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運命的なジビエとの出会いと感動をお客様へ「イタリア料理 ロアシ」

イタリアン 埼玉
2018.11.20

肉うどんや大宮イタリアンなど、ご当地グルメでは話題に事欠かない埼玉県の大宮区。都内からもファンがわざわざ足を運ぶ店も多いエリアですが、そんな大宮に、おいしいジビエをリーズナブルに味わえる店があると聞き、さっそく足を運びました。JR大宮駅から徒歩7分ほど、駅前の喧騒から少し離れた場所にある「イタリア料理 ロアシ」。広々とゆったりとした店内は、グループや家族連れでも食事を楽しめる空間です。

取材したこの日、女性記者&カメラマンでお店に伺うと、「こんにちは!」と明るい声が厨房から。代表シェフの深江 稔さんです。ご実家が飲食店を経営していたこともあり、いろいろなお店で修業をしたのち、ここ大宮で13年にわたり、さまざまなイタリア料理を生み出してきました。もともと長野県安曇野出身なので、ジビエにはそれなりに親しんでいましたが、実は「そんなには好きではなかった」という深江シェフ。本格的に店のメニューとして提供するようになったのには、ある理由があったのです。

ジビエの概念を覆す、ハイクオリティな素材との出合い

「今の取引先の業者さんからジビエを仕入れた時に、『ジビエは、こんなに美味しいものなんだ!』と感動したのです。これまで食べていたものとは全然違う秀逸な素材で、自分のジビエに対する概念が思い切り覆りました」

それほどまでにレベルの違うジビエは、どういう点がポイントになるのでしょう?

「ハンターさんが獲物に極力ストレスを与えないで仕留めたものを、素早く丁寧に処理されているかがポイント。それができないと、肉のクオリティが格段に下がってしまいます」

今回披露してくださったメニューは、北海道白糠町(しらぬかちょう)で獲れた蝦夷鹿を使った3品。熟成肉も人気ですが、臭みが少ないフレッシュな肉を使用しています。深江さん曰く「新鮮な蝦夷鹿は、比較的供給が安定していますし、個人的に好きなので」。

まずは、手打ち麺を使った「えぞ鹿のボロネーゼソーズ・タリアテッレ」(1,400円・税抜)からいただきます。旨味の強い鹿のスネ肉をじっくり煮込み、深みのある味わいに仕上げました。ジビエビギナーでも食べやすいと評判のこのパスタは、クセがほとんどありません。しかし口に入れたあと、ほのかに漂う野性味に、牛肉とは違ったワイルドな余韻を感じることができます。ちょっと冷めても美味しいのは、しっかり手をかけて作っている証拠でしょう。

2品目は、同じ蝦夷鹿を使った料理でも“変化球”の「えぞ鹿のカツレツ」2,500円(税抜)。チーズをインしたパン粉を衣にして、外側をカリッと焼き、中の肉はジューシーなままに旨味を閉じ込めました。薄衣なので脂っこさも少なくとても食べやすい、それでいてポーションが大きいのでお腹にもしっかりとたまります。

「蝦夷鹿は、脂分が少なく淡白な味なので、パン粉にチーズを混ぜコクを出しました」と深江シェフ。さらに香ばしさも加わって、とても食欲が刺激される一品です!

正しい火入れをすることで生まれる美しい“肉色グラデーション”

最後は、正統派の「えぞ鹿のロースト」2,300円(税抜)をいただきます。

ゆっくりと火入れしたお肉は、しっとりと柔らか。ソースはシェリービネガーと蜂蜜を混ぜて煮詰めたもの。この甘酸っぱさが鹿肉に実によく合います。ひと口ひと口噛み締めながら頬張っていると、草原を跳ね回る鹿のイメージが頭に浮かんでくるようにさわやかです。

とにもかくにも“ローストは火入れが大事”とのこと。最初にフライパンで軽く表面を焼き、その後オーブンでじっくりと火を通します。途中で、まめに焼き加減をチェックする深江シェフの横顔は真剣そのもの。最後にフランスの高級自然海塩「フルール・ド・セル」をひと振りしてフィニッシュ。

「火入れの加減を間違えると肉が硬くなりますし、見た目もよくない。下手に火を入れると肉の外側が白くなりますが、ちょうどよい火入れであれば、肉の色がきれいなグラデーションになるのです」

確かに、深江シェフの一皿は、中心へ向かってみずみずしい肉色を維持したまま。なんと美しいグラデーションなのでしょう! カツレツやローストに添えられた野菜やフルーツもたいへん美味。地元埼玉や千葉の契約農家さんから仕入れた旬の新鮮な野菜を、フランボワーズなどのフルーツソースで和えているので、肉でまったりとした舌をさっぱり爽快な後味にしてくれました。

さらには、ワインとのマリアージュも教えていただきました。

「やはり鹿肉には重めの赤ワインがいいですね。樽香をきかせたタンニンがしっかりしたカベルネ・ソービニョンがおすすめ。でも基本的には、ご自分の好きなものをお飲みになったほうがいいですね。白ワインでもいいし、ビールだっていいのです」

ジビエは野生のものだから個体差が大きく、素材としてはとても難しいそう。しかも、慎重に肉をさばく必要があり、一度刃を入れたら、もう後には戻れないという“ハラハラドキドキ”の連続…。

「だからこそジビエはおもしろいし、料理人としては、『次もなんとかしてやろう!!』と思います」(笑)。それが深江さんにとって、ジビエの一番の魅力と言えそうですね。

ディナーは7品2,700円(税抜)~で、9品も楽しめるCコースは4,500円(税抜)という破格ぶり。メインの肉料理に「エゾ鹿のロースト」を選んでもプラス料金なし! という深江シェフの心意気もうれしく感じた「イタリア料理 ロアシ」への訪問でした。