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蝦夷鹿肉×赤い食材の巧みなマッチングを堪能「SPAZIO INNO(スパッツィオ イノ)」

イタリアン 兵庫 シカ
2020.09.14

落ち着いた雰囲気の高級住宅街として知られ、質の高いレストランが点在する兵庫県芦屋。「SPAZIO INNO」(以下、スパッツィオ イノ)は、その前身である名イタリアン「ラフォーリア」を2014年に井上 崇司シェフが引き継いだ人気のお店です。

お店があるのは、阪神芦屋駅から徒歩2分のビルの3階。店内の2面がガラス張りなので、自然光が差し込み開放感もたっぷり。

ゆったりと過ごせるようにと、席数もゆとりのある配置に。

さて、こちらではどのようなジビエメニューに出合えるのでしょうか?

メニューごとの火入れで鹿肉の魅力を引き出す

井上シェフにとってジビエは、「ラフォーリア」時代から長年扱っているなじみのある食材。
「鹿肉は、秋から冬にかけて提供しています。予約時にジビエはちょっと苦手で…と事前に教えてくださるお客様もいらっしゃるのですが、想像されるような臭みもありませんし、ぜひ一度味わっていただければうれしいですね」

1品目は、黒板メニューで提供しているパスタをご用意いただきました。「エゾ鹿肉の自家製ボロネーゼ クミンの香り」(1,800円・税抜)です。

細かめに挽いた鹿肉のミンチを、玉ネギ、ニンジン、セロリと共にじっくりと炒めます。鹿の端肉を3時間炊いた出汁や赤ワインを合わせ、ナツメグやクローブ、コリアンダーで香り付け。
「赤万願寺とうがらしは、その青っぽさや甘味が鹿肉によく合います。しっかり煮込むことはせず、仕上げの直前に入れて食感を残しています」と井上シェフ。

ソースに具材がよく馴染むよう、鹿肉をさらに細かくたたくようにして炒めるのもポイントだそう。

完成したパスタからは、じっくりと煮込まれた鹿肉の香りが漂い、食欲を刺激。口に運ぶと、弾力のある鹿肉の食感と共に奥行きのある旨味が広がります。先ほどのシェフの言葉どおり、鹿肉の優しい甘味や野性味に、赤万願寺とうがらしの甘味やほろ苦さがアクセントとなって相性のよさが満喫できました。

続いてシェフが仕上げにとりかかったのは、「エゾ鹿ロース肉のアロースト 赤ワインのソース」。7,500円(税抜)のコースのメインディッシュです。フライパンで表面を焼き旨味を閉じ込めたら、オーブンでゆっくりと加熱します。再びフライパンに戻し、バターを加えて肉汁と共にスプーンでかけながら焼いていく“アロゼ”をすることで、焼き色を付けてより香ばしさをアップさせるそう。

鹿肉のローストを主役に、カラフルに彩られた美しい盛り付けは見とれてしまうほど。鹿肉の表面にはバイオレットマスタードが添えられています。ソースは2種で、手前が赤ピーマンのクーリ、右が赤ワインのソース。赤ワインのソースは鹿の骨やスジからとった出汁がベースです。添えられているのはダビデの星(オクラ)や赤ペコロス(小玉ネギ)、姫ニンジン、白ゴーヤなど。みずみずしさが気に入り、野菜は主に大阪・泉南(せんなん)から取り寄せているそう。

鹿肉は、しっとりとした食感で噛みしめるごとに旨味が増すようなイメージ。それぞれのソースとの組み合わせを楽しみながら、たくさんの野菜が味わえるのも魅力的でした。

鹿肉は相性のいい赤い食材と組み合わせる

井上シェフが鹿肉を扱う際に、心掛けていることとは?
「鹿肉は、その優しい風味が持ち味だと思っています。加熱しすぎると鉄っぽさを感じてしまうので、特にローストは火入れ加減に気を付けていますね。鹿肉ならではの風味をそのまま味わっていただければと、ローストする時はマリネなどで下味を付けず、そのまま火を入れています。また、鹿肉は赤い果実と合うことが知られていますが、私は今日の料理のように赤万願寺とうがらしや赤ピーマンなど合わせることが多いですね」

「スパッツィオ イノ」では、5月下旬から11月までの期間、ハモを使った多彩なメニューが登場するということで、最後にハモを使った一品もご用意いただきました。

涼やかさ漂う「ハモと野菜のテリーヌ」は、7,500円(税抜)のコースの前菜で、ハモとさまざまな野菜を重ね仕上げられています。

つなぎは、焦がすように焼いたハモの骨も加えてとった出汁が香るゼラチン。オレンジ色のソースは、自家製の白梅干しに白ブドウのジュースを加えて作ったという組み合わせが意外性たっぷり。サラダのように味わえるテリーヌを崩しながらソースを付けると、複雑な甘味が重なります。バルサミコ酢を煮詰めて作ったヴィンコットソースやエストラゴンを効かせたマスタード、カシス風味のマスタードも添えられているので、一口ごとにいろいろな組み合わせを楽しめました。

井上シェフの料理は、一皿に多彩な食材が美しく盛られ、食材とソースとの繊細なマッチングが醍醐味。今回紹介のメニューを味わいたい時は、予約時の相談がおすすめです。

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