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“白壁の町”のもつ鍋屋で味わう、熱々ジビエの逸品「もつ鍋専門 もつ蔵 八女店」

福岡 シカ イノシシ
2020.03.31

「八女茶」の産地、福岡県八女市の名前をご存知の方は多いでしょう。でも、それだけではありません。16世紀末の短期間、ここは大いに栄えた城下町でもあったのです。

その面影を今にとどめる白壁の建物は、国の文化財「重要伝統的建造物群保存地区/八女福島の町並み」に選定。毎年各地から多くの観光客を集めています。

築100年の古民家で贅沢なひとときを

歴史ある町家で営業する「もつ蔵」も、そうした奥ゆかしい空気の中に佇んでいました。

ここは大正10年(1921年)に呉服屋の別邸として建てられたもの。どっしり貫禄ある表情が印象的です。

1階と2階に各々30席を完備。郷愁と風情に包まれた食事は、都会では得られぬ贅沢な時間になるでしょう。

欄間や格子など、粋な細工もそこかしこに。アンティークファンや、建築学科の先生・生徒さんも訪れるそうです。

さて、2010年に開業した「もつ蔵」の主役はもちろんもつ鍋です。が、驚いたのは10種類というバリエーションの豊富さ。それも水炊き風や黒ごま豆乳、旨辛カリー味、トロトロ山芋生姜など、本気で作り込まれた自信作ぞろいなのです。鍋好きならば、これは全種類制覇したいですよね!

これらはすべて、料理長の馬場英樹さんが考案したもの。
「もつは北海道・旭川産で、最高に脂が甘い極上品。ならばいっそ、いろいろなフレーバーで味わい尽くしてもらおうと思ったんです」。
もつ鍋王国・福岡県でも、これほど種類豊富な店はあまりありません。さらに一品料理も充実し、夏場は居酒屋としても賑わうとか。

関係者の“心意気”が宿る、本格派の品々

そんなメニューの中にジビエ料理を発見!当初店ではジビエを扱っていませんでしたが、地域イベント<八女ジビエフェア>への参加をきっかけに、地元の猪を仕入れ始めたそうです。

もともとイタリア料理出身の馬場さん。ジビエの美味しさは知っていたものの「実は八女市に安定した仕入れルートがあるのを知らなくって。でもフェアのおかげでよい猪が通年手に入るとわかり、取引を即決しました」

晴れてメニューに加わったジビエ料理。今回撮影するのは「八女産猪肉のカツレツ」(1,350円・税込)です。まずは100gの肉を程よく揚げ、油を変えたあと、衣にバターの風味を付けてオーブンで焼き上げます。イタリアンの経験がフルに生きた、まさに本格派の逸品!

なんと言ってもカリッ!とした食感が最高です。野性味をはらんだ肉の旨味も、ひと噛みごとにジュワッと増幅。自家製トマトソースもさすがの完成度でした。

「鹿肉は、ジビエに特化した熊本県八代市の肉屋から仕入れています」と馬場さん。
「肉質がよいのはもちろん、毎回すごく丁寧な処理をしてくださるんですよね。僕もベストな形で調理して、猟師さんや職人さんの心意気をお客様に届けたいです」。

続いては、その鹿ロースを使った料理。名付けて「熊本八代産鹿肉のレモンステーキ」(1,350円・税込)です。

「レモンステーキと言えば長崎県佐世保市の名物グルメですが、僕のは少し違います」と馬場さん。「イタリアの伝統料理、サルティンボッカをアレンジした感じかな」。

これがグツグツの状態で出される完成品。かなり手間をかけた料理ですが「それが僕らの仕事ですから当たり前のこと。お客様を少しお待たせすることもありますけどね(笑)」。そう、馬場さんもまた“心意気”ある料理人なのでした。

これまた弾むような歯応えが鮮烈。白出汁、白ワイン、レモン、蜂蜜、バターを軽く煮込んだソースとの相性もよく、鹿肉に上品なさわやかさを与えています。

現在ジビエ料理は4品。いずれ扱う肉の種類や品数を増やせたら」と馬場さんが抱負を語ります。
「業者や猟師さんの処理技術が上がったのでしょう。昔に比べて今のジビエは本当に美味しい。飲食店はこれからが使いどきだと思いますよ」。

遠方からでもわざわざ食べに訪れたい──。「もつ蔵」はそんな吸引力に満ちた実力店でした。城下町に漂う薫りも、唯一無二のスパイスなのかもしれません。

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