追い足しのデミグラスソースが鹿肉の魅力を引き立てる 「ジビエ食堂」京都府京都市中京区
京都は四条烏丸エリアの北西、西洞院蛸薬師下ルに位置する「ジビエ食堂」。屋号が記されたインパクトある赤提灯が下がり、どんな料理が提供されるのか気になります。
渡仏経験を経て、帰国後すぐに京都で店を構える
約10坪の空間は、ゆったり座れるL字型のカウンターとテーブル席で構成。竹をあしらい和のテイストを加えた内装が、京都らしさ漂う落ち着ける雰囲気に一役かっています。
ここで腕を振るうのは、20代の若きシェフ・藤田よしきさん。料理の世界に入ることを志したのは、大学3回生の時。魚の市場や寿司店などでのアルバイトで調理を経験するも、フランス料理は未経験という状態で、縁あってパリで1年間働く機会を得ました。そして、いきなりパリ14区にある町場のフランス料理店「Aux Plumes」(オー プリュム)のキッチンへ。日本人のオーナーシェフと2人きりで、初めてフランス料理に向き合う日々。ランチとディナーの仕込みを任されたため、ほとんどを調理場で過ごしていたそう。そんな濃い経験ののち、帰国後すぐの2018年5月に、あるオーナーのもとで自分自身の店が持てる機会を得ます。その後、2019年6月からは「ジビエ食堂」のオーナーシェフとして切り盛りしています。
提供する料理のコンセプトを尋ねると、「フランスで働いた店とはまったく違ったメニューを提供しています。パリの店はカジュアルだったんですが、僕は古典的な料理が好きなので、フォンやジュなどのベースや、ソースを大切にしています」とのこと。
店や料理のことを知った上で来店してほしいという思いから、SNSで食材選びや料理についてこまめに発信中。それゆえ、「おまかせ」する人が多いとか。
鹿肉を使ったボリューム満点の前菜やメインを堪能
まず用意していただいたのは、「前菜盛り」(1,600円・税抜)です。
1人前がこのボリュームなので1皿目から満足度◎。写真中央の鹿肉のパテは自家製で、兵庫県・丹波篠山(ささやま)産鹿肉のミンチをベースに、ベジョータ(最高等級のイベリコ豚)を使った自家製ベーコンや、京赤地鶏のレバー、タマネギ、ピスタチオ、数種のスパイス入り。仕込んでから一週間ほど寝かせることで、口の中でじっくりと楽しみたくなる、余韻の残る味わいを生み出しています。
この1皿には、地鶏のバロッティーヌやキッシュをはじめ、白桃のガスパチョ、ラムのリエットが入ったシュー生地やキャロットラペが並んでいました。
ファンの多い、レンズ豆の付け合わせを添えた蝦夷鹿のステーキ
次に控えたメインの鹿肉料理は、フライパンで1時間ほどじっくりと弱めの火にかけ、肉汁を逃さないよう大切にゆっくりと火入れをしていきます。「時間がかかる分、先ほどのたっぷりの前菜をワインと一緒にゆっくり楽しんでいただければ」と藤田シェフ。
2品目「エゾ鹿のステーキ」(1,900円・税別)がいよいよ登場。デミグラスソースとレンズ豆の煮込みを添えて提供します。
「デミグラスソースは、継ぎ足しで作り続けているものです。鹿肉を切り分ける時に出た筋などの端材を焼いて煮出したブイヨンや香味野菜を使いますが、調味料はほぼ入れていません。味が重たくなったら鶏のブイヨンやトマトで酸味をプラスするなど、食材だけでしっかりとした味わいに仕上がっています」。
食材を無駄にせず、素材そのものの味を重ねることによって生まれた、奥ゆきのある味わいが醍醐味。
また、「レンズ豆の煮込み」はファンがとても多く、これを目当てにオーダーする人もいるのだそう。鹿肉に負けない存在感ある味わいや、レンズ豆ならではの舌触りがアクセントとなって、肉汁あふれる鹿肉との相性も抜群。
今回紹介した2品は、「おまかせ」「なんでもいいよ」のオーダーには必ず提供するおすすめメニューです。
ワインは藤田さんが試飲して、料理と合うと判断したものをセレクト。上品な味わいが気に入っているというスペイン、イタリアのワインが多くそろいます。藤田シェフが力を入れて作るたっぷりの前菜と鹿肉のステーキ、そしてワインに出合いに、ぜひ京都へ。
ジビエ食堂
- 住所:京都府京都市中京区西洞院蛸薬師下ル古西町441
- TEL:075-748-1389
- 営業時間:11:30~15:00(LO)、18:00~24:00(LO22:00)
- 定休日:なし
- 備考:※全席禁煙
- ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
- 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。