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佐賀グルメに新風を吹き込む風雲児「Grill Dining deeer(グリル ダイニング ディア)」佐賀県佐賀市

佐賀県 ビストロ 煮込み ソーセージ シカ イノシシ
2020.02.28

佐賀県佐賀市・JR佐賀駅から徒歩で10分強。道沿いに緑の看板を見つけたら、そこが「グリルダイニング・ディア」(以下、ディア)です。2015年にオープンするや熱心な支持者を得たビストロですが、もちろんその人気には確かな理由があります。

例えば、ビストロを謳いながら子連れも大歓迎という気取らないポリシーと店の雰囲気。さまざまな調理法で提供されるバラエティに富んだ肉料理。系列に食肉卸会社を持つことで実現した値ごろな料金設定。

そしてもう1つが、美味しいジビエ料理の存在です。主な素材は佐賀県産猪肉と、親会社のオーナーが北海道で自ら仕留め、現地の加工場で処理してもらうという蝦夷鹿の2種類。時には、穴熊や羆(ひぐま)といったジビエマニアを歓喜させる入荷もあるそう。

“居高洋低”の佐賀市に現れた期待の星

「商売柄、常によい肉に囲まれていることが開店のきっかけになりました」と語るのは、前述の食肉卸会社の代表・坂本竜一さんです。
「オーナーが狩猟好きなことや、県内の加工処理場で良質な猪肉が手に入ることがわかり、ジビエを前面に出すことに。店名も“鹿=Deer”のもじりです」。

そのコンセプトは、他の市内飲食店にはない個性を「ディア」に与えました。
「佐賀は居酒屋が強く洋食が弱い、いわば“居高洋低”の土地。僕らがジビエという挑戦をすることで洋食ファンが増えたらうれしいし、佐賀の飲食業界を活気付ける起爆剤にもなれたら最高ですね。この店にはそんな想いを込めています」。

同店の看板メニューはグリル料理。旨味が濃いので、基本的に塩だけで焼き上げます。

その厨房と店長を任されたのは大石明弘さん。「ディア」の開店にあたり、旧知の仲だった坂本さんに誘われたそうです。

「まだ食べ慣れないお客様が多いので、まずはこの店でジビエの美味しさを知り、次のステージに進んでほしいですね。うちは“ジビエの登竜門”くらいに思ってもらえたら(笑)」。

料理だけじゃない、ジビエ活用の可能性

ボリューミーな「猪モモ肉のコンフィ」(900円・税込)。ほろほろになるまで低温でじっくりと火を通し、口の中でホロリとほぐれる食感を演出。シンプルな調理法ゆえに旨味が際立つ1皿です。

これまたしっとりやわらかな「猪のスジ煮込み」(850円・税込)。意外にも王道の和食ですが、大石さんは和食の素養も持つ方。酸味と甘味のバランスが秀逸な、さすがの仕上がりでした。

こちらは「猪のソーセージ」(2本/560円・税込)。粗挽きミンチに加えた、地元特産「白石れんこん」がよいアクセントに。この無添加・無着色のソーセージは、県内の一部道の駅でも販売中(850円~980円・税抜)。脂のしつこさがなく、安全・安心に食べられる自信作です(写真下・右)。

そして左は、猪の油で作った保湿バーム「boar boar(ボアボア)」(2,100円・税抜)。地元の猟師たちに聞いた「猪の油の成分は人肌に近くて保湿効果が高い」ことが開発のヒントになったとか。馬油ならぬ“猪油”は、同店や「saga gibier STORE」のサイト(https://sagagibier.stores.jp)などで購入できます。

「『保湿バーム』のように、今後もさまざまなジャンルでジビエの有効活用を模索するつもりです」と坂本さん。「そうして消費量が増えれば、猟師さんや鳥獣加工センターのモチベーション向上につながるかもしれない。そんな形で鳥獣被害に貢献する道もあると思うので」。
これを受けて大石さんも、「ジビエを扱っていると、まだまだいろいろな可能性があるなと感じます。洋食にはジビエを扱ってきた長い歴史があるし、僕もやれることは何でもやっていきたいですね」と抱負を語ります。

ジビエとの出会いが、仕事や人生にもたらしたポジティブな力。「ディア」もまた、佐賀のグルメ事情にフレッシュな風を吹き込む風雲児になるのかもしれません。

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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