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神奈川県産の鹿肉を使って新メニューを開発! 「TSUBAKI食堂」横浜市

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2024.01.31

「ジビエト」ではジビエ需要拡大・普及推進事業の1つとして、神奈川県産の鹿肉を使ったメニューを神奈川県内の飲食店に開発していただき、店舗で提供する取組を行なっています。

神奈川県というと野生動物とはあまり縁がなさそうですが、実は農家の人たちが長年農作物の被害に悩まされてきました。被害防止のために農業者や地元猟友会が鳥獣の捕獲をしていますが、その大部分は埋設等処分されています。しかし、最近ではジビエとしての利活用が盛んになっており、神奈川県も熱心に取り組んでいる自治体の一つです。

ジビエファンやジビエに興味のある方たちには、神奈川県産のジビエを、神奈川県内の飲食店で気軽に楽しんでいただける絶好の機会です。

横浜野菜・地産地消の店と、神奈川県の鹿肉がコラボ!

参加店3店舗のうち2店目は、2020年に新築された横浜市役所庁舎内にある肉料理&野菜料理のTSUBAKI食堂。

TSUBAKI食堂は、横浜野菜の地産地消に積極的に取り組んでいる椿直樹さんがオーナーシェフを務める店。意外なことに近年、横浜市では新規就農者が増えているのだとか。

「みんな理由は違いますけど、食べ物を自分で作る大切さを感じたり、いろんな職業を経験した上で地に足の着いた仕事をしたいと考えたりする方も多いんじゃないでしょうか」

椿さんは野菜だけでなく、豚肉などもはまぽーくやYOKOHAMAヨークシャーなど、横浜産の肉にこだわっています。そんなTSUBAKI食堂と神奈川県産鹿肉とのコラボに期待が膨らみます。

今回、TSUBAKI食堂が開発した神奈川県産鹿肉料理は次の3メニューです。

  1. 鹿肉のステーキ(ステーキ盛り合わせ☆鹿肉プラス)
  2. 鹿肉のカツレツ
  3. 鹿肉のワイン煮込み

鹿と牛と豚、夢のステーキ3種類食べ比べ

まず、ヒレ肉とロース肉を使ったステーキ。なるべく素材をガツンと味わってもらおうと、両方を混ぜてステーキにしたそうです。

「鹿肉を調理してみて思ったのは、血の鉄分が美味しくて旨味になっているということです。だから焼き方と寝かせ方で、ギュッと肉の中に血を閉じ込めるようにしました。牛や豚よりも早めに火を止めて、絶妙な火加減で仕上げています」

そしてこのステーキは、ソースがポン酢というのもポイント。

「カツや煮込みと対比させるために、ステーキはダイダイ酢と出汁を使ったポン酢で食べていただこうと。さっぱりしているので、鉄分の旨味もしっかり味わってもらえると思います。お酒は赤ワイン、ときどきハイボールで流す、みたいな感じですかね」

実際にいただいてみると、牛よりは歯応えがありつつ、食べやすい柔らかさ。さっぱりとしたポン酢が肉によく合い、椿さんが話していた肉の旨味を引き立てているようです。

TSUBAKI食堂には、牛と豚を一度に楽しめる「ステーキの盛り合わせ」という名物メニューがあります。今回の鹿肉のステーキは、「ステーキ盛り合わせ☆鹿肉プラス」として鹿肉ステーキをプラスして提供されるとのこと。ぜひ牛&豚&鹿の3種類を食べ比べてみてほしいです。

鹿肉のカツレツを小松菜塩でさっぱりと

「鹿肉のカツレツ」は鹿肉の美しい断面が目にも鮮やか。高温で短時間揚げてから一度寝かせて、もう一度揚げるという手の込みようです。

「普通に揚げると中が真っ白になってしまうので、鉄分の旨味も味わっていただけるよう、今流行っている牛カツのイメージで作りました。外がカリカリで中がジュワッというのを味わってください」

