん猪”を食べることで、そういった循環に寄与できるのです。
「もちろん味がいいということが前提。みかん猪は、みかんを食べて育っているので臭みがなくてやわらかく、ほのかに柑橘の香りまでします。本当に美味しい肉です」
調理法は肉の状態によって変わりますが、この日は低温調理してやわらかさを増した骨付きロース肉をローストに。バラ肉はコンフィに。
「一皿に使う食材の種類を抑え、猪なら猪を、調理法を変えて味わいや食感などを多方面から楽しめるようにしています。食材の美味しさを味わってもらうために、過度な味付けはしませんが、手間は惜しみません」
出来上がったのがこちら、「旬のキャベツと猪のロースト」。みかん猪のローストとコンフィに数種類のキャベツのソテーを添え、仕上げに猪の骨や筋からとったフォン(出汁)で作ったソースをかけて。
ロースは猪の脂の優しい甘味がじんわりと広がり、コクのあるソースが絡みます。バラ肉のコンフィは脂身を食べた時にちょうどいい塩梅(あんばい)になるよう、コンフィにしたあとさらに脂身だけ焼き付けて溶かしているそう。このひと手間でしつこさがなく、脂身本来の美味しさが楽しめます。
料理を始め、店の随所で体感できるサステナブル
次の一皿の主役は、ニンジンです。
店で扱うのは関東近郊の契約農家から届く有機野菜が中心。中塚さんが農家と直接会って話し、畑を見て、納得したものを仕入れています。
こちらは“野菜そのものを食べて満足感のある料理を”と作られた「人参のデクリネゾン」。デクリネゾンとは、フランス語で“いろいろな調理法と”いう意味。
皿の中央のローストニンジンは、ローストする前にスパイスの香りを付けて燻製したニンジンを一度冷やし、旨味と香りを閉じ込めています。ニンジンの皮や葉を合わせたサブレ、ムース状のソースなどが添えられ、「ニンジンってこんなに美味しかったの!?」と驚きと喜びがあふれる一皿です。
これらの料理を共に担当するのが、中塚さんの盟友・秋田 絢也(けんや)さん。フランスの3つ星レストランでスーシェフを務め、「ヌー.トーキョー」のオープンのために帰国。生産者を直接訪ね歩いてよい食材を探す中塚さんと、その食材の美味しさを余すことなく料理に魅せる秋田さんの最強コンビです。
“オールサステナブル”というコンセプトは、料理だけでなく店の随所で感じられます。
この壁は、京都西陣の古い蔵で使われ、解体した際に保存されていた「聚楽土(じゅらくど)」を使用した土壁。
カウンターテーブルの素材は愛知県の寺で危険木として切られた杉を使用。
メニューは客がQRコードを読み取ってスマホに表示し、ペーパーレス化。
コース内容は食材の入荷状況によって変わり、全10~11皿。みかん猪は入荷があれば通年で提供する予定です。自然派ワインが中心のペアリング(5~6種で6,000円・税抜)も楽しめます。
自然の恵みを地球に無理なくいただく、そんな食の楽しみ方を「ヌー.トーキョー」でしてみませんか?
Nœud. TOKYO(ヌー トーキョー)
- 公式サイト: https://noeud.tagaya.co.jp/
- 住所:東京都千代田区平河町2-5-7 ヒルクレスト平河原町B1
- TEL:03-6910-0233
- 営業時間:17:00~23:00(要予約、19:00ごろまでに入店) ※緊急事態宣言中は変動あり。要問い合わせ
- 定休日:日・月曜
- ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
- 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。