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スタイリッシュでシンプルなデザイン、一期一会が魅力の広島ジビエレザー「革工房ベルズ」&「ベルズスクエア」

広島県 シカ イノシシ 通販・お取り寄せ 革製品
2022.09.21

広島県中央部に位置する東広島市。のどかな田園が広がる地に「革工房ベルズ」があります。同じ敷地には、バラや野菜の温室と直売所を有する農園を併設しています。営むのは、坂木 英樹さんとご家族です。もともとバラ農家に生まれた坂木さん。子供のころからの夢を叶えるべく、大学卒業と共に実家の農園に就農。しかし、坂木さんが就農して間もなく、大きな台風によって新築したばかりの温室ハウスが全壊。残ったわずかな施設でバラの生産直売を開始するも、バラだけでは生計が成り立たず、雑貨やアクセサリー、革製品なども販売するようになりました。

当初、革製品は仕入れたものを販売していましたが、お客様からのリクエストが増えるのに合わせて坂木さん自身が制作するように。
「モノ作りに興味はありましたが、始めはミシン一つ動かすこともできませんでした。しかし、見よう見まねでとにかく毎日練習をして、どんどん複雑な構造のものも作れるようになりました。お客様から『こんな品を作ってほしい』といったリクエストもいただくようになり、次第に専門店らしくなっていきました」

「野生動物の皮を有効利用したい」。その想いが、「広島ジビエレザー」の誕生へ

転機が訪れたのは2019年のこと。百貨店の催事に出店した際、ハンターを名乗る一人の男性が鹿の角を持って坂木さんの前に現れました。のちに野生鳥獣の皮と出会うきっかけとなる「東広島ジビエセンター」の社員の方でした。
「後日、工房になめした鹿の革を持ってきてくれたのです。そして、『この革を使ってもらえないか』と。でも、野生動物の革なんて使ったこともありません。そこで、詳しく話を聞いてみることにしました」

近年、全国的に増加傾向にある農作物への鳥獣被害。東広島市も例外ではなく、深刻な問題となっていました。そのため市では、食肉処理施設を作り、市内で捕獲した鹿や猪といった野生動物を処理・加工し、ジビエとして流通させ有効利用するようになりました。「東広島ジビエセンター」もその一つ。しかし、食肉加工される際に出た動物の皮は、ほとんど利用されていませんでした。

それを知った坂木さんは…
「もともと農業をやっていたので、野生動物による農地の被害は知らないわけではありませんでした。しかし、自分が考える以上に山間部の自然は荒廃が進み、耕作放棄される農地が増える一方。このままでは将来の農業が大変なことになるかもと知り、何かできることはないかと考えました。増えすぎた野生動物は農作物を荒らすという理由で捕獲されますが、ただ捕獲するのではなく、山の恵みとして美味しくいただき、資源として活用することが必要だと考え、野生動物の皮を使った革製品を作ろうと思いました」

捨てられるはずの“皮”が、職人の手で“革”へと生まれ変わる

東広島市内で捕獲・処理された鹿や猪から出た皮を使い、2020年、「広島ジビエレザー」の製造販売が始まりました。生産は「革工房ベルズ」にて手作業で行い、市内にある店舗「ベルズスクエア」やホームぺージで販売しています。

食肉加工されたあとに出た野生動物の皮は冷凍保存され、革の産地として歴史のある兵庫県たつの市のタンナー(※皮をなめして革にする製革業者)へと引き渡されます。そこで、植物のタンニン(渋)を使ってなめしていくタンニンなめしという技法で革へとなめしていきます。

「野生動物の皮は牛などと違い、大きさも状態も一枚一枚異なるため、手間がかかると共に非常に高度な技術が必要。一枚の皮が革になるまでには、2か月程度の時間がかかります。化学薬品を使った方が仕上がりも早く、経費も抑えられますが、植物タンニンなめしの方がもともとの野生動物の表情が現れやすく、個性のある革に仕上がるのです。山の恵みである野生動物だからこそ、大地の温もりを感じられる革に仕上げたいと植物タンニンなめしにこだわりました」

特に人気が高いのは、鹿革の製品だそう。
「鹿の革は、やわらかく手触りのよさが格別。“革のカシミア”とも言われるだけあり、ずっと触っていたくなるほどの滑らかさです。店頭で鹿革の製品を手に取り、すべすべの手触りに感動するお客様も少なくありません」

最大の魅力は、一枚一枚個性が違うこと。飼育されている牛や豚の革とは違い、鹿や猪など野生動物から作られる革は、狩猟した時期や雄雌、成長具合、食べ物や住む地域などによってまったく風合いが異なります。
「お客様の中には、あえて傷のあるところを生かして作ってくださいとリクエストされる方もいらっしゃいます。もちろん強度に問題があるものは除きますが、そうでない場合は“ジビエレザー”の証として使用しています」と坂木さん。

