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地元、習志野市の農産物にこだわる“習産習消”のトラットリア 「ジリオーラ津田沼」

千葉県 イタリアン 焼肉・ロースト 煮込み シカ イノシシ ランチ
2020.10.31

千葉県のJR総武本線・津田沼駅南口から歩くこと約10分。大通りから少し路地に入った住宅街に、「ジリオーラ津田沼」があります。

道路に面してウッドデッキのテラスがあり、4卓(12席)が設けられていて、開放的な雰囲気。

最近は店内よりもこのテラス席が人気だとか。

屋内にはテーブル席が5卓(12席)、キッチンに面したカウンター席は3席。

さらに奥まった場所には半個室が4卓(16席)あるので、ちょっとした集まりに重宝しそうです。ただし、取材時は新型コロナウイルスの感染防止対策として、通常時よりも席数を減らしているとのこと。もちろん、アルコール消毒液も設置してあります。

手間をかけて火を入れる鹿のローストをブルーベリーソースで

まず出していただいたのが、「千葉県鴨川 清澄山産 マタギの高橋さんが仕留めた天然鹿のロースト(オーブン焼き) ブルーベリーソース」(2,400円・税込)。
このお店のある千葉県内で捕獲された猪や鹿の肉は「房総ジビエ」と銘打たれ、近年、「房総ジビエフェア」などのイベントが開催されるなど、県民に愛される存在になっています。

マッシュポテトの上にカットされた鹿肉が山のように盛られ、色美しいブルーベリーのソースがかけられています。

ひと切れを口の中へ運ぶと、甘過ぎず、ほんのり苦味のあるソースが口の中に広がります。それが鹿肉の味わいを引き立てて、鹿肉の奥深さや豊潤さを感じられます。さらにマッシュポテトを合わせて食べると、ポテトの甘さが全体を優しく包み込み、また違った味わいに変貌します。

そして感動するのが、そのやわらかさ。

メニュー名には「オーブン焼き」と記されているのですが、調理はまずフライパンで表面を焼くところから火入れがスタート。肉汁、旨味が外に逃げないように表面を処理してからオーブンで焼き、さらにオーブンから出した肉はアルミ箔で包んだまま、数分放置することで、余熱を均一に行き渡らせます。
「こうすることで肉汁、つまり旨味を閉じ込めることができるんです」

そう教えてくれたのは、ジリオーラの代表取締役であり、メニュー開発を手がける小林 泰弘さん。そしてマタギの高橋さんは、猪や鹿をくくり罠で捕獲するとのこと。小林さんによると「くくり罠で捕獲するのは高橋さんだけ」とのこと。
一般的にくくり罠は捕獲時にストレスがかかるため、肉質が落ちるという研究結果がありますが、地元の野山の状況や猪や鹿の習性を熟知しているからこそ、状態のいいジビエを提供できるのでしょう。

「当店ではジビエは千葉県内、鮮魚は船橋市内、野菜や果物は習志野市内産のものを使っています」
実はこちらのお店、入口前にその日の朝、近隣で採れたばかりの新鮮な野菜がふんだんに並んでいます。一見すると直売所のような光景ですが、売り物ではありません。これらすべて調理に利用するもの。厨房で野菜を使い切ると、ここから厨房へと運ぶため、営業中は時が経てば経つほど、ここの野菜は姿を消していきます。

野菜がどんどん姿を消していく原因ともいうべきメニューがこちら、「契約農家三代川さん(習志野市谷津)の朝採り野菜の本当に美味しい農家のサラダ(バーニャカウダ風)」(1,000円・税込)。

生食用カボチャのコリンキー、フルーツパプリカ、水ナスやモロッコインゲンなどなど、旬の野菜をたっぷり楽しめるとあって、常連客でも必ずオーダーするという、この店の看板メニュー。「野菜は日替わりで約10種類ですね」と小林さんから説明されたものの、日によってはそれ以上の数になることもあるそう。

アンチョビソース(写真右)とハーブソルト(写真左)で、食べ比べられるのもまた一興。

六本木の本店とは違う魅力、それは地元素材へのこだわり

実はこちらのお店、本店は25年以上六本木で人気を博している「ジリオーラ」。2014年に津田沼に2号店をオープンさせました。両店舗でメニュー開発をしている小林さんは、ディナーレストランでのアルバイト中に調理の魅力に開眼し、大学在学中に調理師免許を取得。その後、イタリアンの重鎮、佐竹 弘シェフらのもとで研鑽を積み、調理技術はもちろん、ワインや菓子、パンなどの知識や技術も習得。本店オープン直後から「ジリオーラ」にて、その手腕を発揮しています。

「6年前にこの津田沼店がオープンした当初から野菜は習志野産、魚は船橋港で水揚げされたものと決めていました」と話す小林さん。地元食材に注目した理由は、美味しいものを最短ルートで、新鮮なまま、美味しく食べてほしいからとのこと。

そして習志野市には積極的に珍しい野菜や果物の栽培に取り組む農家さんがいたことも、小林さんの目指す“習産習消”(習志野にこだわった地産地消)を後押しすることになったそう。そんな小林さんの意欲に賛同する農家さんも増え、各地からフレッシュな食材が集まるように。そうしたなかで知ったのが“房総ジビエ”だったそうで、今ではジビエ料理が津田沼店の定番メニューとなっています。

「千葉県鴨川 清澄山産 マタギの高橋さんが仕留めた天然イノシシの赤ワイン煮込み」(2,000円・税込)も、そんな定番人気の一つ。タマネギ、ニンジン、セロリをじっくり炒めて作ったソフリットと赤ワイン、ローリエやローズマリーといったハーブと一緒に、猪のモモ肉を煮込んでいます。

ほろりとほどけるモモ肉は噛みしめるほどに旨味がにじみ出て、それをコクのあるソースが彩ります。ふわりと鼻腔に立ち上るワインとハーブの香りは、甘味のある猪の味わいと対照的で互いを補うかのよう。

「本格的なイタリアンに馴染みのない地元の方にも親しみやすく感じてほしい」と、アルコールはワイン以外も多彩に富んでいます。

今回紹介したジビエ料理はテイクアウトも可能なので、自宅でゆっくりと味わってみたいという方にもおすすめです。

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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