特集
たけだバーベキューの「ジビエ、料理してみました」

第1回
脂身の少ない鹿肉をしっとり&やわらかく仕上げる
土鍋&炊飯器で低温調理する“たけだ流鹿肉のロースト”

シカ
2020.07.31
飲食店でのジビエ人気が広まるにつれ、最近は通販でもさまざまな種類のジビエが手に入るようになりました。
そこでジビエト編集部では、家庭で美味しく作れるジビエ料理を探求すべく、BBQ芸人のたけだバーベキューさんにレシピ考案を依頼。
何を隠そう、たけださんは狩猟免許と銃砲所持許可を取得しているハンターでもあるのです!
当然ジビエにも精通していることから、「ジビエト」とのタッグが実現しました。

「こんにちは! BBQ芸人のたけだバーベキューです。
アウトドア料理の知識と、まだまだ浅いですがハンターの知識を生かして、家でも美味しく食べられるジビエ料理をこの連載ではどんどん出していけたらと思っています。
ちなみに撮影場所はがっつり、たけだバーベキューの部屋です!」

今回たけださんが調理するジビエは、北海道産の鹿肉のシンタマ1㎏。
ちなみにシンタマとは、内モモの中でも特に脂肪分の少ない赤身肉のことです。

届いた箱を開けると、真空パックされたシンタマが塊のまま到着。
「思ったよりデカイ!」と、たけださんも驚くサイズの立派な塊肉です。
冷凍で届いたので、真空パックのまま冷蔵庫に入れて一晩かけて自然解凍し、使う前に冷蔵庫から出して室温になじませてから調理します。

肉の鮮度を判断するうえで重要なのが“におい”というたけださん。
真剣な表情でにおいをチェック!

「変な臭みがまったくない! 下処理がしっかりされていますね」
と笑顔でOKサイン。
鮮度のいい鹿肉を前に、ハンターの血が騒ぎ出します。

個体差があるジビエはマニュアルではなく感覚で攻めろ!

鹿肉が室温になじんだら、キッチンペーパーで水分を拭き取ります。
肉を押さえるようにして、しっかり水分をふき取りましょう。
これだけで、下味も付きやすくなります。

次はスジ取り。表面に見える白い部分がスジなので、包丁を寝かせて削ぐように剥がしていきます。
「コイツはぷるんぷるんなので、スジを削ぐのがムズいタイプやな・・・」
たけださんいわく、ジビエは個体差があり、肉質もそれぞれ異なるため、臨機応変に対応していくことが重要だそう。

スジを取ったら肉を半分にカットして、おろしニンニクを塗り込みます。
「こういう時は、ニンニクチューブが伸ばしやすくて便利。
手でまんべんなく塗り込みましょう」

下味は塩と胡椒でシンプルに。
「肉には粗めの塩と黒胡椒が合いますね」

フライパンに油を敷いて、鹿肉の表面を焼きます。
自宅で肉を焼く時も、たけださんはトングを愛用。
「肉の塊を扱う時は、テフロン加工のフライパン用トングだと食材が滑って扱いにくいので、僕はステンレスのトングを使っています。
短くてがっしりとしたトングが、手の力がそのまま伝わるので、塊肉には使い勝手がいいですよ」

確かに!
またトングを使うとアウトドア感も増すので、気分転換にもおすすめですね。

焼き色が付いたらひっくり返して、表面全体を焼いていきます。
「ええ香りが部屋に充満してきた~~~!
このまま焼いて食べてしまいたい(笑)」

鹿肉の低温調理に挑戦。土鍋vs炊飯器の結果はいかに?

さあ、いよいよ低温調理に入りましょう。
肉が焼けたら粗熱を取り、ジッパー付き保存袋に入れて真空状態にします。

ここで、真空パックの作り方をご紹介。
保存袋に鹿肉を入れたら、少しだけ口を開けてジッパーを締めます。
深さのある鍋やボウルなどに水を入れて、肉をゆっくり沈めます。
肉が完全に浸かるまで沈めてから、ジッパーを完全に閉じます。
引き上げれば真空パックの出来上がり!