付ける調味料は3種類。1つ目は緑色の塩で抹茶塩かと思いきや、小松菜塩(小松菜の粉末と合わせた塩)。2つ目はレモン、3つ目はわさび。

「ぜひシンプルに塩で食べていただきたいです。それで飽きてきたら、レモン汁やわさびで味変していただければ。鹿肉の旨味をちゃんと味わってほしいので、もし『とんかつソースをくれ』って言われたらガッカリしますね(笑)」

いざ口にしてみると、柔らかくて旨味がたっぷりで、塩で食べてほしいというのが納得。肉自体に下味がついていて、カツだけでも美味しいくらいです。その秘訣を聞くと最初に肉を赤ワインと野菜に漬け込んでいるのだそう。だからこんなに柔らかくて匂いもないんですね。お酒はキリッとした日本酒がお薦めとのことです。

モモ肉がホロホロほどける鹿肉の赤ワイン煮込み

「鹿肉の赤ワイン煮込み」はモモ肉を使っていて、濃厚なビーフシチューのような見た目。

「フランスに仔羊を煮込んだナバランという料理があって、そのイメージです。鹿のモモ肉は固くて筋もあるので、じっくり煮込んで、筋が旨味に変わる瞬間を狙って。深みのある味と赤ワインの酸味とでバランスが取れていると思います」

口に含んでみると、何とも言えぬ深い味わい。鹿肉は筋の部分でホロホロとほどけていきます。こうなるまでに、3時間ほど煮込んでいると聞き、腑に落ちました。

「煮込むのって大好きなんですよね。ずっと煮込んでいると、肉が柔らかくなったっていう瞬間があって、それがたまらなくて。キタッみたいなね(笑)」

もちろんナスやパプリカなどの野菜は横浜産。横浜の野菜と神奈川県のジビエの幸せなマリアージュが実現したのでありました。

食に対する意識が高い人にこそ、ジビエを食べてほしい

椿さんが地産地消に関心を持ったのは、スペイン料理店に勤めていた30代のこと。あるイベントで大根、長ネギ、小松菜、ほうれん草など横浜産の野菜を購入し、お店で調理したところ、みずみずしさや味の濃さ、香りの強さにびっくりしたのだそう。

「横浜市保土ヶ谷の生まれですが、その時まで地元の野菜が美味しいなんて考えたこともありませんでした。そもそも野菜が苦手であまり食べていなかったんです。苦手だからこそ、より美味しさが分かったんでしょうね」

独立後、横浜野菜の美味しさを伝えていきたいと考え、流通や加工品の製造、飲食店などさまざまな業態を模索・経験する中で、生産者とのネットワークも広がっていきました。横浜市産だけでは揃わない素材については神奈川県内の小田原や海老名、相模原などの生産者からも仕入れているそうです。

「実際に調理してみて、野性的な臭みとかはほとんど無いし、思いの他扱いやすいなと感じました。きっと血抜きが上手なんでしょうね。うちのお客さんに食べていただくには、人気メニューであるステーキやカツレツなどに混ぜておいて、『今日は鹿肉にしてみるか』と思っていただくのがいいと思いましたが、これならジビエに馴染みのないお客さんでも十分楽しんでいただけるという感触です」

TSUBAKI食堂には地産地消に関心のあるお客さんも多くやって来ます。

「お客さんは、ただお酒を飲めれば良いだけでない50代より上の方が多いし、市役所の職員さんも来られるので、食に関して意識の高い方が多いですね。そういう方々はジビエの利活用にも関心を持っていただけると思うので、ジビエにまつわるストーリーをどう伝えて、共感していただくのかが、工夫のしどころでしょうね」

これから横浜に遊びに行く際は、市役所庁舎に寄って、地産地消やジビエの利活用など食の問題に思いを馳せながら、おいしいグルメをいただくという、新しい横浜の楽しみ方を味わってみてはいかがでしょうか?

 

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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