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若きオーナーシェフが鹿肉の魅力を引き出す絶品イタリアン「kitchen FUTARIYA(キッチン フタリヤ)」

イタリアン 長野 シカ
2020.03.30

長野県須坂市はかつて製糸業で隆盛を極め、繭を保存するために建てられた「まゆぐら」「土蔵」が立ち並ぶ美しい景観が見どころ。

そんな町並みに溶け込むような佇まいの建物で営業するのが「kitchen FUTARIYA」(以下、キッチン フタリヤ)です。

トラットリアのような気軽な雰囲気ながら、料理は本格派。蔵の街・須坂に流れるゆったりとした時間のなか、食事ものんびりと楽しめるのが魅力。店内はエイジング加工され、新しいのにどこか懐かしく、ついつい長居してしまいます。

ふたりで夢を叶えたお店=フタリヤ

オーナーシェフ・田中良典さんが長野市の調理専門学校で出会った友人と、“いつかふたりで店をやりたいな”と語り合った夢を、10年という月日を経て実現させたのが「dining フタリヤ」。今では2店舗目となるこちら「キッチン フタリヤ」に加え、「ごはんとワイン 洋食チトセヤ」の3店舗を経営し、どの店もいつも席が埋まる人気ぶり。

「キッチン フタリヤ」でジビエ料理を提供するようになったのは、須坂市という土地柄もあったようです。
「この須坂という土地で店をやろうとした時に、隣接する高山村特産でもあるジビエ食材をメニューに入れたいと考えました。高山村の『信州山肉プロジェクト』の宮川さんと、前職のレストラン時代からお付き合いがあったのも大きいですね」と言います。
「宮川さんが卸す鹿肉が本当に美味しくて。個人的には牛よりも上ではないかと感じ、これはたくさんの人に食べてほしいなと。自分が美味しいと思うものを提供したいんです」。

考え方は至極シンプル。高山村産鹿肉の美味しさを伝えるために何をするか

田中シェフが惚れ込んだ高山村産鹿肉を使った料理の調理風景を見せていただきました。まずはカットした120gほどの鹿モモ肉を、迷いのない手早さで“リソレ”=肉の回りに焼き目を付けていきます。

次に、ニンニクオイルとバターを鹿肉にかけながらじっくりと熱を通す調理法「アロゼ」していきます。厨房に漂うニンニクの香りが食欲をそそり、完成への期待感が高まっていきました。

アロゼの後にオーブンでさらに熱を入れて仕上げます。

いよいよお皿に盛り付けて「鹿モモ肉のロースト」(1,800円・税抜)の出来上がり!鹿肉本来の味を楽しんでほしいということで、ソースはシンプルにバルサミコソースでいただきます。トロトロになるまで煮詰めた濃厚なソースは、やはり鹿肉との相性が抜群。

臭みのかけらも感じることのない鹿肉の芳醇な風味と、やわらかな歯応えはジビエ初心者にもおすすめしたくなるものでした。付け合わせの野菜もたっぷり添えられ、主役の鹿肉を引き立てていました。

弛まぬ地道な努力が生み出す、鹿肉ラグーの“ほろほろ食感”

次にオーダーしたのは「鹿肉のラグーのスパゲッティ」(1,500円・税抜)です。筋繊維がほろほろと程よくほどけた、鹿肉の独特な食感が何よりの魅力の一品です。ラグーとはイタリア語やフランス語で「煮込む」という意味で、こちらのラグーソースも膨大な時間をかけて仕込まれたものだそうです。

ラグーソースに使われている鹿肉は、モモ肉4:スネ肉6の割合。香味野菜やローリエ、ローズマリー、ブラックペッパーとたっぷりの赤ワインで1晩マリネし、赤ワインと野菜、ブロード、トマト缶、隠し味のソフリット等を段階的に合わせていき、計5時間煮込むそうです。

仕込み時間の長さに反して、注文を受けてからの調理はスピーディ。鹿肉とトマトソース、たっぷりのバターとブロード(イタリア料理の出汁のひとつ)をフライパンで温めて混ぜ合わせればラグーソースの完成です

濃厚なソースとの相性を考え、少し太めの麺をセレクト。「個人的な好みが大きいですが、やはり太めな麺の方が、ソースとの絡みがいいと思います」と田中シェフ。

手間暇かけてじっくりと5時間煮込むことにより完成するソースのため、グランドメニューではなく定期的に「本日のパスタ」で登場するそうです。食べたいという方は、気軽にお店まで問合せを。

店のコンセプトは“ハレ”の日に使える料理店だそうです。2階には洋室と和室が用意され、6~8名ほどでの貸切にも対応。年中行事の際に訪れる家族も多いとか。

「もっとジビエがみなさんの身近でポピュラーなものになってほしいというのが僕の願い。高山村産の鹿は臭みもなく、やわらかくて本当におすすめです」と語る田中シェフが腕をふるうジビエ料理、ぜひお試しください。

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