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愛情こもったジビエ料理を、大自然の懐で食す「鵜来巣(うぐるす)」

福岡 シカ イノシシ
2020.03.31

市内外の人々に、半世紀にわたり愛される「鵜来巣」。その店舗は、佐賀県との県境に程近い福岡県福岡市早良区西部にあります。

3世代の店主が守り抜く、安全・安心の美味

店名はこの辺りの地名で、実際に鵜がよく飛来した場所だとか。素敵な響きの名前ですよね。

周囲には田園、室見川、それに緑深い山々。大自然の懐に飛び込んだ気分です。

この看板を見つけたら、そこがゴール。駐車場に続く坂を少し登ると──、

ひなびた趣きの建物が現れました。古い民家の廃材を佐賀県唐津市から運び、建て直したものだそうです。

レトロモダン風の1階席も風情たっぷり。優しい木目の色彩に、たちまち心が和みます。

迎えてくださったのは、2代目店主の荒谷澄夫さん(左)。その隣は2019年に3代目を継いだ長男の真澄さんです。

ここは澄夫さんの父が1964年に興した鶏料理専門店。澄夫さんも26歳の時にここで働き始め、そこからメニューの幅が拡大。やがてジビエも加わったのだそうです。

「ジビエを出し始めたきっかけは、若い頃に自分も猟をしていたこと」と澄夫さん。「その頃、きちんと処理したジビエの美味しさを知ったんです。当時は“固いし臭い”と敬遠されたジビエですが、僕らはずっと“そうじゃないよ”と言い続けてきました」。

現在は熊本県の処理場から届く猪と鹿を、手間暇惜しまずじっくり仕込みます。

これは制作中の「猪ジャーキー」(980円・税抜)。8日ほど自家製の調味液に漬け、85℃でボイル後、さらに風乾させる労作です。

猟師気分で野趣に富んだジビエを楽しむ

それではさっそくジビエ料理の代表作を2品ご紹介。

真澄さんにお願いしたのは「鹿肉のロースト」(1,800円・税抜)。これも調味液に約10日漬け込んでからローストしたものです。

ヒントになったのはローストビーフ。調味液がきれいに染み渡っているのが分かります。

完成品はまるでフレンチの1品のよう。ほんのりした甘辛さが、鹿独特の野性味をまろやかにしています。鹿肉を煮詰めて取った濃厚なソースもまた秀逸!

「食べやすく仕上げているので、ジビエが苦手な方に一番おすすめしたい料理です」と澄夫さん。

続いては、前菜・肉・野菜が付く「炭火お狩場焼き」。肉は鹿やウズラも選べますが、今回は猪をセレクト(1,900円・税抜)。肉はこれで1人前、ボリューム満点の150gです。プラス580円で御飯、汁物、香物、デザートが付きます。

厚めに切った肉を炭火の上に。チリチリ焼ける匂いに、食欲も俄然急上昇!

脂が燃える光景には、いつ見ても原初的なワクワク感があります。

そのように伝えると…。
「そうですね」とうなずく真澄さん。「山の猟師が火を起こし、その場で捌きたての肉を食べる──そんな雰囲気を楽しんでほしくて、メニューに“お狩場焼き”と名付けたんです」。

カリッと焼きあがった猪肉は、何と言っても脂の甘さと食感が魅力!その味をより際立たせる、自家製の酢醤油や辛味噌にも注目を。

肉と真剣に向き合い、調味料もなるべく自家製にこだわり、自然の贈り物=ジビエをベストな形で提供したいする。「鵜来巣」の人々の奮闘に感じたのは、食材への深い愛情や慈しみでした。

そうした地道な取り組みが実を結んだのでしょう。最近、柱である鶏料理よりジビエを頼む客の割合が増えたそうです。

「ジビエを扱ってきて本当によかったと思います。優れた天然食材ですから、これからもファンを増やしていきたいですね」。
そう言うと、心からの笑顔を見せてくれました。

家族や友人にもお土産はいかが?独自のスパイスで大人気の「鵜来巣のから揚げ」(左、680円・税抜)や「鵜来巣プリン」(右、250円・税抜)などテイクアウトメニューも豊富です。

オリエンタル&ヴィンテージ感あふれる2階のカフェもかなり魅力的(※混雑時は案内できない場合があります)。

のどかな自然とノスタルジックな空気に包まれ、ヘルシーで活力の湧く食事が楽しめる「鵜来巣」。多忙な毎日に少し疲れた時、心を優しく癒されたい時、ここはぴったりの美味しいオアシスです。

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