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ジビエを肴に美酒を傾ける心地よい空間「シカとイノシシ 野生(やせい)」神奈川県横浜市南区

神奈川県 居酒屋 焼肉・ロースト ステーキ・バーベキュー カレー 創作料理 シカ イノシシ
2020.03.02

東京都心から神奈川県の海沿いへ延びる京浜急行線の弘明寺駅で降り、1出口から数歩足を進めると、右手に伸びているのが弘明寺駅前ビル。さまざまな飲食店が共存するこのビルの2階に、お目当ての店があります。その名は「シカとイノシシ 野生」。

どことなく昭和レトロ感のある階段を上がり、右手に向かっていくと、突き当りにあるのがこちら。鹿と猪のイラストが記された看板を目印にして、扉を開けましょう。

扉を開けると、目の前に伸びるカウンターに6席のみ。カウンター内ではオーナーの金山拓央さん(写真左)と店長の久保田真介(右)さんが出迎えてくれました。

2017年2月にオープンしたこの店は、学生時代から約15年の付き合いだという金山さん、久保田さんの2人で切り盛りしています。

牛・豚・鶏は使わない。ジビエと季節の野菜で勝負

最初のジビエ料理は「猪のロースト バルサ味噌ソース」(630円・税抜)。

じっくりと火を通した猪は肉の旨味が凝縮されていて、そのまま食べても満足できる一品。噛んでいるうちに脂が溶け出して甘味が増してきます。

そしてバルサミコ酢と味噌を合わせた自家製ソースをのせて口へ運ぶと、程よい甘さと酢のさっぱりした風味が混ざり合い、また違った味わいが楽しめます。

2品目にいただいたジビエ料理は、「鴨ハム」(550円・税抜)。

北海道産の鴨のモモ肉をハムに仕立てました。

バーナーで軽く炙ってから提供してくれます。

炙ることによって、鴨に多く含まれる脂が落とされ、表面が香ばしく仕上がっています。また、温まっていることで脂の甘さがやわらかく広がり、赤身部分の味をまろやかにしてくれる効果も。

次なるメニューは「鹿“ランプ”ステーキ」(950円/100g・税抜)。ヒマラヤ岩塩のピンクソルト、胡椒、そしてリンゴのシャリアピンソースが添えられています。

オーブンで内部にしっかりと火を入れつつも、フライパンで表面をこんがり仕上げています。

口へ入れてまず驚いたのが肉の味の濃さ。まったりと豊潤な肉の旨味が感じられます。

このままで何切れでも食べたいところですが、ピンクソルトを付けていただくと、マイルドな塩気が加わり、味に深みが出ます。ならば、と胡椒を付けてみると、胡椒独特の香りが鼻に抜けて、さわやかな風味に変身。リンゴのシャリアピンソースは…というと、玉ネギの甘さとリンゴのフルーティな味が鹿肉の味わいを包み込み、華やかな印象に。

ラストの一品は、「鹿のトマトキーマカレー」(880円・税抜)です。

「水はほとんど使っていません。玉ネギ、トマトといった野菜の水分で煮込んでいます。スパイスは5~6種類ほど使っていますね」と久保田さん。

鹿肉はさまざまな部位を挽肉にして使っているとの話を聞きつつ、いざひと口!

カレー独特の風味はもちろんですが、トマトのさわやかな酸味とニンニクの刺激、そして何より挽肉の旨味が口の中に一気に広がります。一般的な挽肉よりも肉片が大きめなので、きちんと「鹿の肉を食べている」と実感でき、その味もきちんと伝わってきます。

また、こちらの店は居酒屋というだけあって、ジビエ料理に合うアルコール類も豊富。写真にある岩手県の純米酒「赤武」(840円・税抜/1合)といった日本酒のほか、ワイン、焼酎、果実酒などもあり、日本全国の銘柄が味わえます。

ただし、「たとえば日本酒は常時3~4銘柄を用意していますが、どんどん入れ替わります。1本空いたら別の銘柄を仕入れるので、来るたびに違うお酒が楽しめますよ」と金山さん。

ジビエを店で提供することで地方を元気付けたい

もともとは別々の飲食店でキャリアを積んできた金山さんと久保田さん。そして金山さんが自分の店を出すと決意した際、久保田さんに声をかけて、そこから2人でどんなお店にするか、検討を始めたと言います。

「それまでジビエなんて食べたことなかったんですよね、実は」と笑う金山さん。店のコンセプトを軽く「ジビエにしてみるか」と考えてみたものの、食べたことがないのでは話にならない。

そこでオープン1年ほど前からジビエ料理で知られる飲食店を行脚。フレンチ、イタリアン、和食など、ジャンルを問わず、さまざまなジビエ料理を食べ歩いたそう。そうしてジビエの美味しさと可能性に自信を付け、ジビエを中心とした店にしようと決定!

次に彼らがしたことが、猟師さん探し。長野県、山梨県などに視察に行き、どんな現場で、どんなふうに猟や処理が行われているか、自分たちの目で確かめたのです。

「そんな中でも南伊豆でお会いした猟師さんがとても強烈な印象でした」(金山さん)。
命を獲っていること、生きているものを殺すということの重さを受け止めている、そんな覚悟が目に宿っていたと感じたそう。

“鹿や猪は農地を荒らす悪い存在”という考え方が根強いもの事実。でも、駆除したものが肉として普及すると、その地方にお金として還元できる。だから、自分の店でジビエを扱うことは「いいことしてる!って思えるんですよね。しかもうまいし」と金山さんは笑います。

人懐こい笑顔で話す金山さんと、少し照れくさそうに料理の説明をしてくれた久保田さん。ジビエ料理と美酒、そして2人の人柄のためなのか、オープン2年目で多くの常連客を獲得しているそう。店内のあちこちに常連客や猟師さんから贈られた猪や鹿のアイテムが飾られていました。

10月半ばから3月いっぱいは「鹿しゃぶしゃぶ鍋コース」(5000円・税抜・2人前から受付)が人気とのこと。

6席のみのこぢんまりした空間は、冬の寒さを忘れる温かな空間でした。

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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