もっちりツルツルの肌に!? “猪の油”から生まれた自然由来の石鹸&クリーム「鶴姫伝説コスメ」愛媛県今治市大三島
瀬戸内海に浮かぶ愛媛県今治市の大三島(おおみしま)は、大山祇(おおやまづみ)神社がある「神の島」としても有名で、温暖な気候、風光明媚な場所が人気を呼んでいます。この地に魅せられて移住し、猪の油由来の「鶴姫伝説コスメ」を製造・販売しているのが、有田 京子さんです。
地域おこし協力隊員の任期中にコスメの製造と販売に成功
もともと有田さんは、地域おこし協力隊(※都市地域から条件不利地域に移住し、地域協力活動を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組)の隊員として、大三島にやって来ました。
「今治市の協力隊員はフリーミッションです。任期中の活動で自分の得意分野を生かせるのがいいところです。そんな時に鳥獣被害対策として捕獲された猪の利活用を進める『しまなみイノシシ活用隊』と出会いました。そこでは、食肉や革製品の販売、骨を活用してラーメンのスープにするといった活動をしていて、私も猪で何かモノづくりがしたいと思ったのです」(有田さん)
調べてみると「ぼたん油(猪の油)」は人間の皮脂の成分に似ていて、浸透力と保湿力に優れているという点があることに注目した有田さん。これを化粧品にできないかとひらめいたのですが、油の精製に対して知識がなく、化粧品の販売許可も持っていないので困り果てたとか。しかし、いろいろな巡り合わせのおかげで、熊本の阿蘇でダチョウの油由来の化粧品を作る工房に繋がり、クリームを作ってもらえることに。協力隊の任期中に製造・販売にこぎつけられたのです。
人の肌の成分に近い猪の油=「ぼたん油」を精製
猪が冬場に体内に蓄えた貴重な脂肪分を、丁寧な手作業で時間をかけて何度も濾過し、不純物を取り除いてぼたん油を抽出します。
精製の工程を前述の工房に教わって有田さんが作り、その油を使用してクリームや石鹸の製造を外注しているというわけです。原料を送れば精製から製造まで外注することも可能ですが、有田さん自らが精製を手がけているのは、商品への愛着とモノづくりへのこだわりと言えます。
クリーム(25ml、2,970円・税込)は、ボタン油にミツロウとビタミンE、さらには愛媛県産のさわやかな柑橘類の香りをプラス。べたつかないのに、しっとりとした保湿力が続きます。
石鹸(50g、2200円・税込)の材料はボタン油と水と石鹸素地。顔も全身もさっぱりとした洗い上がりなのにつっぱりません。しかも、使い続けても形状がドロドロにならないのがポイント。保存料などを使わない無添加で安全・安心に使えます。
悩みの乾燥肌が、もっちりツルツルの肌へ
「私自身ひどい乾燥肌で、特に冬場は肌荒れに悩まされましたが、この石鹸とクリームを使ううちに肌がもっちり、ツルツルになったと思います。クリームは髪の毛にも使うとツヤツヤになりますよ」と、有田さんもコスメで肌や髪が変わったことを実感しているそうです。
コスメの名前を「鶴姫伝説」にしたのは、なぜでしょうか?
「大三島に伝わる鶴姫をモチーフにしたのです。大切な島を守り、想い人を一途に愛したこの女性は、今は鶴姫像となって地元の人々から愛され続けています。この鶴姫の伝説にあやかって名付けました。また、“つるひめ”と発音することから、肌がツルっとなるようにとの願いも込めています(笑)」
前職でパッケージデザインをしていた有田さんは、コスメのパッケージにもこだわりました。凛とした佇まいの鶴姫、そして瀬戸内らしい黄色やオレンジ色などの暖色をメインカラーにしているのが特徴的です。
「愛用者は50代以上のミドル層やシニア層がメインとなっていますが、本来ならば老若男女を問わず使っていただきたいのです。そのためには積極的なPR活動が必要です。カフェなど人目に付く場所に置いていただいていますが、まだまだ認知度が低いので情報を発信していきたいですね」
コスメは自分の肌質に合わないと意味がないので、お試し使いの機会をスタート。また、猪の油由来のアイテムだから臭いのでは?という誤ったイメージを払拭する効果も狙います。
先日は、瀬戸内海の大島のカフェ&古本店「こりおり舎」のオーナーの協力のもと、石鹸とクリームの体験イベントを初めて実施。
「こりおり舎のオーナーさんに『クリームはサラッとした使い心地でべたべたしないので、飲み物や本を扱う時には、安心して使える』と言っていただきました。とても有意義な体験でした」
手応えを感じた有田さんは、「今後は、シャンプーやリンスの展開にもトライしたい。また、狩猟免許を取得したので、地域の鳥獣被害対策にも貢献したいです」と、将来への夢を語ってくれました。
協力隊の任期は終了しましたが、そのまま有田さんは大三島に定住を続けています。この海が美しい場所で、女性ならではの視点を生かした活躍が期待できそうです。
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