特集
インタビュー

ファイターズ×北海道庁「フレップと一緒に学ぶエゾシカ出前講座」がスタート!その中身とは?

北海道 シカ 体験
2022.10.12

BIGBOSS改め新庄剛志監督やきつねダンス、2023年3月に開業する新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」など次々と話題を振りまいている「北海道日本ハムファイターズ」(以下、ファイターズ)。そんなファイターズが蝦夷鹿対策に関する新たな取り組みをしているということで取材しました。

北海道庁では、蝦夷鹿の増加に伴う人間との軋轢や蝦夷鹿肉の有効活用に関心を持ってもらうため、2014年より「エゾシカ出前講座」(以下、出前講座)を実施してきました。2022年度は、ファイターズとのコラボ授業がスタート。学校で実施する場合、マスコットのフレップが参加するうれしいサプライズに注目が集まっています。

新たな取り組みについて、北海道環境生活部自然環境局野生動物対策課 エゾシカ対策係の加藤 葵さん(写真左)、ファイターズ スポーツ&エンターテイメント管理統轄本部の田中 美輝さん(写真右)、そしてマスコットのフレップ(写真中央)にお話を伺いました。

きっかけは、フレップと一緒に学ぶイベント

——今回の出前講座のコラボは、どんなきっかけで決まったのでしょう?

加藤さん(北海道庁) 2021年10月に、新千歳空港のレストラン「FIGHTERS DINING ROSTER(ファイターズ ダイニング ロスター)」で「フレップと一緒に学ぶ・味わうエゾシカ授業」(以下、エゾシカ授業)というイベントを行ったことがきっかけです。一般の方を対象に行い、大変好評だったため、今度は学生向けにとコラボが実現しました。

田中さん(ファイターズ) 「エゾシカ授業」には、「フレップに会いたい」という理由で参加された方が多く、蝦夷鹿に対する関心や認知度は今一つという感触でした。しかし、結果的にはとてもよい授業になりました。

——具体的には、どんなことを行ったのでしょう?

加藤さん(北海道庁) まずは蝦夷鹿の生態や歴史、農林業被害や交通事故増加といった人間との軋轢と対策、そして蝦夷鹿肉の栄養価や安全性などのお話をしてから、実際に毛皮や角に触れてもらうほか、蝦夷鹿肉を使ったジビエカレーを試食していただきました。

田中さん(ファイターズ) もちろん、授業にはフレップも参加しました。蝦夷鹿について質問をしたり、みなさんと一緒にクイズに答えたりと、大盛り上がりでした。参加した方からは、「蝦夷鹿について知らないことがあって、今日知ることができてよかった」「蝦夷鹿肉は初めて食べたけど美味しかった」など、うれしい声をたくさんいただきました。

フレップ 蝦夷鹿のことを詳しく学んだのは、オレも初めての経験。「どうして蝦夷鹿を獲らなくてはいけないの?」「どうやったら美味しく食べられるの?」など、いろんな疑問に答えてもらって、発見がたくさんあったよ。

田中さん(ファイターズ) 当日みなさんに食べていただいた「オホーツクジビエカレー」(写真上)は、「ファイターズ遠軽後援会」に紹介いただいた、北海道遠軽町(えんがるちょう)にある食肉処理施設「オホーツクジビエ」の蝦夷鹿肉を使った一品。レストランでジビエを出すのは初めての経験だけに、みんなに美味しく食べてもらえるようシェフが試行錯誤を繰り返し、満足できる味に仕上がりました。

フレップ みんなが美味しそうに食べてくれてうれしかったな。蝦夷鹿に興味を持ってくれた人もたくさんいたよ。

田中さん(ファイターズ) 「エゾシカ授業」は好評でしたが、蝦夷鹿のことをより広く知ってもらうには、単発のイベントでは不十分だと感じました。何ができるだろうと検討した結果、今年度からは、学校を対象にした出前講座にも取り組むことになったんです。

正しい知識を学び、蝦夷鹿の有効活用を

——今年度の出前講座は、どんな内容になりそうでしょうか?

