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フレンチレストランのシェフが伝授 ジビエのイメージが覆るジビエ料理教室をレポート

東京都 フレンチ シカ イノシシ ミシュラン レシピ 体験 イベント
2024.02.22

2024年2月8日、ミシュランガイドで一つ星を獲得した東京・日本橋のフレンチレストラン「ラペ La Paix」で、ジビエ料理教室が行われました。参加者はインフルエンサーをはじめとした、流行に敏感な女性のみなさん。

今回、レシピの提案と料理を実演してくださったのが、日本の食材を大切にして料理を提供しているというオーナーシェフの松本 一平さん。「近年、日本でも多くの鳥獣被害が見られ、ニュースにもなっていますが、みなさんがジビエを食べることで、ジビエの良さや命の大切さを知っていただけたら嬉しいです。今回は、普段の食事にはあまり馴染みのないジビエをカジュアルで身近な料理に仕上げ、親近感を持ってもらえたらと思っています」とご挨拶があり、いよいよ実演形式の料理教室がスタートとなりました。

ジビエの美味しさは、ハンターと処理加工施設の連携が重要

ジビエには強い思いがあるという松本シェフ。今回の料理で使用するホンシュウジカとイノシシの肉は、農林水産省が制定している国産ジビエ認証を取得している鳥取県の処理加工施設で処理をされたものだそう。「ジビエというと、くさみやクセがあって食べにくいというイメージがあると思いますが、ハンターが獲物を仕留めてすぐに処理加工施設に連絡をして、処理加工施設が処理をいかに素早く行うか。この工程が、ジビエの美味しさを分ける一番重要なポイントなんです」と仕入れ先へのこだわりをお話されました。

肉料理?スイーツ?ジビエが大変身「リンゴと猪肉のミートパイ アマゾンカカオ風味」

一品目の「リンゴと猪肉のミートパイ アマゾンカカオ風味」から調理開始。一晩から一週間ほど冷蔵庫で寝かせ、しっかりと下味が馴染んだ猪肉のマリネをフライパンで焼き、並行して圧力鍋で玉葱とにんにくをオリーブオイルで甘みがでるまでゆっくりと炒めていきます。猪肉の焼ける香ばしい匂いと玉葱の甘い香りが店内に立ち込め、一気に食欲が湧いてきます。

シェフが、鍋やフライパンを持って、参加者の席を回りながら、焼け具合などを丁寧に見せてくれると、みなさん、動画や写真を撮ったり、興味深く覗き込んだりしていました。

細かくカットした猪肉と赤ワイン等を圧力鍋へ加え煮込んでいきます。「今回はパイ包みですが、このまま煮込み料理としても美味しいです」と松本シェフ。ジビエの煮込み料理は王道ですが、ここからどう姿を変えていくのか、期待が膨らみます。

「材料の赤ワインの一部を、猪肉をソテーし終えたフライパンに入れ、肉の旨味をワインにくぐらせて圧力鍋に加えると、味に深みがでますよ。フライパンの汚れも取れやすくなりますし」と一石二鳥のアイデアや、「煮込む時は水分がほぼなくなるまで、リンゴのソテーも同様に水分を飛ばし、それぞれしっかりと冷ましておきます」とポイントも教えてくれました。

仕上げは、デニッシュ生地に、成形したお肉とリンゴのソテーをのせて、棒キャンディーのように包み、油で揚げていきます。どんな味がするのか、まったく想像がつかないといった表情の参加者たち。

インパクト大の分厚い鹿ロース肉「鹿ロースカツサンド」

二品目は、「鹿ロースカツサンド」。「今回はホンシュウジカの肉を使用しています。北海道のエゾシカの肉を食べたことがある方は、弾力のあるホンシュウジカとの食感の違いを感じると思います」と松本シェフ。

鹿肉の筋をきれいに取り、一口サイズの大きさにカットしていきます。「鹿肉の筋や骨から出汁をとることもでき、すべて無駄なく使うことができます」というお話もありました。

カットした鹿肉を牛肉のカツと同じように油で揚げ、デミグラスソースをカツの両面に染み込むようにかけます。デニッシュパンをやわらかめにトーストし、からしマヨネーズを塗り、カツを挟めば完成。分厚いカツサンドがお皿に盛られると、そのボリュームに驚かされました。

想像の上をいくフレンチのジビエ料理

いよいよ実食タイム。実演を終えた感想を参加者に聞いてみると、「ジビエ料理というと猪鍋のイメージがあり、今回、カジュアルなフレンチと聞いて、どんなものか想像できなかった」「北海道出身なので、エゾジカは地元で何度か食べているけど、ホンシュウジカを食べるのは初めてなので楽しみです」など、これまでのジビエのイメージとは違う料理の実食に、わくわくしている様子が伺えました。

「ラペ La Paix」自慢の前菜をいただき、いよいよ「鹿ロースカツサンド」がテーブルに運ばれてきました。「どうぞ、直接手に持ってお召し上がりください」とシェフからお話があると、みなさん一斉にかぶりつきました。「弾力があるのに、やわらかい」「カツなのにさっぱりしている」と、感嘆の声が聞こえてきました。「サシのない鹿のロース肉は、さっぱりとしているので、油で揚げたカツがちょうどいいのだと思います」と松本シェフがおっしゃるように、分厚い肉なのに簡単に噛み切れて、食べても脂っぽさが残らない、完璧なカツサンドでした。

