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命をいただく大切さを感じながら、素材の味を最大限に生かすジビエを「ル・ポワロン」茨城県水戸市

茨城県 フレンチ 焼肉・ロースト 煮込み シカ イノシシ ランチ コース
2021.08.11

茨城県JR水戸駅からバスで約7分。周囲を近代的な建物に囲まれた、ビルの谷間に建つ古民家が「ル・ポワロン」です。

表通りの喧騒とはかけ離れた静寂な空間が、そこには広がります。

京都の町家のような長いアプローチを抜けると、アンティーク家具と木の温もりがあふれる店内にたどり着きます。

アプローチの先には、小さな中庭もあります。

店名の“ポワロン”とは、フランス語で“小さな銅鍋”のこと。オーナーシェフの野澤 昌史さん、妻でソムリエの弘江さんの2人で切り盛りしているフランス料理店で、開店から11年目を迎えます。

調理師学校を卒業後、赤坂のベルギー料理店で修業をスタートし、ホテルやフランス料理店で経験を積んだ野澤シェフ。
「ベルギー料理店で蝦夷鹿を裁く経験があったので、ジビエはもともと身近な存在でした。『ル・ポワロン』を開店してからは、ジビエを召し上がりたいというご希望があったのがきっかけで、本格的に作るようになったのです」

さっそく、野澤シェフ自信のジビエ料理「鹿肉のロースト」と「猪肉の煮込み」の2品を出していただきました。どちらもシェフにおまかせのコース(7,700円/11,000円・各税込)のメイン料理として提供しています。鹿も猪も静岡県の伊豆市産で、伊豆半島で料理旅館をやっていた野澤シェフの叔父に紹介された食肉処理施設からのもの。品質が安定していて、衛生面でも信頼できるのがポイントです。

鹿が食べていたものを、食材に使うのが調理法のポイント

まずは「鹿肉のロースト」から。

熟成した鹿モモ肉には、塩・胡椒をしておきます。

フライパンでこんがりと表面を焼いたあとは、オーブンに入れて火を通します。
「ジビエは比較的高温で焼いたほうが、生臭くなく、シャキッと仕上がります」と野澤シェフ。

ソースは赤ワイン、マデイラワイン、ルビーポートワイン、フォン・ド・ボーで。茨城県産のブルーベリーを肉にかける直前に加えて潰し、ソースを仕上げます。

付け合わせの野菜は、お皿の中での統一感を持たせるため、シイタケのファルシー(詰め物)を添えて。鹿はシイタケを好んで食べるので、食材をリンクさせるのも美味しく食べるコツだそう。

外はこんがり、なのに中はしっとりジューシーな鹿肉は、ブルーベリーの甘酢っぱさとよく合います。酸っぱさの中にも甘味のアクセントがあるカシスマスタードを付けると、また味わいが変化。

数々のスパイスを使って、猪の野性味を中和させる

次は「猪肉の煮込み」をいただきます。

猪肉は赤ワイン、スパイス、ミルポワ(※さいの目に切った香味野菜を、焦げ目を付けずに長時間炒めたフランス料理で使われるフレーバーベース)で1日マリネし、翌日に4〜5時間弱火で煮込みます。

ソースは赤ワインとフォン・ド・ボーをベースに、クローヴ、ジュニパーベリー、シナモン、八角などのスパイスを使い、ほんのりと香りが立つように工夫。これで猪肉の野性味との複合的な味わいを目指します。

隠し味はローストしたビーツのピューレ。ソースに入れてまろやかに。さらにはサツマイモのペーストと一緒に猪肉を食べると、肉との相性のよさに感動します。

弘江さんにセレクトいただいたワインは、やはりフランス産です。

鹿肉にはボルドーの「ドメーヌ・ド・シュヴァリエ ルージュ」(写真右、ボトル19,800円・税込)を。鹿肉は脂身が少なくきめが細かい肉質なので、タンニンがなめらかで緻密な質感のワインがフィットします。猪肉にはローヌの「ドメーヌ・ド・フェラン シャトー・ヌフ・デュ・パプ」(写真左、ボトル13,200円・税込)を。ソースに入れたビーツの根菜ならではの土っぽさ、スパイスの香りがワインとリンクします。

「自然の恵み、命をいただく大切さをつくづく感じます。ジビエは個体差が大きく、特に鹿肉は火入れが難しくて肉をカットするまで気が抜けません。一発勝負の緊張感もありますが、そこはフレンチのシェフとしての気概を持って難しい素材に向き合っていきたいです」と、野澤シェフはジビエへの想いを語ります。

一方のサービスを担当する弘江さんは…
「小さな店ですから、シェフと私でコミュニケーションを取りやすいのがメリットです。お客さまの好みに合わせて、ソースの変更をお願いすることも。また、料理のタイミングや天候に合わせてワインの提供温度を変えるなど、フレキシブルな対応を心がけています。料理もワインも、お客様にとってよりよいものをご提供したいのです」と抱負を語ります。

一組一組丁寧に接客したいからこそ、夫婦二人だけの規模の店でのサービスにこだわる「ル・ポワロン」。ジビエも同様に、こだわりの料理であることは言うまでもありません。

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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