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味、空間、価格…満足度抜群! 下町の本格フレンチ 「restaurant à la Quiétude」(レストラン キエチュード)

フレンチ 東京
2019.08.29

動物園や美術館の観光客でにぎわうJR上野駅から徒歩10分弱。大通りの1本裏手、下谷神社の向かいに「いったい何のお店かしら?」と思わせる真っ白い扉があります。

ここは、新進気鋭の荒木栄朗シェフが営むフレンチレストラン。荒木さんは日本やフランスのレストランで修業したほか、カナダやモロッコなど世界中を旅しながら腕を磨きました。“心の安らぎ”という意味の「レストラン キエチュード」をオープンしたのは2015年のことです。

お客様の顔が見える“通えるフレンチ”を目指して

「レストラン キエチュード」は、“小さな驚き”がたくさんあるお店。扉を開けると木を基調にした温かみのある空間で、まず目を引くのは目隠しが一切ないオープンキッチン。カウンター席だけでなく、テーブル席からもキッチンがよく見え、ライブ感のある食事の時間が過ごせます。

次に驚くのは、メニュー表。こちらではディナーはコース1本で勝負ですが、メニューには「トビウオ クスクス ビーツ」といった食材の名前しか書かれていません。なぜ?

「フランス料理のメニュー名って長くて、お客様にはわかりにくいですよね。それなら、食材名からどんな料理が出てくるかを想像し楽しみながら待ってもらいたいなと思ったんです」

そしてやはり驚くのは荒木シェフが生み出す料理の数々。夜のコースは5,600円(税抜)と抑えた値段ながら、皿数は全8品! 食材選びにはこだわり、産直の珍しい食材や、ポーションは小さくてもフォアグラなどの高級食材を組み込むことで満足のいく食べ応えになるように構成されています。コースは月1回、毎月1日に変わります。

「敷居が高いと思われがちなフレンチを、通っていただける価格帯にしたかった。普段味わえないものを楽しんでいただきたい」と、豚、牛、鶏などのよくある食材は使わないようにしています。

生産者の想いものせた美しい一皿

そんな荒木シェフが今回作ってくださったのは、全部で3品。まず登場したのがこの料理ですが、これはいったい…?

ナイフを入れると、中にはジューシーな肉がたっぷりと!

猪のミンチを細切りにしたポテトで包み、油をかけながらじっくりと火を入れて表面をカリッと焼き上げています。ひと口食べると…絵画的な見た目とは裏腹に、クミン・コリアンダー・ナツメグなどスパイシーな味に驚きが。ジャガイモの食感もよく、ホウレン草と赤ワインの2種のソースで味わいが変えられるのも楽しいです。

「北海道、熊本、長崎、和歌山、三重…など、これまでいろいろな地域の猪を扱いました。その中でも鳥取の猪は味が上品ですね」

2、3品目は、岐阜県産鹿肉を使った料理を作っていただきました。

「鹿肉のロースト」は、赤や緑の色どり野菜と共に皿に盛り、赤ワインのソースと枝豆をペーストにしたソースを添えて華やかな一皿の完成です。

このお肉が本当にやわらか! 野性味はほのかに香る程度なのでジビエ初心者にも食べやすく、赤ワインソースは鹿肉の煮汁を加えることでコクのある仕上がりに。

最後を締めくくるのは、「鹿肉の香草パン粉焼き」。

フォンドボーと赤ワインでやわらかく煮込んだ鹿のスネ肉に、パン粉を乗せてオーブンで焼き上げています。添えられているのはマコモダケをローストしたもの。

長時間煮込まれた鹿肉は、ナイフを入れると崩れてしまいそうなほど、ほろりとやわらか。コクのある赤ワインソースにも、フルーツのようなビーツの軽やかな味わいにもマッチします。

荒木さんにとって、この岐阜県産の鹿肉との出合いは衝撃だったそう。

「どの部位を試食してもまったく臭みがないんです。それは加工の腕がよくて肉が新鮮だからこそ。ジビエが苦手というお客様も召し上がってくださっています」。

少し残るご出身の熊本のイントネーションが、朗らかな人柄にぴったりな荒木さん。すると「いやぁ、本当はなまっていないんですよ~、この前、熊本から帰ったばかりで」と思わず笑み。聞けば、熊本産のジビエを流通させたいという相談があり、現地に飛んで行ったのだそう。

「来月は山形へ。生産者を訪ねてその食材がどう作られているかを見て、その想いを聞くと、自分の料理への気持ちも変わる。料理のインスピレーションを得るためにもキッチンにこもっていてはダメですから」

「すべてはお客様に楽しんでもらうため」という荒木さんの思いに加え、店・客・食材・生産者へのたっぷりの愛情、小さな驚きがたくさん詰まった下町のフレンチレストラン「キエチュード」。ジビエを食しながら、癒しのひと時をぜひ。

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