「ふるさとを元気に」をキャッチコピーに、全国各地のふるさと納税のお礼品(返礼品)をチェックすることができるふるさと納税サイト「さとふる」。数多くのお礼品の中でも、近年、ジビエの人気が高まっているといいます。
ふるさと納税の活用法やおすすめのお礼品について、「さとふる」広報担当の大場さくらさんにお話を伺いました。
ふるさと納税って、どんなシステム?本当にお得なの?
——そもそも、ふるさと納税とはなんでしょうか?
大場さん:納税という言葉が付いていますが、実際には、都道府県や市区町村へ寄付ができる仕組みのこと。自分が応援したい自治体を選んで、「ふるさと納税」という形で寄付を行うことができる制度です。寄付をした金額の一部は、住民税や所得税などの税金から控除・還付がされます。
——税金の控除や還付以外には、どんなメリットがあるのでしょう?
大場さん:寄付をした地域の特産品や名産品がお礼品として贈られてくることもある点です。また、寄付をしたお金を自治体にどんなふうに使ってほしいか、使い道を指定することもできます。
——お礼品が届いたり、使い道を選べるなんてワクワクしますね!寄付によって自治体は税収がアップするということですか?
大場さん:その通りです。収入が増えることで地域サービスが充実するのはもちろん、特産品をお礼品として送るため地域経済も活性化。さらに、特産品を通して地域に興味がわき、現地を訪れてみたいという観光客が増えるといった経済効果もあります。『さとふる』は、地域活性化を応援すると共に、地域と全国の方々をつなぐ場でもあります。
ふるさと納税が、地域の活性化を支援
——ジビエを特産とする自治体で、地域活性化につながったケースはありましたか?
大場さん:石川県羽咋市に、「のとしし団」という合同会社があります。羽咋市を含む能登半島では、近年、急増した猪により農地が荒らされる被害が拡大。田畑を守るため、猪を捕獲するようになりました。捕獲した猪は廃棄されていましたが、貴重な資源として活用しようと、2015年に“のとしし大作戦”と名付けた事業が開始されました。
——具体的には、どんな活動なのでしょう?
大場さん:まずは地域に食肉処理施設を設け、安全で安心な食材として飲食店向けに猪肉を販売。2016年からは地元の道の駅などで一般販売も行っていましたが、ふるさと納税のお礼品として採用されたことで、売上を大きく伸ばしました。特に年末に向けて出荷が多いので、冬場の仕事が増え、従業員も増員。地元の地域活性化に貢献されています。
ジビエのお礼品は、5年で約5倍に!
——ふるさと納税のお礼品は、食べ物が多いイメージです。最近はジビエもあるそうですね?
大場さん:はい、鹿肉や猪肉の扱いもたくさんあります。1月~8月の期間で2017年と比較すると登録数、寄付件数ともに2022年は約5倍に増えています。
肉やハムなどの加工品だけでなく、ペットフードや犬猫のおやつ、温泉旅館やレストランでジビエ料理を楽しめる体験型のお礼品も増えています。
——おすすめを教えていただけますか?
大場さん:お肉好きにおすすめしたいのが、ぼたん鍋の本場である兵庫県丹波篠山市で1949年に創業した「国産天然猪肉専門店おゝみや」の「焼ぼたんセット」。猪肉というと、鍋のイメージがありますが、こちらは焼いて楽しむもの。脂ののった猪肉をサッと炙っていただきます。
「焼ぼたんセット800g」(寄付金額28,000円)は、猪肉のモモ肉、バラ肉、腕肉などのスライスが詰め合わせになったセット。レモン塩、花椒塩、ハーブソルトが付いているので、お好みの調味料でどうぞ。
——加工品でイチ押しといえば?
大場さん:鹿児島県霧島市の豊かな自然の中で育った日本鹿と猪。その肉を使った霧島ジビエを、ジビエ料理の名店として知られる東京・広尾のフランス料理店「マノワ」が、テリーヌやソーセージへと進化させたセットがおすすめです。ひと口食べれば、ジビエのもつイメージが一新させられます。
「霧島ジビエ 日本鹿・いのししのテリーヌ各3枚とソーセージ各4本セット【マノワ】」(寄付金額35,000円)。テリーヌは解凍後、そのまま食べられます。マスタードやジャム、ピクルスなどと一緒に食べると相性がよく、さらに満足感がアップ。ソーセージは解凍後、焼き目を付けてから、お好みでマスタードなどを付けてどうぞ。いずれも噛み応えのあるごろりとした肉の食感を楽しめるのはもちろん、ジビエが苦手な人でもまったく気にならないくせのなさに驚くはず。
——食べ物以外には、どんなものがあるのでしょう?
大場さん:猫を飼っている方におすすめしたいのが、兵庫県西宮市の鹿革で作った猫じゃらしです。猫が嚙んでも安全な素材を使用したこだわりの猫じゃらしで、鳥獣被害対策として捕獲された鹿の革を使っています。やわらかな鹿革ならではの独特の動きが、普段はおっとりした大人猫をも惹きつけるとか。使用している鹿革は、なめし加工時にクロムやホルマリンなどの有害成分をいっさい使わず、廃液までもリサイクル可能な方法で加工。土に還すことができる素材のみで作られているので、安心して遊べそうです。
「ジビエレザー 鹿革猫じゃらし(日本製) 釣り竿タイプとスティックタイプのセット」(寄付金額20,000円)。2種類の猫じゃらしがセットに。製作ストーリーを綴ったオリジナル絵本付き。
——最近は、体験型のお礼品も増えているようですね?
大場さん:はい。“旅館に泊まって温泉とジビエを楽しむ”、“レストランでジビエコースを堪能する”といったものもあります。ジビエに興味のある方には、北海道白糠町での蝦夷鹿のハンティング体験もおすすめ。狩猟歴20年のプロのハンターに同行して、蝦夷鹿のハンティングを見学できます。希望すれば、第一種銃猟免許取得と猟銃所持許可を取得するための説明も行ってもらえるので、興味がある方は参加してみてはいかがでしょう。
「エゾ鹿ハンティング体験 4名様まで同時に体験可能 株式会社馬木葉」(寄付金額70,000円)。ハンティングの方法から獲物の捕り方、マナーなどが学べる狩猟体験。初心者でも気軽にハンター気分を味わえます。
ふるさと納税を、よりお得に利用する方法も
——ちなみに、「さとふる」をお得に利用する方法って、あるのでしょうか?
大場さん:さとふる公式サイトのトップページでは、その時々のキャンペーンをご案内していますので、チェックしてみてください。ほかにも、割れや欠け、規格外などで市場には卸せない品を集めた“訳ありのお礼品”、 2020年からのコロナ禍の影響で出荷できなくなってしまった品を、通常よりも増量したり、寄付額を下げて提供している“コロナ緊急支援”にも注目です。もったいないをなくし、生産者や飲食店、寄付者、みんなが笑顔になる輪を広げていきたいです。
——最後に、ジビエに関する今後の展開をお聞かせください。
大場さん:ジビエは、登録件数、寄付件数ともに年々増加しており、注目度の高いジャンルです。まずは“地元で頑張っている小さなお店の品をピックアップ”、“近年人気が高まっているペット向けの品の充実”といったことに積極的に取り組んでいきたいと考えています。また、都市部のレストランで、地方で捕獲・処理されたジビエを食べられるといった体験型のお礼品にも注目しています。体験型のお礼品を利用することで、ジビエを知ってもらえるきっかけとなり、地域にも関心をもっていただけるきっかけになればと考えています。