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伝統と革新が融合された“攻め”のフレンチ「レストラン ユニック」

フレンチ 東京
2018.10.31

東京・目黒といえば、大人のためのグルメの街。特に、目黒駅西口を出て権之助坂周辺まで進むと、活気あふれる飲み処が並び、歩いているだけでもワクワクしてきます。今回紹介する「レストラン ユニック」は、その目黒駅西口から徒歩12分の場所にあるカジュアルなフレンチレストラン。実は、東京でも有数のジビエの名店なのです。比較的こぢんまりとした店内は、白と茶色を基調にしたシンプルモダンで落ち着いた雰囲気。オーナーシェフの中井雅明氏が、接客から調理まで1人で切り盛りしています。

日本で出合い、フランスで極めたジビエの道

中井氏は、国内のフレンチレストランで修業したのちに渡仏。パリのミシュランビブグルマンの店や、二つ星レストラン「エレーヌ・ダローズ」などで経験を積んだ実力派です。帰国後は、目黒のフレンチレストランでシェフを務め、2013年に「レストラン ユニック」をオープンしました。そんな中井氏ですが、ジビエとの出合いを「衝撃的だった」と語ります。

「料理人としてジビエに初めて触れたのは、渡仏前の日本で働いていた時。牛肉などの一般的な食肉は部位ごとにパック詰めされていますが、ジビエは羽根が付いた状態で店に届くんですよね。初めて見た時は感動しました。ぜひ、調理してみたいと」

「本場フランスでは、圧倒的な量のジビエ料理を作り、そのおもしろさにさらにハマりました。もともとジビエ料理は秋から冬にかけて旬を迎えます。僕は、季節の食材を使う料理が好きなんです。一方で、最近では有害鳥獣駆除として、通年捕れる動物たちもいる。かつて冬しか入手できなかったジビエが他の季節でも調理ができ、それが新しい発見に繋がるのもおもしろい。ジビエならではの個体差や違いを生かすために、考えながら料理するのが楽しいですね」

妥協なき、客に媚びない創作フレンチ

「レストラン ユニック」の料理ですが、ビジュアルはいたってシンプル。カラフルなソースや花などを添えるような華やかな演出はなく、余計なものをそぎ落としたともいえる、洗練された美しい盛り付けです。しかし、ひと口含むと、食材本来の味・食感・香りにさらなる魅力や意外性をプラスした、複雑で深みのあるおいしさが! 伝統フレンチの濃厚さと作り込まれたソースに、日本人に媚びていない“ガストロノミックレストラン”としてのこだわりと誇りが感じられます。

取材日当日は2品いただきました。まずは、「炭火焼きにしたイノシシのパテアンクル―ト」(税込2,160円 ※時期により価格変動あり)から。島根産の猪の肉は、ミンチにしたものと手でちぎったものをあえて混ぜ合わせ、食べた時の舌触りに変化を持たせています。猪ならではの濃厚かつ野性的な味ながら、刻んだピスタチオの食感と風味もひと役買って、クセは気になりません。喉に落ちていく時、後からふんわり漂う炭火焼きならではの香りに、食欲がさらに刺激されてきたところで、2品目の登場です!

「月の輪熊とフォアグラのパイ包み焼き サルミソース」(税込み6,480円、時期により価格が変動)。パイをナイフで切り開くと、肉汁があふれ出し、立ちのぼるジューシーな香りにうっとり♪ この日のツキノワグマは飛騨高山産。フォアグラや野鳥のレバーと合わせてパイ生地で包み、オープンで焼いた後に休ませて、さらにオーブンで火を通していきます。

肉の旨味がしっかり閉じ込められ、脂は感じつつも、しつこくなく食べやすいのが印象的。フォアグラのコクとレバーの風味がとてもリッチです。

赤ワインをベースににつくるサルミソースは、付けると肉の旨味をより引き立ててくれます。添えられたニンジンのピューレもなかなかの名脇役で、甘みとさわやかさがプラスされ、肉の味に変化を付けてくれました。中井氏いわく、「料理で気を付けているのは、季節を意識しつつ、なるべく色々な種類の食材を使うこと。あとは、盛り付け過ぎないようにしています」そんな気遣いを感じられるひと皿でした。

進化する料理とサービスへの思い

中井シェフの料理にはいくつもの魅力がありますが、あえてひと言で表すと“強い探求心による進化系の作品”。

「僕は料理をする時、食材の状態に合ったベストな方法をとるようにしています。気に入った料理ができても、さらによい作り方を模索し、新しいものを取り入れてブラッシュアップします。特に、個体ごとに個性が異なるジビエは、100の肉を使えば100通りのものを作れるんです」

食材にも強いこだわりを持ち、野菜は神奈川県藤沢産の無農薬野菜。ジビエについても、信頼できる卸業者へ料理人目線での細かいオーダーと交渉を重ね、やっと入手が実現した理想のものばかりです。

「レストラン ユニック(restaurant unique)」という店名にも、そんな思いが反映されています。uniqueはフランス語で”唯一の”という意味を持ち、“あなただけに”“お任せ”というイメージを込めて、店名にしたとのこと。ひとり一人のお客様に合わせて料理をアレンジしながら作る、中井シェフの料理のセオリーが表れています。

気取らずに居心地のよい店内でいただく、伝統と革新が融合された”攻め”のフレンチ。帰り際に「ここは誰かに教えたい!」と、思わず胸が高ぶるすてきなお店でした。