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愛媛の未来をジビエで変える! 「ジビエ焼肉・ジビエ鍋 狩人の空」愛媛県松山市

愛媛県 居酒屋 天ぷら・揚げ物 すき焼き シカ イノシシ
2020.03.31

愛媛県松山市の繁華街・二番町に2019年にオープンした「ジビエ焼肉・ジビエ鍋 狩人の空」(以下、「狩人の空」)は、愛媛の大自然で育った猪や鹿肉を味わえるお店です。

松山市内で馬肉専門店など複数の店舗を経営しているオーナー・宮脇良久さんがジビエに目を付けたのは“モノ珍しさ”ではなく、野生鳥獣による農作物や環境への被害を知ったことがきっかけだったそう。

「猪や鹿は愛媛で有害鳥獣に指定されていて、被害を受けた農家さんの中には1年の収入がゼロになった方もいます」と宮脇さん。猟師の数も年々減るなか、少しでも多くの人にこの現状を知ってもらい、改善するために何ができるかを考え、この店をオープンするに至りました」。

「まずはジビエに触れてほしい」という思いが生んだ店

愛媛県では猪や鹿による農作物の被害が島しょ部まで拡大し、有害鳥獣としての捕獲数はここ10年で倍以上となっています。捕獲した後、有効に利用できないまま処理することが多かったのですが、近年は野生鳥獣と人間の共存や資源循環を図るために民間でも動きが活発化。2017年には松山市北条に解体処理場「高縄ジビエ」が誕生しました。

「捕獲した猪や鹿を食肉などに加工することで資源環境を循環させていけば、猟師や処理場の仕事が増えるだけでなく、農作物の被害も減らすことができます。そして飲食店に肉がもっと流通するようになれば、消費者の需要も増えて猪対策の規模ももっと大きなものにできるんです」。
これこそが宮脇さん(写真左)が目指す理想だと言います。

「狩人の空」は、まさにその窓口となる店。「高縄ジビエ」(写真右が代表の渡辺さん)とタッグを組み、高い技術で安心・丁寧に処理された肉を仕入れて提供しています。念頭に置いたのは、“ジビエを知らない人にどう食べてもらうか”でした。

カジュアルに味わえるメニューが勢ぞろい

「ジビエの歴史は古く、元々はフランスの上流階級の食べ物だったので、今でも高級でとっつきにくい食材と思われがちです。そのイメージを変えるために、店では親しみやすいメニューを手ごろな価格で提供しています」。

宮脇さんがそう話すとおり、「狩人の空」では猪や鹿肉を中心に、すき焼き、焼肉、しゃぶしゃぶで味わうことができ、好みに合わせて提供してくれます。

一番人気は「マタギのしゃぶしゃぶ」(1人前1,980円・税抜)。猪バラや鹿ロースなど、さまざまな部位を食べられるのが魅力です。食べてみてなにより驚くのは、どのジビエも硬くなく、クセが感じられないその肉質。初めて食べた人のなかにはその味に感動し、週に4度店を訪れた方もいたほどだそうです。

ほかにも店にはジビエのハードルを感じさせない、親しみやすいメニューがそろっています。

おすすめは「一口鹿カツ」(900円・税抜)。サクサクの衣の中に閉じ込められた鹿肉は想像以上にやわらかで、初めて食べた人は必ず驚くのだとか。このように老若男女問わず、どんな人でもジビエに触れてもらえるメニュー作りを心がけています。

店内は調理の様子を目の前に臨むカウンター席のほか、半個室も用意。お一人様での来店だけでなく、グループでの宴会などいろいろなシーンで気軽に利用できるのも、多くの人にジビエに触れてもらいたいという思いが見て取れます。

店で調理も担当するオーナーの宮脇さんに、今後の目標を聞いてみました。

「まずは市内の飲食店にジビエを広めるのが目標です。ジビエの需要が増えれば、猟師の方や処理場の仕事も増えますし、その分農作物への被害も抑えることができます。多く人にジビエを食べてもらって、それが連鎖を呼べば、愛媛に住む人たちの未来が変わるかもしれないんです」。

ここ松山市でジビエが新たな名物として広がる時、その中心にはきっと宮脇さんがいるのだと予感させてくれました。

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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