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害獣駆除された命に新たな“息吹”を吹き込むジビエレザーショップ「MAKAMI(マカミ)」東京都台東区蔵前

シカ イノシシ クマ 革製品 東京
2020.11.18

都営浅草線蔵前駅から徒歩3分。東京・浅草へと続く国際通り沿いに、美しい深い緑色の扉が印象的なウグイスビルがあります。

ここは古いビルをリノベーションし、今年の夏に新しく生まれ変わったそうで、かつての姿を知っている地元の人は、ビルの前を通りがかると「えっ!? こんなビルあったっけ?」と言うほど、レトロで素敵な雰囲気です。

ビルの内部はというと…、まるで昔の小学校に足を踏み入れたかのような雰囲気が漂っています。

2階に上がり、北欧食器や古書店などの店舗を通り過ぎると、「MAKAMI(マカミ)」(以下、MAKAMI)の看板がありました。

江戸時代から職人の町であり、明治時代以降は手工芸の職人が集まる町と言われた蔵前。現在もレザークラフト用品を扱う問屋などが多く存在しています。「MAKAMI」は2020年9月に、アトリエ兼ショップをオープンしました。

扉を開けるとまず目に飛び込んできたのは、タペストリーのように壁一面を覆う、熊一頭の毛皮。
「ショップをオープンするにあたり、このツキノワグマに惹かれ、お店の顔にしたいとお迎えしました(笑)」
そう言って出迎えてくれたのは、オーナーの久津 真実(ひさつ まなみ)さん。

久津さんは以前、「ジビエト」でも紹介したことがあるジビエレザーを使った革アイテムを生み出している女性作家です。
https://gibierto.jp/article/feature/interview/4308/

念願だったアトリエ兼ショップを職人の町にオープン

ジビエレザーと出会うきっかけにもなった革の見本市で、久津さんが最初に惹かれたのも熊だったそうで、初心に返る気持ちを込めた想いが伝わってきます。

「以前は、自宅兼アトリエだったため、オンとオフの区別が付けにくく、それが悩みでした。この辺りは職人さんも多く、作品作りに使いたい小物などもすぐに買いに行ける気軽さがあります。実際、商品に触れたいというお客様の要望もあり、店舗を構えるということにチャレンジしました」

壁は白く塗り、むき出しのパイプは黒く塗る。床もご主人や友人の手を借りて張り替えるなど、内装はすべて自分で手がけました。

「少しでも野生の獣たちの生命力を感じてもらえるように、“自然と野生”をテーマに、木のアートやフェイクグリーンで森の中をイメージ。今は枯れ葉などで色付けし、秋を感じる装いにしています」

欲しかったTAKING社の新しいミシンも導入(写真左)。厚い生地が縫えるので、トートバッグなどを制作できるようになりました。

「たくさんの下糸を使いやすく工夫したり、照明なども好みのものにしたり、自分の好きなものを置くことでテンションも上がります。実際、アトリエでの作業はとてもはかどりますし、集中力が高まるので作品へのイメージも湧きやすいんです」

さっそく、新作の「ソフトパックティッシュケース」(13,200円・税込)を見せていただきました。

部屋の印象がグッと格上げされそうなおしゃれな鹿革のティッシュケースは、リビングに置いておくだけで絵になる素敵な一品。つり下げて使用することもでき、使い勝手はバツグン。

脇に刻印された「MAKAMI」のロゴも、存在感をしっかり主張しています。

飾っておくだけでもかわいい「鹿革のコースター」(1,500円・税込)は、中に芯を入れているのでへたりにくく、長く使うことができます。
「使い込むほど味が出てくるのでおすすめです。街ブラ中の若者やカップルがふらっと立ち寄ってくれるのですが、コースターをお土産にされる方が多いですね。色名は私のオリジナルですが、左から『雪』(ホワイト)、『紅葉(もみじ)』(レッド)、『森緑(しんりょく)』(グリーン)、『大地』(ダークブラウン)、『樹皮』(キャメル)の5色展開です」

リアルな傷やシワは野生の革の証。個体の特性はさまざまで同じものはない

ジビエレザーは野山を駆け回っていた野生動物の皮なので、作品の中に革傷も多く入ります。生前に負ったリアルな傷もあれば、狩猟の際の弾痕や捕獲時の傷、皮を剥ぐ際に付いたナイフ痕などまで。

「深いシワは首の部分。背中はツルツルとつややかでキレイ。シワのほかにも肌荒れ、虫刺され、タテガミを抜いた毛穴などジビエにはいろいろな傷跡がありますが、それが“味”になります。さらに、同じ色でもまったく違う顔を見せるのもジビエレザーの魅力なんです」

確かに写真のように、同じ色で染めているのに上は『樹皮』(キャメル)、下は『紅葉』(レッド)という、微妙に色が異なりグラデーションを奏でているのがわかります。革をなめす手法は同じでも、個体の違い、捕獲された時期によって、革の感じや色の出具合などが毎回変わるのです。

「手に取ることで革の厚みややわらかさを感じることができ、個体差によるデザインの違いも自分の目で確認できるので、お店に来ていただけると好みの物を選べる楽しさがありますよ」

例えば、こちらの“樹皮”カラーの「クラッチバッグ」(写真右、8,800円・税込)。ストラップ側の左下にシミのような部分が見えます。これは鹿革ならではの特徴で…
「四肢の関節の付け根あたりによく出るもので、革をなめすとスレたシミのように味わいが出るんですよ。四肢なので1枚の皮に4か所出ます。若い鹿にはこのような四肢の跡はないこともあるので、この鹿は大人の鹿かなと想いを馳せながら作っています」
また「サコッシュ」(写真左、32,000円・税込)は、使い勝手をとことん考えて何度も試作を重ねた作品で、裏地もしっかりとした生地で作り、使いやすさを追求。またジビエレザーならではの傷跡がたっぷり。この“色のむら”がマニアにはたまらない味となっているのです。

名刺入れとしても小銭入れとしても使える「2Wayスマートケース」は、(写真上から時計回りに)猪革×樹皮、熊革×樹皮、鹿革×森緑の組み合わせ(鹿・猪 各8,500円・税込、熊のみ店舗限定商品12,000円・税込)。鹿革は見た目も手触りもなめらか。熊革は毛穴が荒くゴワゴワした印象なのに、革質はのびやか。猪革はチョンチョンチョンと毛穴が3つあるのが特徴です。

メイク道具や小物を入れるのにちょうどよいサイズ感の「鹿の角飾りポーチ」(8,500円・税込)。ポイントはかわいいファスナーチャーム! 鹿の角を利用しています。

「最近は、鹿の角をカットしたり加工したりして、いろいろな用途がないか試行錯誤中。かわいい雑貨に変身することもありますよ」

「鹿の角のメモスタンド」(大1,800円、小1,500円・各税込)や、久津さんが身につけている「鹿の角のアクセサリー」(5,000円・税込)もそのひとつ。
「入手できる革素材によって、制作したいモノは決まってくるのですが、今はキーケースやトートバッグを試作中。楽しみにしていてくださいね!」

「ひとつとして同じ革は存在しない」ということは、手にしたモノは世界にひとつだけ。革に刻まれた動物たちの“物語”を想像しながら、実際に手に取って唯一無二のお気に入りを見つけてみてはいかが?

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