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ワインと楽しむ気軽なイタリアン・ジビエ「ペンションヒラオカ」和歌山県御坊市

和歌山県 イタリアン ホテル・旅館 天ぷら・揚げ物 煮込み シカ ランチ
2019.03.25

和歌山のイタリアン先駆者の新たなる挑戦

父はローマ、息子はフィレンツェと、親子二代にわたりイタリアで修行し、30数年そのスタイルを守り続ける御坊市の「ペンションヒラオカ」。実は県内で最も歴史あるイタリアンレストランということは知る人ぞ知る事実。

今でこそイタリアンレストランが珍しくなくなったものの、当時は最先端の革新者だったことは想像に難くありません。その頃、店は隣町の日高町にあり、地元だけでなく遠くは和歌山市や県外からも訪れたそう。当時子どもだったお客がさらに子や孫を伴って訪れるというから、この店がいかに愛されているかがわかります。

ヒラオカの料理は、現地で学んだ“Theイタリアン”ではなく、地域の子どもからお年寄りまで食べてもらいやすいよう優しい味を念頭に試行錯誤で作り上げた独自の「ヒラオカスタイル」。イタリアの持ち味は大事にしながらも流行りに流されることなく地道に歩んできた信念の味と言えます。

そんなヒラオカを代表するメニューの1つが、オープン時から人気のライスコロッケ1個100円。そして、長くファンの心を魅了するこのメニューをアレンジし、誕生したのが日高川町産の鹿と猪の合挽き肉を使った「ジビエのライスコロッケ」1個130円です。小粒な中に米、ジビエミンチ、チーズ、自家菜園の無農薬ハーブなど、さまざまなな味が凝縮。繊細なパン粉の衣をまとい、トマトソースと絶妙のハーモニーを奏でます。

実はこちらでジビエ料理として最初に手がけたのは煮込み料理だったそう。

ところが思いのほか不評だったことから、苦心の末、サイズや価格、内容的にも食べてもらいやすいライスコロッケにすることを思いついたのでした。思惑通り、ライスコロッケとなると頼む人が増え、最初はジビエを聞いて嫌がっていた人も9割が「おいしかった」と口にするように。それほどに食わず嫌いの多い土地柄なのだと志賀さんは分析します。

その後、煮込みも復活。現地トスカーナで学んだジビエ煮込みに、地元の梅酒と赤山椒でアレンジを加えた「鹿のモモ肉の煮込み」(1000円)と、まさしく「 わかやまジビエ」というべき一品が生まれました。フィレンツェの煮込みでは甘口のワイン「ヴィンサント」と黒胡椒で煮込むのが定番でしたが、高くつくことから地元の梅酒と山椒に置き換えることを思いつき、見事に味を調和させることに成功しました。力強い肉々しさとジビエの風味にピリリと山椒の効いたパンチ力。これぞジビエ!と喝采をあげたくなるボリューミーなひと皿に仕上がっています。

コック兼ソムリエの志賀量太さんは、過去に山で不法投棄された家電の中に廃棄されたイノシシを見た悲しい経験からも「正しい処理を施した本来の味を知って、いただく命を大切にしたい」と訴えます。

そのため、ジビエ講習会に参加するなど、ジビエをおいしく調理するために日々研究を重ねています。その努力の甲斐あってか、年々反応はよくなっているのだそうです。

食わず・飲まず嫌いの地域に変革を

店頭でワインショップ「サルーテ」も営む志賀さんにとって、ワインの普及も命題だそうですが、ジビエと同様に「ワインは頭が痛くなる」という思い込みにより飲まない地元の人が多いと実感しているそう。その思い込み自体を少しでも打開したいと、2018年にはアジア人として初めてイタリアの最高ソムリエに選出された林基就氏を招いてのワインイベントを主催するなど、精力的に活動しています。

2度の移転を経て、現在店を構えているのは御坊市の名田町にある見晴らしのよい高台。窓からは美しいオーシャンビューが広がり、絶品料理と共に日常を忘れる食事の時間が楽しめます。

昔から根強い人気はライスコロッケとピッツァ、そしてオマール海老のコース。 「食わず嫌い、飲まず嫌いでジビエもワインも避けられる」と言うものの、そもそもイタリアンのなかった地に店を根付かせた実績は揺るぎないもの。志賀さんの情熱の末、いずれ人気メニューのラインナップにジビエが入る日もそう遠くないかもしれません。

 

※「わかやまジビエ」より転載

https://wakayama-gibier.jp/shop/hiraoka/

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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