財布、キーホルダー…。一つ一つ手作業で生み出される“ジビエレザー”の数々

出来上がった革から製品を作る時は、革の個性を見極めながら一つ一つ丁寧に裁断。裁断が終わったパーツは、それぞれ革の端を磨き、裏面を処理するなどの下処理をしてから、手作業で張り合わせ、縫製をして組み立てていくそうです。
「革用の特殊ミシンで縫うのですが、鹿革はとてもやわらかく、縫い目を真っすぐにするだけでも技術が必要です。通常の牛革製品の3倍の時間をかけて、慎重に作り上げていきます」

出来上がった製品には、「広島ジビエレザー」の証を刻印。安芸の広島の紅葉と鹿、そして笑顔の坂木さんがモチーフになっているそう。

「広島ジビエレザー ギャルソンタイプ長財布」(88,000円・税込)は、表とコインケース部分、カード入れ最下部に鹿革を使用。裏面には豚革のスウェードを張り、高級感を醸し出しています。シリアルナンバー入り。少し大きめなだけに、収納力抜群。小銭入れ部分が大きく開くので、サッと小銭を取り出すことができます。鹿革ならではのしっとり、やわらかな質感は一度持つと手放せなくなりそう。

鹿革のみで作られた「広島ジビエレザー ジビエ鹿革キーホルダー オーバル」(各2,200円・税込)は、ずっと触っていたくなるほどの心地よさ。鹿の皮は個体差があるため、同じ色でも風合いや手触り、傷などが異なりますが、その違いこそが魅力です。革製品には、名入れなどの刻印を無料で打つことができるうれしいサービスも。
※刻印できる文字数は商品により異なります

「実は、鹿の革製品を販売することになり、価格を大幅に値上げしました。鹿の革は、牛や豚の革と違って個体差が大きく、ロスも多い。せっかくなめしても使い物にならないこともあります。しかし使えないからいらないと言っていては、この取り組みを続けていくことはできません。失敗作もすべて買い取り、有効利用しようと値上げに踏み切りました。
お買い求めいただいたお客様には、何年経っても無償で修理をしています。長く使っていただくことでゴミを減らし、循環社会を取り戻す。それが未来への責任だと思っています」

ジビエの美味しさに感動!販売もスタート

「ベルズスクエア」では、東広島市で捕獲・処理されたジビエの販売も行っています。「革製品の店でなぜ?」と思いますが、理由は単純。坂木さん自身がその美味しさにはまってしまったから。

「正直、ジビエに対してあまりよいイメージがなかったのですが、東広島ジビエセンターに見学に行った際、まかないで食べていた鹿肉を、『まぁ、食べてみんさい』と言われ、渋々ひと口試食。すると、びっくりするほど美味しい。やわらかくて臭みは皆無。スタッフの方に食べ過ぎを咎められるほど、箸が止まらなくなってしまったのです(笑)」

なぜ、ジビエがこんなに美味しいのか不思議に思い、理由を尋ねたところ、狩猟方法から異なることがわかったそうです。センターで取り扱うのは、わなを仕掛けて狩猟する方法で捕獲された個体のみ。血抜きの技術にこだわり、迅速に血抜きを行います。そのため、どの肉も臭みがなく、やわらかな仕上がりになるそうです。

処理施設の中は、ほこり一つない美しさ。洗浄にはすべて電解水を使い、常に清潔に処理していきます。パッケージングの際は、金属探知機を通し、検査を徹底。一般の方に提供するためには「安全・安心で当たり前」という思いのもと、衛生的に肉処理を行っています。

すべての商品には、国産ジビエ認証のシールが貼られています。このマークは、国産ジビエ認証制度の規定に基づき、認証を受けた食肉処理施設で適切に処理し、生産された鹿肉と猪肉、もしくは、それらを原料とした加工食品のみが使用できるマーク。東広島ジビエセンターが指定管理者として運営している「東広島市有害獣処理加工施設」は、2020年に国産ジビエ認証を取得しています。

強いこだわりを知り、家族にも食べさせたいとその場で購入を申し出たところ、飲食店向けには販売しているが、一般向けには販売していないのだと聞き、それならば自身の店で取り扱おうと即決。すぐに食品衛生責任者の講習を受け、食肉販売業の許可を取得して販売するようになりました。

扱っているのは、「東広島市有害獣処理加工施設」で加工処理された「栄肉(さかえにく)」のブランド名が付いたもののみ。「無添加鹿ソーセージプレーン」、「猪ソーセージプレーン」(各1,200円・税込)のほか、鹿肉と猪肉は、ロースやモモ、バラなど部位もさまざま。ベルズスクエア公式サイトからお取り寄せもできます。

「捨てられていた野生鳥獣の皮を有効活用し、さらに食肉としてのジビエの魅力を伝える。そうすることで少しでも地域が潤い、活性化につながったら」と坂木さん。

ジビエの魅力を一人でも多くの人に伝えるプロジェクトはまだ始まったばかり。今後の展開から目が離せません。

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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