飲食店、ショップを探す
飲食店

Aランクの味が“すぐそばにある”幸せを感じられる店「トラットリア イル・レガーロ」

イタリアン 千葉 シカ そのほか
2019.01.10

料理やサービスが高クオリティで、なおかつセンスもよい飲食店というと、どうしても東京都内で探してしまいがち。でも、長く飲食店の取材を続けていると、都内以外のエリアでも非常にすばらしいお店に出会うことがよくあります。今回ご紹介する「トラットリア イル・レガーロ」もその一つ。千葉県松戸市にあり、地元民はもちろん、遠方からもグルメ好きな人々が多く訪れるイタリアンレストランです。

「松戸の人々においしいものを」の思いで店をオープン

お店は白壁がおしゃれな3階建てのビルで、1階はカウンター席のみ、2階と3階はテーブル席になっています。もともとは旧水戸街道沿いに2014年7月にオープンしましたが、人気店となって2018年2月に現在の場所に移転。より大きな店構えとなりました。

若きオーナーシェフ・折原卓矢氏は、ご出身が松戸。「自分が生まれ育った地でお店を出すことが目標でした。松戸でも、東京の名店と同じような料理を提供したいと考えていたんです」。

秋冬になると、ジビエは鹿と鴨をメインに、たまに雷鳥や鳩なども用意。熟成させず、あえてフレッシュな状態で調理し、食べやすい味に仕上げています。ハーブなどを多用する”臭み消し”をしないのも、こだわりのひとつ。「ストレスなく仕留められたジビエは、臭くないんですよ。あくまで、肉本来の味をお伝えしたいので、下処理にいろいろな素材は使わずシンプルに仕込んでいます。赤ワインで1日マリネしたり、煮込みでローズマリーを使ったり、という程度ですね」と折原氏。これは、使う素材に自信がなければできないことです。

食材の仕入れ先にもこだわっていて、その中のひとつが「北海道・十勝のELEZO(エレゾ)社」。蝦夷鹿などの狩猟や放牧豚などの生産を行い、肉の解体から加工、販売まで一貫して手掛けている食肉業者です。会員制のため、認めた飲食店にしか食肉を卸していません。その代わり、扱う肉は新鮮で質も最高級。また、野菜は自家栽培のものを使用。「自分たちで作った野菜の方が安心ですし、供給も安定できますからね」。

食べやすさとジビエらしい味わいが共存した逸品

この日は2品のメニューをいただきました。1品目は「ELEZO社直送 エゾ鹿スネ肉と(伊)栗のラグー。カカオを練り込んだパッパルデッレ」(1,600円・税抜)。前述のELEZO社から取り寄せた新鮮な蝦夷鹿を鍋で2時間程度煮込んでいて、パスタ料理ではありますが、まるで肉が主役の煮込み料理といった印象。一方、自家製パスタのパッパルデッレはカカオの風味が効いており、幅広でモチッと食べ応えある食感が肉に負けていません。赤ワインと根菜、トマトソースを合わせ、肉の旨味がギュッと凝縮されています。一緒に煮込まれたイタリア栗が、季節感を贅沢に演出していました。

1品目のおいしさにノックアウトされたところへ、2品目の「鴨ムネ肉のロースト 赤ワインソース」(2,500円・税抜)が登場。

富山産の青首鴨は銃撃ちではなく、ストレスを感じさせずに仕留めたものなので、実にやわらかでクセはなし。「肉を切った時に、肉汁や旨味が表面から少しジュワッと出るのが理想的ですね」。皮はパリッパリ、身は柔らかくサクサクで、その食感バランスの見事なこと!また、記者が感動したのは、添えられた白いピューレ。こちら、サツマイモを裏ごしして作っており、クリームのように甘く滑らか! このピューレの他に、メインの赤ワインソース、粒マスタードや炭塩も添えられ、いろいろなおいしさを堪能できるのです。

日伊で学んだジビエ料理の魅力を地元で発信

折原シェフとジビエが出合ったのは、今から約10年前の名店「イル マンジャーレ 西麻布」での修行時代にさかのぼります。やがてイタリアへ渡り、ミシュランガイドの星付きレストランなどで1年弱、帰国後はミシュランガイド掲載の東銀座「クッキアイノ」で学び、2014年に独立して自店をオープンしました。その時、弱冠27歳!

修業中に日々ジビエを扱ってきた折原氏にとって、自身の店でもジビエ料理を提供するのは自然の成り行きだったと言います。「やはりひとりでも多くの方に、“野性味”というジビエ料理の魅力をお伝えしたいですから」。そんな徹底した料理を学ぶため、折原氏のもとには今も多くの若きスタッフたちが修業しています。

東京は飲食店の数が多い分、本当においしいお店を新たに発見するのは、意外と難しいもの。でも、都心から少し離れたところにもこんなステキなお店があるのです。価格を東京の相場より抑え、地域密着型であることを優先。「松戸の人々においしいものを」という折原氏の強い思いを、取材をとおして感じた日となりました。

続きを見る