「これ、何回やってもピチッとなって気持ちいいわ~」

最近は低温調理用器具もいろいろ発売されていますが、たけだ流低温調理では、家庭にある土鍋や炊飯器を使います。
どちらも保温機能が高いので、その機能を利用するのです。
今回は両方で調理してもらって、差が出るか実験することにしました。

ここで大事なポイントは、加熱の仕方!
食中毒防止のため、厚生労働省ではジビエの加熱条件を示しています。
それは、肉の中心温度が75℃で1分。
でもこの温度では肉はパッサパサ、かた~く仕上がってしまいます。
厚労省が示している75℃ 1分と同等以上の条件は…
70℃ 3分、69℃ 4分、68℃ 5分、67℃ 8分、66℃ 11分、65℃ 15分。

このポイントを守りながら、さっそく調理してもらいましょう。

まずは実験Aの土鍋から。
土鍋に水またはお湯を入れて火にかけます。
「沸騰したら土鍋をコンロからおろし、蓋をあけて3分待つのがポイント。
お湯が熱すぎると肉が固くなるので注意しましょう」
3分経ったら真空パックの鹿肉を入れ、蓋をして約15分置きます。

次は、実験Bの炊飯器です。
「炊飯器には沸かしたお湯を入れましょう。
湯温が温度計で70~80℃前後になったら肉を投入します」
蓋を閉め、保温ボタンを押して15分置きます。

「実はですね、初めてこの方法で低温調理をした時、炊飯釜に肉と水を入れて、普通に“炊飯”しちゃったんです。
もちろん、肉はカッチカチ(笑)。みなさんも気を付けてくださいね!」

肉の出来上がりを待つ間に、ソースを作ります。

用意する調味料をたけださんに尋ねると…?
「砂糖、酒、醤油、酢、オリーブオイル、みりん。
分量はすべて大さじ1!」
これは覚えやすい! 明朗なのがうれしいですね。

先ほどの調味料をすべて合わせて、玉ネギ1/4個をすり下ろして、レモン汁を少々加えたら完成です。

低温調理で理想の火入れに! 豊満な鹿肉に悶絶

さあ、15分経ちました!
まず、炊飯器に入れた鹿肉の中心温度を測ってみると66.3℃。
保温機能があるので、高い温度をキープしていました。
この状態でさらに15~30分置きます。

土鍋の方も同様に、肉の内部温度が65℃以上あることを確認してから、15分以上さらに放置。

15分経ったら、再度温度測定。結果は65℃。
「普通の鍋より土鍋は保温効果があるので、思ったより温度が下がってなくていい感じになるんですよ!」

果たして、味や肉質に違いは出ているでしょうか!?

「肉をつかんだ感じでは、かなりいい感じだと思います。
でも、切るまではやっぱりドキドキしますけどね」

「いい断面ですよね! めっちゃ美味しそうです!」

贅沢な厚切りにして豪華な肉プレートが完成!
ちなみに、左が土鍋、右が炊飯器で低温調理した鹿肉です。
「微妙に熱の入り方が違って、どっちもいい感じ!」

さぁ、いよいよ食事タイムです。
特製ソースをたっぷりかけて、たけださん、実食お願いします!

まずは炊飯器で調理した鹿肉から。
「少し弾力があって、肉肉しくて旨い!
低温調理だとしっとり仕上がるので、脂身が少ないのに食べ応えがありますね」

さて、土鍋で調理した鹿肉はどうでしょうか?

「はい。フォークで刺した瞬間に、もう美味しい手応え!
嚙むほどに、口の中に広がるジューシーさがたまりませんね」

食べ比べた結果、今回は炊飯器より土鍋の方がやわらかく仕上がりました。
土鍋の大きさや、炊飯器の種類によっても差があると思いますが、鹿肉は低温調理と相性がいいことがわかりました。

今回、ジビエのお取り寄せにも挑戦して、ジビエを扱うサイトがたくさんあることに驚いたというたけださん。
「これほど鮮度のいいジビエがお取り寄せできるなんて正直ビックリ。
値段も手ごろだし、これは利用しない手はないですね。
それにしても、鹿肉のローストは旨かった~。
ジビエ料理、極めていきたいと思います」

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■鹿のロースト

【材料】(4人前)
鹿肉(シンタマ)・・・1㎏
塩、黒胡椒・・・適宜
おろしニンニク・・・適宜

【ソースの材料】
玉ネギ・・・1/4個
レモン・・・1片
砂糖・・・大さじ1
醤油・・・大さじ1
酒・・・大さじ1
酢・・・大さじ1
オリーブオイル・・・大さじ1
みりん・・・大さじ1

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■プロフィール

たけだバーベキュー
1986年1月17日生まれ、兵庫県加古川市出身。
アウトドアをこよなく愛する、日本で唯一のアウトドア芸人。趣味はキャンプ・釣り・登山・ロードバイク・狩猟などアウトドア全般。キャンプインストラクター、お肉検定1級他多数の資格を持ち、雑誌や本・テレビ・イベントなど多方面で活躍中。全国各地への出張バーベキューも行っており、地域活性や地産地消を推進。出版本は累計17万部を突破!『最強!肉レシピ』/池田書店刊、『鉄板!バーベキュー焼きそば』/ヨシモトブックス刊など。

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