ビジネスの中心地・虎ノ門エリアで愛されるカジュアルイタリアン 「TOSCANA 神谷町店」（トスカーナ　カミヤチョウテン）

スウェーデン大使館や高級レジデンスのある城山ガーデンのランドマーク、高層オフィスビル・城山トラストタワーにある「TOSCANA 神谷町店」。2020年に向けて開発が目覚ましい虎ノ門エリアにあり、周囲はオフィス街。昼はパスタを楽しむ忙しいビジネスパーソンたちでにぎわい、夜はワインを片手に料理を楽しめるカジュアルなイタリアンレストランです。

シンプルな調理法で鹿肉の旨味を味わう

約60席ある広い店内にはワインボトルなどが飾られ、壁にはオーナー直筆のイラストやスタッフ手作りのポップで店のこだわりが紹介されています。

胸にニックネームの名札を付けたホールのスタッフさんたちが「いらっしゃいませ」と元気よく迎えてくれました。気取らずに料理が楽しめそうな雰囲気です。

そんなお店で味わえるジビエは、「鳥取県産鹿肉のステーキ」（100ｇ1,380円、200g2,500円・税抜）。

塩を振った深紅の鹿肉をフライパンに入れ、表面を強火で焼き付けて旨味を閉じ込めたら、赤ワインを投入し中心部の温度を確認しながら強火で約2～3分煮込みます。鹿肉を煮込んだ赤ワインにはバター、ブロードを加えて煮詰めて香り高いソースに。

まずはソースを付けず、お肉だけでいただきます。とてもやわらかで、噛むたびに鹿肉の旨味が広がっていきます。ソースを付けると赤ワインの風味が豊かで、口当たりもしつこくありません。

イタリアの赤ワイン「レヴァンテ・ビアンコ・ディタリア」（グラス780円・税抜）も重すぎず、料理とマッチして、また１枚、もう１枚とついお肉に手が伸びてしまいました。

「ジビエは鳥取県の『わかさ29工房』から仕入れているのですが、ハンターさんの腕がよく、最新の設備で速やかに、適切にさばいた肉だからこそ臭みがないのです」と、料理長の亀谷 樹さん。

「現在、定番メニューは鹿肉だけですが、季節によって猪肉を仕入れることもあります。昨年の秋冬は猪肉のローストのほか、ペポーゾ（赤ワイン煮込み）を提供していました。猪は肉質がやわらかくて旨味が強いので、煮込み料理によく合うんです」。

素材にこだわるイタリアン

「TOSCANA」はもともと１軒のパスタ専門店から始まり、現在、都内で７店舗を展開しています。神谷店では打ち立ての生パスタでリングイネとフィットチーネが楽しめます。

「オフィス街なのでランチタイムは時間がない人が多く、できるだけ早く料理を提供したいと思って始めたのが生パスタなんです。毎日厨房で仕込んでいます」とは店長の藤井裕太さん。
またこだわっているのが、「産直素材」。鮮魚も漁師さんから直送してもらい、ハーブ系の野菜は無農薬のもの。調理には牛、豚、鶏、野菜、カツオ、昆布などからだしを取り、スペイン産の海塩を加えて仕上げたブロード（ブイヨン）は、店舗により味にばらつきが出ないようセントラルキッチンで作られ、全店舗に配送されます。

今回は、自慢の鮮魚料理「漁師直送 鮮魚と貝のアクアパッツァ」（1,500～2,500円・税抜）もいただきました。
「今日は銚子産レンコダイが主役。船橋から届いたホンビノスなど、毎日入手できる魚介は異なりますが、いろいろ楽しめるのでそれも産直のよいところです。天候が悪い日が続くと仕入れが少し心配になりますけど(笑)」（亀谷料理長）

調理法はいたってシンプルで、旨味を閉じ込めるため小麦粉をまぶした魚を、トマトやブロード、白ワインなどとともにさっと煮込みます。

「ジビエもそうですが、素材がいいので、その味をできるだけ生かすようにしています。アクアパッツァには鮮魚の旨味を損なわないよう、ニンニクは使いません。隠し味にちょっとだけ魚醤を加えているのがポイント」

その言葉どおり、この一皿はまさに旨味の“玉手箱”！　鮮魚のおいしいところを凝縮した味わい。大皿料理なので複数人でワイワイ取り分けて楽しめるのも好評で、パーティでは必ず歓声が上がるのだそう。

と、取材が終わるころ、扉の向こうに人影が…。そして待ちきれないとでもいうように、開店の17：00ちょうどに扉が開き、ビジネスマン風の男性グループがワイワイと来店してきました。ジビエ、パスタ、ピザ、肉料理に魚料理…今夜は何を選ぶのでしょう？　楽しく、おいしく、明日のパワーをチャージしたくなる、「TOSCANA」はそんな気取らないお店でした。