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都会の真ん中でキャンプ気分。揺れる薪火を眺めながら楽しむ「薪火グリル azer(アゼル)」東京都渋谷区富ヶ谷

蝦夷鹿 シカ ダイニングバー 東京
2020.11.07

店に入ると、パチパチと爆(は)ぜる薪の音と漂う薪の香り。ここは東京メトロ千代田線代々木公園駅・小田急線代々木八幡駅から徒歩1分の場所にある、「薪火グリル azer」。

東京都渋谷区の緑豊かな高級住宅地で、おしゃれな飲食店が多いエリアにお店はあります。

「薪火グリル」という名のとおり、お店の名物は薪で焼いた料理の数々。オープンキッチンには薪窯が鎮座し、それを囲むようにカウンター席が並びます。

テーブル席からも薪窯が見え、深い青で塗られた壁や夜空を描いた壁画に囲まれ、ここでの食事はまるで自然の中でキャンプをしている気分です。

こちらのお店は、独立前に勤めていた、薪を使ったグリルレストランで出会った二人、川端 康介さんと成松 伴記さんが共同オーナーとして2019年11月22日にオープン。川端さんがホールを、成松さんが料理を担当しています。

国産の肉や魚など食材は厳選し、野菜も無農薬のものが中心。化学調味料をできるだけ使わずに調理しています。
「薪火って原始的。その原始的な火でシンプルに調理し、食材そのものの味を楽しんでもらいたい。薪の火を眺めながらのんびり過ごしていただける、心にも体にも優しいお店を目指しています」と川端さん。

手作りの薪窯でじっくりと焼き上げるジビエ

お店の名物は薪火で焼き上げる「蝦夷鹿のグリル」3,480円(税抜)。

実は、ジビエについてあまりよい印象を持っていなかったという川端さんですが、生産狩猟、枝肉熟成流通、シャルキュトリ製造、レストランの4ブランドにおいて食の一貫生産管理体制を構築し運営している、北海道の「ELEZO(エレゾ)」のジビエに出会い、イメージが一変。「臭みがまったくなく、赤身の肉の美味しさを知って衝撃を受けました。それをたくさんの人に知ってほしいと思ったんです」と、メニューの中核に据えました。

今回焼いていただくのは3歳・メスの蝦夷鹿のモモ肉。食肉処理後に適度に寝かした赤々としたきれいな肉です。やわらかな肉質の蝦夷鹿のなかでも、若いメスはよりやわらかだそう。

肉にはシンプルに塩・胡椒のみを振り、桜の木を焚いた薪窯へ。実はこの薪窯、お二人が1週間かけて手作りした力作です。

薪の火力は一定ではないため焼き加減がとても難しく、またそれが醍醐味でもあります。肉中心温度を確認しながら、直火から離すなど肉を置く位置を変えたり、蓋をしたりして火加減を調整。20~30分かけて焼き上げます。

焼き上がった鹿肉は、外は香ばしくナイフがすっと入るほどやわらか。

口の中で肉汁が旨味とともにジュワ~ッと広がり、シンプルな調理法だからこそ素材のよさがダイレクトに伝わってきます。肉がまとう薪のほのかな香りも最高の調味料です。
「薪に水分が含まれているので、長時間焼いても肉が硬くならず、しっとりした焼き上がりになるんです」(成松さん)

薪火のグリルは蝦夷鹿のほか、この日は熟成短角牛(5,980円・税抜)も。樋熊や北海道産雷鳥などの珍しいジビエが入荷することもあるそう。また、野菜、ベーコンやジャーキー、本シシャモやカツオなどの魚介類もグリルや炙りで楽しめます。

化学調味料を使わず素材の味を生かした優しい料理

続いて出していただいたのは、「鹿のボーンブロススープ」(700円・税抜)。

黄金に輝く透き通った見事なスープに、季節の野菜がたっぷり。ひと口飲むとその優しい味わいに心を奪われます。

「命を大切にいただくのですから、素材を余すことなく使いたい」と言う川端さん。大きな蝦夷鹿の骨をくだき、1日目はアクを取りながら骨だけを煮て、2日目は香味野菜を加えて弱火でコトコト煮詰めていきます。調味料は白ワインと塩のみで、シンプルだけれど手間暇を惜しまないからこその滋味深い味わいです。

厳選した素材を使っているのは料理だけではありません。ワインやビール、焼酎などアルコールの種類も豊富です。

特注サーバーが2タップあり、この日のラインナップは川端さんの友人が造るクラフトビール「明石ビール juicy fanfare(写真左)」と、珍しいクラフトサイダー「アウトサイダー ダイヤモンドグラフサイダー(写真右)」(ハーフサイズ、各500円・税抜)。

川端さんが厳選した焼酎や日本酒もあり、「オーガニックレモンサワー」(580円・税抜)はノーワックスの国産レモンを使ったウォッカベースのものと、こだわりが随所に光っています。ワインは9割がナチュールワインで、スパークリング、白、赤などボトルは約30種類。ジビエ以外にもコンフィやリエット、サラダからパスタまでお酒に合うメニューがそろいます。

ゆらりゆらりと揺れる薪火を眺めながらお酒を飲み、ほのかな薪の香りに包まれてジビエが焼き上がるのを待つのも、至福のひとときです。時の流れが少しゆっくり感じるのも、薪火の魔法かもしれません。

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