普段からジビエ料理を食べに行くという参加者は「高タンパクで低カロリーだから、食べていても罪悪感がないんです。脂質の多い料理だと、つい美容を気にして残してしまうことがあるけど、ジビエ料理は完食できる。食べ残しがないってことも魅力の一つですよね」と栄養面でも高評価。中には「テイクアウトできたらいいのに」との声もあがっていました。

続いて提供されたのが「リンゴと猪肉のミートパイ アマゾンカカオ風味」。パイには、能登産のビーツが添えられていました。ジビエの付け合わせには、根菜類などが好相性なのだそう。味付けには、スパイスを効かせたり、ビネガーなど酸味を加えたりするのがお勧めと教えてくれました。

参加者の前に料理を並べ終えると、松本シェフ自らが、その場でアマゾンカカオの塊を削って、パイに振り掛けてくれました。カカオの香りが目の前でふわっと広がり、参加者のテンションは一気に上がります。「当初、ミートパイのみでの提供を考えていましたが、相性のよいアマゾンカカオを加えたらアクセントになり、目の前で削るという演出も喜ばれるかなと思い、前日に決めました」と松本シェフ。

お味の感想を尋ねると「これまでに食べたことのない味で、表現が難しい。お肉なんだけど、アップルパイのような。とにかく美味しいです」と笑顔で答えてくれました。鹿肉と比べて野性味のある猪肉に、リンゴやレーズンの甘味と酸味、そこにシナモンのスパイス感が加わり、絶妙に調和がとれ、新感覚のジビエ料理を味わうことができました。

もっとジビエ料理を食べてみたくなった

今回のイベントに参加して、「ハンターが仕留めてから、お店で料理が提供されるまでのストーリーを知ることができて、新発見でした」「今回のイベントをきっかけに、もっとジビエ料理のお店を調べて行ってみたいと思いました」「ジビエ料理を食べることで、SDGsにも貢献できると知って勉強にもなりました」と、よりジビエが身近になったという感想が聞かれました。一方で、「近所のスーパーでジビエが手に入らない」「冷凍のジビエだと、今回のような美味しさは出せなそう」といった、家庭で料理するには、少しハードルを感じている方もいました。

最後に、松本シェフから「まだ日本では、気軽にジビエを購入できるお店が少ないようです。まずは、みなさんが色々なお店でジビエを食べたり、お友達にもジビエ料理の美味しさを伝えてくれたら、ニーズが高まり、スーパーなどにも置いてもらえるようになると思います」とお話をいただき、みなさん大きく頷き、盛大な拍手とともにイベントは終了となりました。

 

ジビエ料理教室 ~本日のレシピ~
「リンゴと猪肉のミートパイ アマゾンカカオ風味」

【材料・分量】(6人分)
【A】
猪モモ肉(3cm 角にカット)・・・500g
塩・・・2%
黒こしょう・・・1本
グラニュー糖・・・1個
【B】
新玉葱(スライス)・・・200g
にんにく(みじん切り)・・・2g
オリーブオイル・・・15g
【C】
赤ワイン・・・500g
タイム・・・2 本
ローリエ・・・1 枚
レーズン・・・30g
【D】
コーンスターチ・・・10g
水・・・10g

リンゴソテー
リンゴ(ふじ・大き目)・・・1個
(皮を剥いてさいの目にカット)
バター・・・10g

【E】
グラニュー糖・・・10g
シナモン・・・少々
【F】
デニッシュ生地・・・8 枚
(又はパイ生地)
(厚さ 2.5mm・15cm×8cm)

卵黄・・・適量
アマゾンカカオ・・・適量

【作り方】
Aを一晩マリネする
圧力鍋にオリーブオイルをひき、Bをソテーし、しんなりしたら①とCを加えて沸かし、アクを取り蓋をして再び沸かし、10分火を入れて休ませる
②の蓋を開け余分な脂を取り除きギリギリまで煮詰め、Dで濃度を調整し、塩・こしょうで味を調え冷ます
リンゴソテー
フライパンにバターを入れリンゴをソテーする。Eを加えて水分を飛ばし冷ます
Fのデニッシュ生地に③を40g④を10g包み、180℃の油で2~3分揚げ、3分休ませ、もう一度2~3分揚げ、しっかり油を切り、アマゾンカカオを振りかけて仕上げる

「鹿ロースカツサンド」

【材料・分量】(4人分)
【A】
鹿ロース・・・50g×4
塩・・・少々
黒こしょう・・・少々
小麦粉・・・少々
卵・・・1 個
パン粉・・・適量

デミグラスソース
【B】
フォンドボー・・・30g
ケチャップ・・・10g
ウスターソース・・・5g
ハチミツ・・・3g
黒こしょう・・・少々
バター・・・10g
【C】
ミニブリオッシュ・・・8 枚
(又は食パン)
(トーストする)

からしマヨネーズ
【D】
マヨネーズ   ボールで合わせる
からし

【作り方】
Aの鹿ロースに塩・黒こしょう・小麦粉をまぶし、卵とパン粉をつける
デミグラスソース
Bを鍋に入れて煮詰めて味を調える
①を180℃の油で45秒~1分揚げ、5分休ませて、もう一度30秒~45秒揚げる
CにDを塗り、③をのせ②のソースを塗り、Cでサンドし、カットして盛りつける

 

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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