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杯を傾け、山河を喰らう。心と体を大自然の恵みで満たす「山河喰 -SANKAKU-(さんかく)」長野県佐久市

居酒屋 長野 シカ
2020.11.16

信州の東の玄関口に位置する長野県佐久市。南北に千曲川が貫流し、北に浅間山、東と南を秩父山地、西には八ヶ岳連峰と、山河に囲まれたこの町に、2020年2月「山河喰-SANKAKU-」(以下、山河喰)がオープンしました。

丸みを帯びた木の看板、壁面にあしらわれた流木の曲線に、やわらかな印象を覚えます。

木の扉を開けると、店内はウッディ調で温かみのある設え。なんと、店主の畑中 昌浩さんがほぼセルフリノベーションで作られたそうです。

畑中さんは栃木県宇都宮市の出身。東京で飲食業に携わる日々を過ごしていましたが、いつしか自然豊かな土地で暮らしたいという想いを募らせていき、信州へと移り住みました。

山での暮らし方を覚えるにつれ、豊かな自然は豊かな天然食材の宝庫でもあるということに気付いた畑中さん。春は山菜、夏はイワナ、秋はキノコの採集に魅せられていきます。時間を見つけては食材を求めての山歩き。
「山を歩く人は、それぞれ好きなものがある。ある人は山頂からの景色、ある人は登頂途中に見える稜線、鳥や虫が好きな人もいる。僕は食べられる山野草やキノコを見つけるのが楽しい」
そんな畑中さんが狩猟の世界に入り、ジビエを扱うこととなったのも必然の成り行きでした。

さまざまな飲食店での経験がある畑中さんが「山河喰」を居酒屋の形態としたのは、地元をはじめ多くの人にジビエなど山河の恵みを気軽に美味しく楽しんでほしいという気持ちから。

畑中さんのお話では、佐久市周辺に住む地元の人から鹿肉の印象を聞くと「臭い・固い・美味しいものではない」というものばかり。しかし「それぞれの食材には個性があり、鹿肉だからこそ出せる味がある、ジビエへのネガティブなイメージを打破したい」と、静かに語る畑中さんの瞳の奥に料理人としての矜持(きょうじ)が光ります。

店の奥に飾られたステンドグラスは、鹿のスカルとバラがモチーフ。「死(スカル)を生(バラ)に変える」というイメージで作られたものだそう。食材の命を料理に変えて、食べる人の命の糧へと繋げてゆく。まさに畑中さんの作るお料理と、この空間を象徴するかのようです。

信州の山河の恵みを召し上がれ!

ではさっそく、おすすめのジビエ料理をいただいてみましょう。

一品目は「鹿の自家製ソーセージ」(680円・税込)です。鹿肉ならではの赤身の旨味をハーブの芳香が引き立て、長野県の銘柄牛である蓼科牛(たてしなぎゅう)の脂がやわらかな甘味を添えます。

鹿肉特有の野性味に、チリパウダーの効いたスパイシーなトマトソースとの相性が絶妙。ソーセージの味わいに深みを与え、さらに食欲を増進させてくれる気がします。こちらは赤ワインに合わせたい一品。
※写真は2人前

次に登場したのは「鹿のカツレツ デミグラスソース」(1,000円・税込)。肉の弾力が感じられつつも食べやすく処理された赤身の鹿肉と薄く細かい揚げ衣が、鹿の風味を生かし奥行きのある味わいに。

鹿肉は薄めのスライスなので火のとおりがよくしっとりとした仕上がりに。サクッとした衣の軽快な歯応えも心地よく、箸もお酒も進みます。合わせるお酒を選ばないオールラウンダー。
「うちの子どもも鹿カツが大好物なんです」と頬を緩ませる畑中さん。

続いては河の恵み。「信州サーモンのホットスモーク」(780円・税込)は、千曲川の近くで育てられた信州サーモンを、温燻でしっとり半生に。提供する直前にふんわりとソテーしてバターを絡ませています。スモーキーな香りは、ウイスキーに合いそう! 酒どころ・佐久の地酒もおすすめです。

大自然の中でのアクティビティなら・姉妹店「峠のcafé ADAMO(アダモ)」

実は「山河喰」には、大自然を満喫できる姉妹店があります。標高2,093mの佐久市大河原峠にある「峠のcafé ADAMO(アダモ)」です。蓼科山や双子山、北横岳へのトレッキング、サイクリングやバイクでのツーリングなどさまざまなアクティビティの拠点になっているので、夏季シーズンでタイミングが合えば立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

大都会で腕を振るっていた料理人は、導かれるように信州の地に辿りつき、山河への深い想い故に「長野県自然保護レンジャー」「猟師」「信州ジビエマイスター」となりました。今ではすっかり“山河の恵みの料理人“となった畑中さん。山での実体験で得た知識やスキルを、彼の元へ訪れる人々に伝えています。

日中は山岳アクティビティで汗を流し、夜は「山河喰-SANKAKU-」で、畑中さんの作るジビエ料理と近くにそびえる北八ヶ岳や蓼科の山々のお話を肴に、盃を傾ける…。そんな心と体を大自然の恵みで満たす、なんとも贅沢な信州旅はいかがでしょうか?

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