飲食店、ショップを探す
飲食店

390年の歴史がもてなす“地産地消”の神髄「道後温泉 ふなや」

温泉 愛媛県 旅館
2018.08.31

江戸時代寛永年間(1627年頃)に開業し、390年以上の歴史を持つ「道後温泉 ふなや」は、愛媛を代表する旅館です。皇族の御定宿としても知られ、愛媛に縁のある正岡子規や夏目漱石もここで食事を楽しんだ記録が残っています。

この旧門から入ると、夏目漱石や正岡子規が時を過ごしたという「ふなや」の「詠風庭(えいふうてい)」があり、旅館の利用客でなくとも気軽に訪れることができます。食事をいただく前に、この庭園を散歩しながら季節の薫りと四季折々の植物の姿を楽しみましょう。

「ふなや」は愛媛・松山で初めて西洋料理を出した宿とも言われており、館内のレストラン「葵苔」では、和食はもちろん本格的な洋食のフルコースも楽しめます。今回はこちらで愛媛県産のジビエを使った料理を味わいます。

愛媛県産ジビエを、愛媛の食材とともに味わう

最初に運ばれてきたのは「愛媛産鹿肉とマロンのトゥルト(パイ包み)」です。トゥルトはフランス語で小さなケーキやタルトという意味があるそうです。確かにコロンと可愛いフォルムはまるで洋菓子のようです。

中には愛媛県産の城川栗のペーストと、鹿肉のミンチで包んだフォアグラが入っています。ひょっこり見えている緑の粒々はピスタチオナッツです。これが食感のアクセントになって、濃厚なペーストの中でほんのりと香ばしく薫りたちます。

次に運ばれてきたのは「しまなみイノシシのポワレ、道後ヨーグルトと塩みかんの香り」という一皿。こちらは先ほどのコースとはまた別の価格帯のコースで提供されるお料理のようです。この日は愛媛・今治市にある大三島のイノシシだったのですが、厚みのある肉はさっくりと歯切れがよく、脂のバランスも絶妙。口の中には柑橘のいい香りがふわっと広がります。焼き上げる前に道後ヨーグルトと塩みかんでマリネすることで、この柔らかさと香りの良さが実現するそうです。

“地産地消”への強い想いがジビエとの出会い

洋食料理長の手塚シェフは、この道39年のベテラン。ずっと洋食一筋で、過去には天皇陛下の御食事を作られたこともあるそうです。「全国からVIPや有名人、食通の方がお越しになるので、いつも緊張しています。けれどその方々に愛媛の美味しさを知ってもらうために、愛媛県産の食材にはとことんこだわっています」と手塚シェフ。そうした想いから10年以上前に地元猟師さんが捕ったジビエを使い始めたのが最初だったそうです。「この10年でジビエを取り巻く環境は大きく変わりましたね。今は狩猟から処理、流通までの体制がしっかりしているので、本当に新鮮で旬のジビエが届くようになりました」。

どんなにいい食材であっても自分で食べて本当に美味しいと感じたものしかお客様には提供しないと手塚シェフは言います。「地元の恵みに感謝しながら、大切に味わってほしい」。そんなシェフの想いはこんな一皿にも表れています。

それがこちら、「愛媛のブイヤベース サンクメール」です。サンクメールとはフランス語で「5つ」の「海」という意味。愛媛県が有する「燧灘(ひうちなだ)」、「斎灘(いつきなだ)」、「伊予灘(いよなだ)」、「宇和海(うわかい)」の4つの海域と、新鮮な野菜を生み出す山々を一つの海にたとえて、食材の5つの大きな海をイメージしたのだそうです。本場マルセイユに負けない、愛媛版ブイヤベースの誕生です。ジビエ料理と合わせて、こちらもぜひ味わってみてください。

今回ご紹介した品々は、すべてコース料理に組み込まれるものの一例です。コースの金額によって並ぶ料理や使用するジビエは異なるそうなので、必ず予約時に確認してみてくださいね。最後に「今後は野鳥を使った料理にも挑戦してみたい」と飽くなき探求心を見せてくれた手塚シェフ。彼が織りなす「愛媛ジビエ」の神髄を、ぜひ五感で楽しんでください。