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地元産ジビエ100%の旨味が染み入る一杯 「ジビエラーメン 山くじら」

ラーメン シカ クマ
2020.03.31

江戸時代の面影を残す古い町並みや、国内に唯一現存する高山陣屋など、伝統文化が息づく町、岐阜県高山市。言わずと知れた人気観光スポットの中心地から、車で北へ走ること約15分。旧道沿いに佇む店「ジビエラーメン 山くじら」が、今回の目的地です。

ジビエといえば、フレンチやイタリアンを思い浮かべる方も多いかと思いますが、今回はジビエラーメン専門店です。今や、日本の国民食でもあるラーメンで、気軽にジビエがいただけるなんて!と胸を躍らせながら店にお邪魔しました。

こぢんまりとした店内には、カウンター席とテーブル席を完備。壁にはジビエラーメン専門店らしく、猟友会のベストやはく製が飾られています。

 

自然からいただいた命を大切に、美味しくいただくため…

店長の眞田康平さんは、地元の出身。大阪の調理専門学校を卒業後、有名寿司店などで修行を積み、地元にUターン。そこで、友人が営むジビエの解体施設の手伝いを始めます。

「小さいころから、ジビエはごく身近なものでした。実家の食卓には、美味しいしし鍋などが出てきたものです」と話す眞田さん。実際に解体施設の手伝いをするうちに、個体それぞれが持つ個性に惹かれていきます。さらに狩りの現場に同行させてもらったことをきっかけに「自然からいただいた命をムダにはできない。骨まですべてを美味しくいただく方法はないだろうか?」と考えるように。

 

そこで思い付いたのが、骨から出汁をとってスープにして、ラーメンとしていただく方法。しかし、当時はジビエラーメンを通年で出している店は、全国を探してもほぼ皆無。ジビエの骨から出汁をとる方法を知りたくても、まったく情報がない状況でした。

「これはもう独学でやるしかないぞと思い、それから約1年間は試行錯誤しながら、出汁のとり方を研究し続けました」。

研究を始めたものの、「これは旨い‼と思ったスープも、6時間後にはまったく違う味になっていることも…。それまでの私の技術、経験だけでは、対処できないことが続きました」と問題は山積み。

骨の分量や火を入れる時間を変えたり、骨を砕いてみたり、香味野菜を加えてみたり…。これといった正解がないなかでの研究は、時に心が折れそうになることもあったそうですが、大切な山の恵みををムダにしたくないとの思いを支えに、2019年4月に念願の店をオープン。

 

大苦戦した鹿も、洋風のアレンジで最高のバランスを導き出す

最初にいただいたのは、眞田さんが一番苦労したという鹿を使った一杯です。

「鹿の骨から出汁を抽出すると、どうしてもクセが気になってしまう。セロリなどの洋風香味野菜を加えることで、香りよく美味しいスープに仕上げました」と当時の様子を教えてくださいました。

「鹿トマトラーメン」(850円・税込)は、眞田さんがやっとの思いで完成させた鹿の骨からとった出汁にトマトを加えた洋風スープが特徴です。そこに地元の製麺所特製の中太麺を合わせ、2種類のチーズと鹿肉の赤ワイン煮、生クリームをトッピングして完成です。

 

スープをひと口いただくと、トマトのやさしい酸味と共に芳醇な香りが広がります。喉越しのいい麺と一緒にすすると、スープととろけたチーズがよく絡み、鹿の旨味がじわぁと染み入ります。

途中、トッピングの鹿肉の赤ワイン煮や、食べるラー油で味の変化を楽しんだりして完食。なんとも満足度の高い一杯でした。

続いていただいたのは「熊味噌ラーメン」(1,000円・税込)です。「熊の骨を約2日半じっくりと炊き、骨を取り出してからさらに煮詰めた出汁は熊の風味が満載ですよ」と眞田さん。

 

丁寧にとった熊の骨の出汁を生かすため、赤味噌や白味噌、もろみ味噌など数種類の味噌をブレンドした味噌ダレを使用。なんと、味噌ダレの開発には約1か月もかかったそう。

熊の骨の出汁を、煮干と昆布、鶏ガラからとったスープでのばし、特製の味噌ダレを合わせたスープは、とても濃厚。炒めたモヤシとニラ、一日かけて作る熊肉チャーシュー、最後にバターをトッピングして完成です。

「お好みでニンニク一粒を潰してトッピングしても、美味しいですよ」と眞田さん。熊の野性味ある味わいは、ニンニクにも負けないそう。寒い季節のスタミナ食としても、おすすめです。

ラーメン以外にも季節限定でジビエカレーなどもいただけるので、店内の食券販売機をチェックしてください。さらにこれからのジビエシーズンには、地元の穴熊や鴨を使ったレアな限定メニューも登場する予定だとか。

「ジビエラーメンは日々、進化しています。地元ジビエを美味しくいただける一杯を追い求め、研究を重ねていますので、ぜひ遊びに来てくださいね!」

 

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