山で採れる“幻の塩”と地元産ブルーベリーで味わう絶品ジビエ「道の駅 歌舞伎の里大鹿」長野県下伊那郡大鹿村

南アルプスと伊那山地の雄大な自然に囲まれた秘境、長野県大鹿村（おおしかむら）。人口1,000人弱の小さな山村ですが、春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は白銀の世界と、豊かな自然の移り変わりが楽しめます。

長野県上田市から静岡県浜松市に至る国道152号沿いに、2018年にオープンしたのが「道の駅 歌舞伎の里大鹿（かぶきのさとおおしか）」です。施設のある大鹿村は、江戸時代から伝わる「大鹿歌舞伎」が有名で、地芝居としては初の国重要無形民俗文化財に指定されています。

昼夜の寒暖差を利用して栽培された農産物が並ぶ直売所、観光情報コーナーのほか、食堂「おい菜（おいな）」には、鹿肉や山菜、キノコなど、大鹿村で採れた食材をふんだんに使ったメニューがそろいます。

窓の外にのどかな景色が広がる店内には、村内の落葉松で作ったこだわりのテーブルとイスが配置されています。
※感染症対策のため、現在はテーブル数や配置などが異なります

今回は「レストランおい菜」の代表、蛯澤（えびさわ） 喜美恵さんにお話を伺いました。
「大鹿村には猟師が60名ほどおり、年間800～1,000頭もの鹿が捕獲されています。そんななか、調理師免許を持つ夫の元に、山の恵みをもっと有効に活用できないかとの相談をいただいたのです」

当時はまだジビエに対する認知度が低く、捕獲した鹿もごく限られた人だけで消費していましたが、地域の協力と試行錯誤を経て、2003年に蛯澤さんのご主人が食肉処理施設「ヘルシーMEAT大鹿」を立ち上げます。
「今でも、夫は猟師の方々とよく議論しています。それもすべて、自然からいただいた命を余すところなく、美味しくいただくため。解体方法はもちろん、捕獲時や運搬時の管理も重要になってきますからね」

鹿肉の旨味を最大限に引き出す貴重な山塩

まずは、一番人気のメニューである「野生鹿ステーキ定食」（1,500円・税込）を。厚めにカットしたひと口サイズの鹿のモモ肉を使用したステーキで、味付けは大鹿村の山から採れる天然の「山塩」のみとシンプルです。

ここで使用している「山塩」は、鹿塩温泉の源泉を朝から夕方までじっくりと煮詰め、作られています。源泉1リットルから30ℊしか精製されないため、幻の塩と呼ばれています。
「とてもさらりとした塩で、塩辛さのあとに甘味が広がります。それが鹿肉の旨味を最大限に引き立ててくれるんですよ」

大鹿村に自生する本葛（※マメ科のつる性多年草）などを食べて育つ鹿の肉は滋味深く、雄大な自然を感じさせてくれ、優しい香りが口いっぱいに広がります。

続いて紹介するのは、弾力のある外モモ肉を使った「野生鹿焼肉定食」（1,300円・税込）。こちらも厚めにカットされた鹿肉が、焼肉のタレに負けない存在感。定食にはご飯、味噌汁、漬物、豆腐がセットで、ボリュームも満点です。

ブルーベリーの甘味と酸味が隠し味のカレーも絶品！

大鹿村の特産品でもあるブルーベリーをふんだんに使った「大鹿村ジビエカレー」（1,000円・税込）も人気です。スパイシーな中にもフルーベリーの甘味と酸味を感じるオリジナルのカレーに、大きめにカットされた鹿肉がゴロゴロと入っています。1日30食限定。

同じジビエカレーを使用した「小渋ダムカレー」（1,300円・税込）には、ワカサギのフライや山菜の天ぷらなど、季節の惣菜が付いています。ダムの堤体に見立てた仕切りは器と一体で放流口のように一部穴が空いておりご飯で塞いであります。そこのご飯を除くとルーが流れ込む仕掛けも楽しい一品です。こちらは1日15食限定。

「レストランおい菜」では、料理に使用する「山塩」（600円・税込）を販売しています。なぜ海から遠く離れた標高750mの山の中にある鹿塩地区から海水のような塩泉が湧くのかは謎に包まれており、未だ解明されていないそう。自宅でも神秘の塩を味わってみてはいかがでしょうか？

ほかにも、食堂と同じカレーが味わえる「大鹿村ジビエカリー」（550円・税込）や、「鹿肉のミートソース」（740円・税込）など、お土産にぴったりの品もそろいます。

「日本で最も美しい村」連合に加盟する小さな山村には、四季折々の美しい景色と、地元の人たちの手によって届けられる絶品ジビエとの出会いが待っています。