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狩猟から料理までこなす達人の宿 「中山旅館」石川県白山市

石川県 焼肉・ロースト シカ イノシシ クマ ホテル・旅館 すき焼き ランチ
2020.10.26

北陸の玄関口、JR金沢駅から鶴来駅行きの北陸鉄道バスに乗り、鶴来駅で瀬女行きに乗り換え、バスに揺られること計約60分。日本三霊山の一つ、白山に連なる白山麓地域のちょうど真ん中あたり、石川県白山市吉野の下吉谷(しもよしたに)バス停に到着します。バスを降りると、白山を源流とする手取川が作り出した断崖と、滝が織りなす手取峡谷の雄大な景色が眼下に広がります。その峡谷にかかる不老橋を渡ってすぐのところに、水田に囲まれたたずむ「中山旅館」があります。

宿泊はもちろん、予約制で料理のみの提供もあり、創業以来70年余り地元の方に親しまれている、白山麓で最も古い料理店の一つです。

店内は旅館の食堂も兼ねた畳敷きの広間になっており、予約制ならではの空間で気兼ねなく料理と山の静けさをゆったり楽しむことができます。

ご主人は石川県のジビエのパイオニア

「中山旅館」のご主人・中山 明設さんは、石川県初の食肉処理施設「白山ふもと会」の立ち上げに携わった中心人物で、「白山ふもと会」食肉部会の責任者でもあり、いわば石川県のジビエ界隈のパイオニア的存在です。

猪の増加で深刻化してきた地元の農作物被害を防止するため有害捕獲が行われ、ジビエとしての有効活用が始まりました。なかでも中山さんが一年かけて取り組んできたのは熟成肉作りでした。石川県立大学の食品科学科と連携し、検体を30体以上提供。ジビエの処理方法の研究を重ね、作り上げてきた肉は品質が高く、県内外から視察が訪れるほどになりました。

「自分たちが育てている農作物を野生動物に荒らされて、農作物を守りたいと思いました。せっかく駆除するならとことんよいジビエにして食べてあげたいと、肉の鮮度や味を追求、最終的に熟成にこだわったんです。熟成のやり方を一歩間違うと、どんどん菌だけが増えて発酵してしまう。何回も失敗した。でも、今は自分がイメージしたとおりの肉になっている」

苦手な人にこそ食べてほしい

そんな中山さんが目標として掲げるのが、「『中山旅館』で提供するジビエ料理は、ジビエの苦手な人でも美味しく食べられる、そしてジビエファンになってもらう」ということ。

予約制のため、メニューはお任せでも対応できますが、今回出していただいたのは「山と川のめぐみジビエ御膳」(1人前1,500円・税抜)です。ジビエ料理2品と、イワナの刺身、ご飯が付いています。※写真は1人前

まずは、「イノシシとクマのすき焼き風」からいただきます。
「ジビエの味はほかの材料との組み合わせ次第で性格を変えられる」と中山さん。鉄板の上で焼かれているトマトや玉ネギと、肉に含まれる旨味成分との相乗効果で、ジビエならではの味が強調されるとのことです。

旨味を引き出し、ジビエの心地よい余韻を残す

論より証拠と、さっそく猪肉を卵の黄身に付けて頬張ると、最初のひと口で肉の濃厚な味が一気に口の中へ広がります。歯応えも程よく、噛むごとに肉はほどけていき、その度に旨味が積み重なっていくようです。

一方熊肉は、外見のイメージとは逆に、猪肉よりもふんわりとした食感。ほのかな甘味と果実のような上品な香りが印象的。

白山麓の猪や熊は、豊かな木の実や果実を食べて育っているので香りがよいそうです。これなら、ジビエが苦手だという人でも食べたいと思わせてくれそうです。

次は「イノシシとシカの炭火焼」をいただきます。

皿右手前に添えられているのは、地元白山の銘酒「菊姫」の麹に漬け込んだミョウガを佃煮にしたもの。佃煮の野菜は季節ごとに変わるそうです。

猪肉、鹿肉共に炭火でシンプルにこんがり焼いた一品。熟成肉の濃厚な旨味が肉好きにはたまりません。後口さっぱりで非常に食べやすく仕上がっています。

〆の「イワナの漬け丼」でもコンセプトは変わらず、いかに川魚のクセを抑え、美味しさを引き出すかに焦点が当てられています。近くの蔵元の醤油を使った漬けダレは、地元産のイワナの風味を引き立てます。

合わせるご飯は、旅館の隣の水田で中山さん自身が育てたお米。ふっくらと甘味たっぷりでイワナとの相性も◎。

県初の食肉処理施設開設から10年近くになり、白山麓地域の魅力の柱の1本になりつつあるジビエ料理。今後も研究の手を休めることなく、次世代に引き継いでいきたいと中山さん。ジビエ初心者から熱心なファンまで温かく迎えてくれる「中山旅館」へ、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

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