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下田産の鹿・猪へのリスペクトから生まれたジビエの炭火焼き「スペイン料理MINORIKAWA(ミノリカワ)」静岡県下田市

静岡県 ステーキ・バーベキュー ハム シカ イノシシ
2020.10.28

静岡県の伊豆急下田駅から徒歩3分ほど。アクセスのよい好立地の場所に、下田市で唯一のスペイン料理を提供する店「スペイン料理MINORIKAWA」があります。下田産の鹿、猪、魚介、野菜など、地元食材にこだわった料理が評判です。

店のオーナーは下田出身の御法川(みのりかわ)輝雄さん、フロアを担当されるのは奥様の麻子さん。夫婦で店を切り盛りしています。

店内は木材をベースにした、温かな雰囲気に満ちています。アンティークの家具は、輝雄さんが自ら選びました。

スペインの風景を描き続けてきた、松永 安正画伯の絵も飾られています。

スペインの食の本場バスクとガリシアで感性を磨く

和食などの修業経験もあった輝雄さん。スペイン料理との出合いは、ある一冊の料理本が始まりでした。
「東京・吉祥寺のスペインレストラン『ドス ガトス』のオーナー・高森 敏明さんが書いた本を読んで、とても感動したんです。世界にはこんな素晴らしい料理があるんだなぁって。だから、高森さんのもとでどうしてもスペイン料理を学びたいと思い、『雇ってください!』とお店に電話をかけたのです」

しかし、最初は断られてしまいます。諦めきれなかった輝雄さん、直接オーナーに会いに行ったところ、熱意を認められて採用されたのだそう。

「オーナーにスペインに連れて行ってもらった最初の街が、バルセロナです。向こうの料理は日本人の好みに合っていて、素朴で気取りがない感じが僕の性に合いました。同じヨーロッパでもフレンチはテクニックに走る感じがするし、イタリアンの場合、パスタに興味が持てなかった…。いろいろな料理に携わったのち、25歳のころスペイン料理で身を立てていこうと決めました」

「ドス ガトス」で出会ったのが、奥様の麻子さん。共に、スペインの有名三ツ星レストランで修業。イベリア半島の食の都・バスク地方やガリシア地方などスペイン全土を回って、輝雄さんは料理人としての五感を研ぎ澄ませていきました。

その後、輝雄さんは独立しますが、当初下田でお店を開くつもりはなかったとか。
「夫は、下田みたいな小さな街では経営的にリスクがあると思っていたようです。でも、ここは自然が豊富だし、夫の家族も住んでいます。私自身は、お店をやるなら下田がいいと思っていました。よい物件が空いたことで、二人でオープンしようと決心したのです」と麻子さんが当時を振り返ります。

そして、2011年に「スペイン料理MINORIKAWA」を開店。店のコンセプトは“下田ならではの素材にこだわった料理”。
「伊豆半島の山中を駆け巡った鹿や猪を使った、スペインでもポピュラーなジビエを看板メニューの一つにしていこうと思い立ったのです」と輝雄さん。

おしぼり受けにハーブをさりげなく置いて香り付けにするなど、麻子さんの細やかなおもてなしと、輝雄さんの美味しい料理が評判を呼び、地元の人にも観光客にも愛される人気のお店となりました。

肉の旨味を逃がさない炭火焼きへのこだわり

今回供されたのは3品。どれも地元・下田産の鹿や猪を使ったメニューです(提供は平日と日曜のみ)。

まず前菜として運ばれてきたのが、「水ナスと猪のハム」(1,200円・税抜)。もちろん、水ナスも下田産のもので、ハムは輝雄さんの手作りです。しっとりと少し粘り気のあるハムの歯触りと、水ナスのシャキシャキ感が絶妙にマッチ。濃厚なのに後味はさっぱりです。

次にいただいたのは、「下田の鹿炭火焼」(1,500円・税抜)。鹿のモモ肉を塊のままで、じっくりと炭火で焼き上げます。

肉が焼かれる音、美味しそうな香り…、共に食欲を刺激。

炭火の遠赤外線効果で肉の旨味を閉じ込めるので、ジューシーさもそのままに、鹿の弾力のある肉質を堪能できます。
「素材の味をよりストレートに美味しく楽しめるので、ジビエは炭火焼きだけで調理しています。小さな子供からご年配の方まで幅広いお客様に人気の一品。うちの4歳になる娘も喜んで食べますよ」(輝雄さん)

ここで麻子さんに、ジビエ料理に合うスペインの赤ワインをセレクトしていただきました。スペインワインの有名生産地ぺネデスの「Suriol(スリオール)」のフルボディ(グラス1杯900円・税抜)。ガルナチャとカリーニャという品種のブレンドで、自然派の伸びやかな味わいが野生の鹿肉によく合います。

最後は、「下田の猪炭火焼」(1,500円・税抜)をいただきました。こちらも鹿肉同様、塊のまま炭火で焼き上げます。野生のドングリを食べて育った猪の肉は、脂が良質でとても食べやすく仕上がっています。

2杯目のお酒には、リンゴの発泡酒「MAYADOR(マヤドール)」(1本650円・税抜)を。スペイン産シードルの甘酸っぱさが、猪肉の脂を中和してくれます。

「下田を含めた伊豆半島では、たくさんの鹿や猪が捕獲されますが、捨てられたり、雑に扱われたり…。そういう話を聞くと心が痛みます。でも、野生動物のお肉は本当に美しくて、入手する度に毎回見惚れるほど。繊細で肉質がしなやかなところがジビエの魅力です。地元・下田産のジビエを多くのお客様に食べていただきたいですね」(輝雄さん)

御法川ご夫妻の夢…、それは“ジビエを通して多くの人と繋がること”なのでした。

  • ジビエトの掲載店舗は「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づいた仕入れ、加熱調理等がされていることを確認しています。
  • 掲載内容は取材時のものです。営業時間などの最新情報はお出かけ前に各店舗の公式HP等にてご確認ください。
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