加藤さん(北海道庁) 2021年の「エゾシカ授業」同様、蝦夷鹿の生態や現状、北海道の取り組みや蝦夷鹿の有効活用についてフレップと一緒に学んでいただきます。また、蝦夷鹿の角や革を使った工作に挑戦するクラフト体験や、蝦夷鹿肉の試食も予定しています。

田中さん(ファイターズ) 出前講座で学んだことをファイターズの球場でも体験できるよう、パネル展示などもやっていけたらと考えています。次世代を担う多くの子供たちや学生のみなさまに、正しい知識を身に付けていただくこと、マスコットのフレップと楽しく学んでいただくことが目的です。

フレップ 今年度は、すでに4校(令和4年9月30日現在)での講座が決まっているんだって。みんなと学ぶため、今からしっかり準備しているよ。

——子供たちへの講座では、どんなことを意識していますか?

加藤さん(北海道庁) これまでの出前講座を振り返ると、「蝦夷鹿の大きさはどの位なのか」、「何を食べているのか」といった蝦夷鹿の生態についての質問が、小さなお子さまからもたくさんあったり、試食やクラフトを体験する中で楽しみながら聞いていただけている印象があります。一方、蝦夷鹿と人間との軋轢の原因や現状、対策については伝わりにくいという課題がありました。フレップと一緒に学ぶことで、そういった点にも興味をもっていただき、命を大切にすることや蝦夷鹿の有効活用について考える場にできることを期待しています。

田中さん(ファイターズ) 北海道で捕獲される蝦夷鹿のうち、食肉として流通利用されているのは約2割。残りの多くが廃棄されているという現状があります。「なぜ、蝦夷鹿がこんなに増えて街に出没するようになったのか」、「農家やハンターは何に困っているのか」、そういった現状を知り、蝦夷鹿の命を有効活用するにはどうしたらよいのか、みんなで一緒に考えていきたいですね。フレップと学ぶ出前講座がその一つのきっかけになればと思います。

フレップ オレも蝦夷鹿について勉強中だよ。出前講座はもちろん、インスタグラムでもどんどん情報を発信して、蝦夷鹿の問題をより広く伝えていきたいと思っているんだ。

マスコットたちと一緒に環境について考えよう

——ファイターズでは、「EZOlogical(エゾロジカル)」という活動があるそうですね。どんなことを行っているのでしょう?

田中さん(ファイターズ) 「EZOlogical」は、キタキツネのフレップとエゾリスのポリー、クマのB・Bというファイターズのマスコットが中心となって行う活動で、2020年に始まりました。北海道には多様な動植物が生息し、豊かな生態系を形成していますが、一方でさまざまな問題が潜んでいます。そこで、3体のマスコットたちが、動植物との共存や環境問題の啓蒙活動、保護活動などを行おうと立ち上がりました。

フレップ 「出前講座」もその一つだよ。ほかにも、B・Bはヒグマについて学ぶ「クマ授業」に取り組んでいるし、ポリーも絶賛計画中なんだ。

田中さん(ファイターズ) 活動スタートと同時に、マスコットたちとさまざまな北海道の動植物をイラストにして落とし込んだ「La mina(ラ・ミーナ)」グッズも発売しました。「La mina Tシャツ シカ&フレップ」(4,400円・税込)や、「La mina ステッカー オールスター」(495円・税込)などが人気です。売り上げの一部は、EZOlogicalの活動に当てさせていただいています。グッズ購入を通して、気軽に環境活動に参加いただけます。

——最後に、みなさんに伝えたいことは?

加藤さん(北海道庁) 蝦夷鹿の現状を多くの方に知ってもらうことで、食肉はもちろん、角や皮等の有効活用にもつなげていきたいですね。蝦夷鹿肉は、一度食べるとその美味しさにみなさん驚かれます。北海道では、蝦夷鹿肉の処理を行う施設の認証制度を設けており、認証を受けた施設で生産された蝦夷鹿肉とその肉を使った加工品には、ロゴマークが表示されていますので、購入される際にはこちらのマークを探してみてください。

田中さん(ファイターズ) 北海道では毎月第4火曜日を「シカの日」としていることも、もっと多くの方に知っていただきたいですね。飲食店だけでなく、スーパーなどで蝦夷鹿肉を購入して家庭で食べるというのもいいですよね。

加藤さん(北海道庁) 「シカの日(毎月第4火曜日)」に蝦夷鹿肉を食べられる飲食店や販売している店舗は、北海道公式サイトで見ることができます。

フレップ 蝦夷鹿肉は美味しいだけじゃなく、栄養価も高いんだよね。オレもたくさん食べて、蝦夷鹿の有効活用に参加しようと思うよ。みんなで『おいシカ!エゾシカ!Facebookページ』をいいね!して「シカの日」を盛り上げよう!

続きを見る