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温かな雰囲気と美味しさが人を呼び寄せる野毛の隠れ家的存在 「Bistro HOBO」(ビストロ ホーボー)

フレンチ 神奈川
2019.01.18

神奈川県横浜市の野毛地区には「たべもの横丁」と名付けられた、屋台村のような一角があります。リーズナブルな焼き鳥、串カツ、居酒屋などが軒を連ね、“サラリーマンの聖地”ともいえる庶民的なエリアです。そこで、本格フレンチが食べられる「グレーヌマルシェ」という人気店があり、異彩を放っているのですが、そのお店のオーナーが2号店として去年出店したのが、「Bistro HOBO」(ビストロ ホーボー)です。

「ジビエ=ロジックな料理」、それが性に合った!

小さなドアを開けると、外からは想像もできないほどフロアが広く、木の温もりがあふれる空間が。通りに面した大きな窓からやわらかな自然光が差し込みます。たくさんの自然派ワインが並び、焼きたてほやほやの自家製パンの香りも漂ってきて、幸せな雰囲気に。

イタリア料理からキャリアを出発、カナダのバンクーバーでフレンチを修行し、ジビエに出会ったというオーナーシェフの松本大輔さん。

「フレンチ、特にジビエは非常に理にかなった料理です。もちろん感性も重要なのですが、とてもロジックなもの。それが自分の“性”に合ったのだと思います」。そんな松本さんが今回作ってくださった料理は3品。どれも細やかな心配りと卓越した技術によって仕上がっています。

1品目は「小猪モモ肉のハムのサラダ仕立て」(950円・税抜)。

こちらは松本さん手作りのシャルキュトリー(加工肉)。骨を取り除いて成形されたハムは、ほのかなスモークの香りがしつつも、猪肉の本来の野生味が味に豊かさを加えています。地元横浜野菜とのハーモニーも抜群!記者の大好きなバルサミコ酢の香りが店内に漂い始めまたところで、2品目「蝦夷鹿バラ肉のバルサミコ煮込み」(1,200円・税抜)が運ばれてきました。

蝦夷鹿は北海道日高産。大量のバラ肉をチャーシューのように丸めて焼いてから、鍋でコトコト数時間煮込みます。松本氏はふだんあまりバルサミコ酢を使わないそうですが、この料理にはたっぷり使っているとのこと。その理由は?

「バルサミコ酢は、素材の持ち味を損なうことなく、蝦夷鹿の旨味を上手に引き出してくれるんです。まさに主役の肉を邪魔しない、名バイプレーヤー(笑)。色も綺麗に仕上がるので、重宝しています」。

鹿肉が口の中で溶けるように流れていく食感が最高。バルサミコの風味は残っていますが、酸味と甘味がちょうどいいバランスを保っています。

最後は「小猪ロースのステーキ」(2,200円・税抜)をいただきます。

鳥取産の猪肉は、肉を焼き固めたあと余熱でじっくり寝かします。その分、驚くほどやわらかく、さらりとしていてクドさがありません。ジビエに苦手意識を持つ人でも難なく食べられます。骨やガラからとったジュ(肉汁)を煮詰めて仕上げたソースも、また格別。

ジビエの“記憶”が、より美味しさを加速させる

冒頭のように、「フレンチは理にかなっている」との言葉がふと頭をよぎります。松本さん曰く「なるべく一頭買い、一羽買いしています。骨と肉が構造的にどう繋がっているのか、脂がどうのっているのがわかり、料理にどんなふうに反映していいのかも明確。だから、“何をどう食べるのか”が腑に落ちて来る」。

私たちが美味しいものをいただく時、食材をいちいち分析しないかもしれません。しかし、食材となる野生動物がどのように育ったかのストーリーを聞いてからいただくのも時にはよいもの…。口に入った瞬間、命の躍動感が脳裏をよぎっていくのです。

「ジビエは“記憶”だと、僕は思います」と松本さん。納得のひとことです。