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蕎麦にコロッケ、ソーセージに丼と多彩なジビエ料理がそろう 「そばぐるめ きたこま」

千葉 シカ イノシシ 蕎麦
2019.12.27

千葉県市原市内を走る茂原街道沿いに建つ「そばぐるめ きたこま」。一見すると、いわゆる街道沿いの蕎麦店といった趣で、ジビエ料理があるようには見えません。

暖簾をくぐると、左手にテーブル席が5卓、短い廊下を通って奥へ進むと、広々とした空間が広がっていて、こちらにはテーブル席が2卓、座敷席が3卓、掘りごたつ席が12席。

合計56名を収容できるスペースは天井が高く、使い込まれた梁や柱がどことなく郷愁を誘います。

出迎えてくれたのは店主の伊東啓之さん、すみ子さんご夫妻。1989年にオープンして以来30年間、二人三脚でこの店を盛り上げてきました。

ジビエの猪を使った品々が次々に登場

まず出していただいたのは「いのしし玉とじ丼セット」(1,100円・税抜)。内容は手打ち細切りの二八蕎麦に香の物、そして猪の卵とじ丼です。蕎麦は北海道石狩地方の沼田町から取り寄せる“北早生(キタワセ)”という品種を使い、香りと喉越しが自慢とのこと。

玉とじ丼の味はというと、甘めのタレがじっくりと肉に沁み込んでいて、噛むとじんわりと肉の甘さと融合します。やわらかく煮た玉ネギ、ほんのり半熟な玉子との相性も抜群で、どんどん箸が進みます。シンプルな味付けながら、だからこそ肉の味をきちんと味わうことができるのかもしれません。

「これも結構、人気があるんだよね」と出していただいたのは、「そばコロッケ」(240円・税抜)。

見た目はごく一般的なコロッケですが、実はジャガイモではなく蕎麦粉が使われていて、挽肉は猪。そう、ジビエのコロッケなのです。外側はサクサク、中はねっとりとして甘く、ほのかに猪の香りが感じられます。お品書きを見ずに食べていたら、猪肉入りだとはわからないかもしれないほど違和感がないので、老若男女に人気があるという話も納得。

「いのししソーセージ」(490円・税抜)は猪肉100%のソーセージで、外側はパリッと香ばしく、中身は肉の食感がゴロゴロと感じられる粗挽き。脂の旨味があふれ出てくるジューシーさがたまりません。
「前は豚の脂を混ぜてたんだけど、冷めると猪臭さが出てきちゃうんで、やめたんだよね。今は冷めても美味しいよ」と伊東さん。

ジビエ好きの方にぜひ食べてもらいたいとおすすめされたのが、「いのしし三味(ざんまい)」(1,480円・税抜)。

その内容は、いのししミニせいろ、そばコロッケ、猪のミニピリ辛丼、ケーキ、コーヒー。つまり、このセット内で3つのジビエ料理が楽しめます。せいろの付けダレにはたっぷりの猪が使われ、蕎麦と一緒に口へ入れると、肉の甘味とサッパリした蕎麦が見事に調和。
蕎麦を食べ終わった後、蕎麦湯を入れて、猪肉を食べるとやわらかくなり、美味しく食べられます。

ピリ辛丼に使われている猪はロースとバラ、両方がバランスよく入っています。また、ピリ辛と謳ってはいますが、味付けには甘味もあり、肉の旨味がご飯にまで沁み込んでいます。
そして肉のやわらかいこと!きちんと火が入っているので、一見硬い!?と思いがちですが、すんなりと噛むことができます。

鳥獣被害を知り、地域でジビエ料理に取り組む

なぜ普通の蕎麦店で積極的にジビエ料理を出すようになったのでしょうか?
「4年位前かな、市から飲食店組合に要請が来たんですよ。猪の農作物への被害がひどいから、駆除しているけど、駆除後の使い道が少ないんだ、と」。

地元の調理師仲間と一緒に視察に出かけた伊東さんは、そこから地域ぐるみでジビエ食を推進していくことに。千葉県産の猪を「いちはらワイルドポーク」としてブランディングし、ジビエイベントや料理教室なども開催しているとのこと。

「うち店の近くにまだ猪を出すところがあるから寄って行ってよ。猪ラーメンとかピリ辛炒めとか食べられるよ」と、自分の店のアピールもそこそこに、他店をおすすめし始める伊東さん。以前、体調を崩して伊東さんが厨房に立てなくなった時、地元の蕎麦店仲間が入れ替わりで店を手伝ってくれたのだそう。

地域で団結して鳥獣被害に立ち向かおうとする気概と、調理人同士の温かな繋がりを感じて、今度来る時は何軒もハシゴする必要がありそうだな、と感じた取材でした。

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